tori kudo

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浜風文庫2020.5

5.1

far cry/al sur

 

far cry

音痴ハーモロディクスの夕暮れに
遠くでDVめいた叫びが上がり
畑の向こうの肉の画面も固まる
ゲームの中でコミカルな動きをするコロナ患者を撃つなら
きみも立派な解放軍兵士だ
床板を剥がすと仇が蹲っていた
ダイナはボーリングシャツを着て役場の前を歩いていた
農協会館の二階の映写機からギャオスの叫びが上がった
エルトポ染みた南への旅が始まり
その途中苦しみの塊を産み落としベンオニと呼んだ
十段ギアのチェーンがホイールを上滑りする
残雪が執拗に葉を食べる男を描写するように
棒読みを排すための
内臓の本番
コロナ以降ゾンビは外した感あり
armed frontは南進して超常作戦は黒みどりだ
大きな空が、伸し掛かる
豹柄が捲れる
花咲く乙女たちのかげにabさんごの方へ
牡丹地に白丸抜き
 

al sur

うみはひろくて大きい
航路がたくさん線が引いてある
確認しようとしてあまり落ちてはならない
泳ぐと喰われる
天使は喰われないのだろうか
絵の下中央に銅を打ってタイトル
天使は喰われないのだろうか
 

far cry/al sur

原因から結果を導き出すことはできないとカントは考えた
カントは結果に押し流された、とハイデガーは考えた
種子法に関して閃いたのは
結果が種なんだ、ということだ
種が結果なら原因は果実だ
果実は種に先行する
ゆえに
結果から原因を導き出すことはできる
要するに
種に関しては我々は自由なのだ

 

5.4

敦盛どうぶつの森

春分てあるの知らなかった。直実が新聞紙を全面に拡げてゴキブリをとる要領で近づき、さっとくるんだら逃げなかった。押し入れに仕舞われる時、新聞紙から少し青がはみ出しているのが見えた。世の中にはまだ知らないこういうこともあるんだぜと僕は直家に得意になって教えた。まだいるかなと思い自分でも家の中を探してみると玄関の上框の隅にレンタル水のサーバーくらいの空気の青い部分があり、それが春分よ、と言われた。捕まえようとするのだが、変形しては海月のようにするすると抜けて漂って行ってしまうので、畑の方に出てみた。色が空とが合わさるので探すのは難しかったが、陰になった地面にいたので今度は捕まえたらわりとゼリー状で、口をつけてみたら味はしなかった。押し入れに丸められたやつはいなくなっていたので、今度は直家の十六まで使っていた六畳間に入れると、急に、なんで捕まえるの、と声がするので、えーっ、しゃべるんだ、と言うと、どことなく顔にも見えるような像容となり、あなたわたしのこと好きでしょ、さっきもここら辺をぎゅーっとしてちゅっちゅっとかして(笑)などと言いながら消えていこうとする。きみみたいなのは沢山いるの?、と訊くと、そうだよ、メールとかも見るんだよ、アドレスはアビルジーンatumori何とか、と言う。自分のiphoneが手元になかったので直実のアンドロイドに入力しようとするが、abirug..?と確認すると、うーん字で書くとそういうことになるわねえ、などとゆっくりいいながら春分はそれでも消えていこうとする

 

5.5

すべてに失敗した五月の、抑鬱段階にある

落窪の歌

 

柿の葉が太くなって考えられていた大きさまで太くなってきています
考えられていた太さはとても太い
柿には二種類しかない
なで肩か肩幅があるかのどちらかだ
柿は肩幅だ
肩幅があると頼もしい感じがする
女は差別なく公平に言ってたおやかだ
差別なく平等に扱われているだろうか
女偏に弱いと書いて嫋やかと読む
ちなみに魚偏なら鰯である
イワシは強いのではないか
前針に掛かったことがある五寸くらいなのに一尺のベラくらいの力があった
将来起きることは左肩と右肩の間の金ネクタイに落ちてゆく
ネクタイは見える喉のようだ
男前の顔が漏斗に落ちるようにタイの太い結び目に落ちてゆくのだ
スーツは黒がいい
オスカーワイルドの世紀末からの結論だ
ワイルドは一九〇〇年の十一月に死んだ
非の打ち所のない柿だった
だれも洪水など経験したことのない時代に
木を加工し樹脂を使ってハコを立ち上げタイを流行らせたのだ
不快なものである東京軍が包囲をやめて一時的に撤退する
その間に秩父の山の方に逃げたのです
箱舟の七人練炭自殺
連合赤軍大菩薩
ロックフォークのシオンて子音の嗄れだね
熱帯なのに三寒子温は変なのでもうストーブ捨てて了い給えよ
シュッとして認める
現在、人種や国籍にかかわらずなで肩と闘っています
疲れ果てて弱ることも
躓いて倒れることもある
骨格の闘争
落窪の笑窪
下落合・戸塚辺りの雑草
忽ち老成する二世
過去の過ちなどない
ネットで中傷するようになりました
竹を割ったようなメンマ
青だけ踏み赤は棒編み
悔いのない共食の共食いから
目を逸らす犬
注ぎ出す水の駅ビルといえば岡山が噴水
鈍色のパッドが置いてけ堀
傷つけられる状況は変わらなかったが
傷つける北の方(キタノカタペニンナ)をカキの葉の太さが凌駕していた
そういう虐めには耐えられても
正当化できない失敗柿なのであれば無駄なことだ
考えることを止めることを決意するしかない
唯一の抜け道は間違った言語を通してその間違いを学ぶことだ
それにしても柿の葉は太い
それを自分はもはや言うべきではない
玉は尽きた打ち止めだ
トータルで損して終わった
終わりの時代が終わるのはそれが終わりだからだ
終わりが終わらないのだとしたら終わりなどいらない
白いカバの形のグラデーションに一瞬青空
不安の原因を教えてもらうこと
いや、すべてに失敗した五月の、原因の原因を教えてもらいたい

5.6

少年

上の△は下では▲か▽
△は正しい正しさ
▲は間違って正しい正しい間違い
▽は正しく間違った間違った正しさ

△を下で敷衍しようとすると必ず齟齬が生じる
その霊性を欠いた原理的な正しさは逆に下では間違い▲として現れる
間違い▲としてしか現れない、現れ得ない!
ほんらい正しいが故にいまは非難されているのだ!
そしてその非難にはじゅーーーうぶんな根拠が添えられる
添えることができる!

▲に対するそうした批判は絶対的に正しく間違っている!
正しい間違いである!!
正論とはいまはそうした正しく間違った▽のことである!
世の中とは正しい間違い▽でできているのである!
▽は絶対的に間違っているゆえにいまは正しいとされているのだ!

(▲や、△を知らない▲に対する▽の非難は「正しい間違い▽」でも「間違った正しさ▲」でもなくほんとうのほんとうに間違っているだけなのだが)*

それに対して正しさらしさ▲のほうも間違っている!!!
それは正しいからだ!!!!
圧倒的に正しい正しさだからだ!!!!!
正しいゆえに絶対的な正しさ△からは遠ざかっていく!!!!!!
正しさ▲がいまはいちばん間違っている!!!!!!!
正しさ▲のほうが間違い▽よりももっと間違っている!!!!!!!!
ゆえに正しく間違った間違った正しさ▽から非難されているのだ!!!!!!!!!

 

*(作者注)

 

5.7

lol

表層が剥ぎ取られ
惨めな層と交代する夜更けに
節節は散けて
投げ出された骨は
絵文字の丘で
発掘されるのを待つ
水枕ガバとある種の恐ろしい予期だけが骨となっているlol

耳鳴りの視野に検出されたされないで幸不幸は入れ替わり
警告なしで点滅する運不運を速報する
フォーマットされてからのDNAの回復はない
爆報とはよくも言ったもので
IT用語に換骨された器形を裏返しにして
戻ってはならない後ろを振り返らせる
後ろを安全に守ろうとする者はデータを失い
失う者はデータを生き長らえさせる
その夜、二人のデータが一つの寝床にいるだろう
一方は移動され、他方は消去される
その時二人のデータが(たぶん有機の)畑にいるだろう
一方はコピーされ、他方はごみ箱からもいなくなる
二人のデータが車なんでグラスは一つ〜とか偽って同じ瓶ビールから飲んでいるだろう
一方はクラウドに保存され、他方は共有を切られた前機種と共に消滅する
死体置き場には鷲も集まっているだろうlol

音の立ち上がりは敵味方をはっきりさせる
幸不幸運不運に関わりなくCOVID-19PANDEMICの間でも
だめなものはだめだ
顔の左右非対称が進む政治家のように
なぜ?と訊かれたら
終身パスポートをもらってもウォルトに愛は感じない、と答える
遠くの絵文字の丘から毎日摘んで来てくれたらだんだん感じるかもしれない
“彼(lol coxhill)の音楽にはユーモアがあったが、フリーの演奏は冗談ではないことを観客に伝える必要があると時々感じさせるものだった” (wiki)
愛しているか知るために試しているんです
行おうとします
しかも一生懸命にそうします
デレク・ベイリーとリチャード・タイテルバウムの二人のデータ(あまりおもしろくない)が左右対称性の後ろをあるく
鳥は鳴く
変わらないなら罔(クラ)く殆(アヤ)うい

 

5.8

ジャスミン

嫉妬するジャスミンはおだやかにものを言うことができなかった
金持ちすぎて女の子として育てられた
あっけらかんと夢を語ったので
マグロ船に売り飛ばした
嫉妬を宿してウグイス色の盲目に
生まれた時赤く、土地も赤く、スープも赤かった
自宅待機で髭が伸びた奴が多い
わかりやすい話をするのはなぜ大切ですか
空気に話すのはドルフィ
下書きからジャーゴンを削除せず置き換えてありふれた雲を演奏
全部貰い物で食べに行ったよ
一つ以上の見方があることも知っている
持ち出し袋に十九年分の責任を入れる
委ねられた二十キロの銀
持っていない人は、持っているものまで取り上げられる
川崎の馬
を念頭に置いて
クッキーの型を押す
エッヂがきれいだ
差し出すほどに愛して
エッヂが嘘つきです
できないからです
馬も愛さなければなりません
瞼がみどりの
感情を犠牲にして平和島記念を取り戻せ
他の人がすれば良い
最後まで蝕まれるのを許さなかった
端からみどりの腐食、

 

5.11

あんしん酒場

まるで自分のように
自分を養っている
自分を養う
あんしん酒場
に咲く花の紫
独自の考えで話す自分は称賛されることを願っている
こうすればもっと儲かるのに、などと
自分のように突っ込む
どんなに忙しくても楽しい食事は欠かさない
あっと驚くようなご馳走
好き嫌いを考えて料理
労えるところを見る
探す
バラエティ豊か
レバーの揚げ玉
自分のように良くなりたいと思い自分のように手を尽くす
病気の自分と呼んだ
零戦プラモの空
ひとつの医療チームのように
自分のように危険から身を守る
関係するどの原則が助けになるか
自分のように蔑まれている自分に敬意を示す
優しさ
痛めつけられ放り出されて可哀想だと
同情心が湧きます
自分のために入退院を繰り返していた
悩みを共有して
敬意と優しさと理解を持って接することにより養う
自分のように愛して
モオブと黄色という意外なブルゴーニュのインドが固まって笑っている
かなりの自由が与えられている
自分で自分を下三分の二菜の花畑地平に連れて行くことが出来ない
共に歩むとは実例を通して学ぶことができる
信頼タクシー
望んでおられる通り生きていきました
生き方が全く異なっていたからです
黒海星
最後の日々に山に上る
自分を調和させる
看板を背負って
視覚で覚えていた
合成の空
考えを知っている
闇でしたが光となっています
不道徳から守られる
真面目すぎると笑われる
家庭崩壊自責
理解の光
倒れかけている自分を支えうずくまっている自分を立ち上がらせる
諦めないで欲しい
額の側面から正面に至る曲面の内側にそのような考えが詰まっていようとは

畑に放置された、
カンダケの高官は
下地の
亀裂に青が入り込む
照らされるピーナッツのタウン誌色
片手が長い群青
ウグイスは見事に鳴けるようになっていた
どうすればそこまで愛することができるでしょうか
永遠に力を持っていて
言い訳できない
探っています
電球が線香花火の赤色矮星のように落ちた
タヌキ色畝畦
ソラ豆型鈴
白黒というより
白黄写真
キュキョーンキュキョーンと鳴く
曇った
囲いの中に固まった古
の人が個
どちらの基準が優れているか
黒の中に目がある八割れ
重いかどうか言ってみろ
ハウツー
軽くなる
額が油で磨かれた石のようだ
義務感で果たすこともできます
ホストになったのはこれがはじめてです
すっかり太くなった柿の葉

 

5.12

生の今

生空気遠近で生復讐が試され生毎日生多く生テストされている生スカッとしない生流れ、生地下水道いや生地下河川だ生札幌の
を生遡る
生巨額の生借金を生増やし続けるのに生すべて生無罪にするため生踏み出す生検察
の生借金帳消しの生歌
生黄色の混じった生空と生地
は生離れているのに生造りを覚えているから生踏み込む生検察
生白に生紺の生帯があったら生赦すか生個性生背景に生関わらず生覆うか
生橋を生壊して生変化を生祈り
生同じように生数勘定しない
ふりをすることではなく生見過ごして生消すのが生許す生根拠を生考え抜いた生理解の生あらわれだが生全貌を生把握できないので生癒えないまだ生蒸し返す生マイナス生プラスの生網に生乗せられた生皮の生鮭が生
生の今
生全ての生クラスの生終わりが生近づいているから生覆う生マスクして生居酒屋で生泡覆う生中
生今の生中

5.13

午前の最後

用意をしてきたのに何が出来るか尻込みしてしわくちゃの翅をしまって怖気付く熬子を前にして息を吸い込む七三の二ボラーの若い頃を知っている
決意を弱めようとしても私達は大勢いるから(みんな違ってみんな片口嫋)海域にぴったり合ったエリコの体験談を探す
和訳の王国を打ち破り弱かったのに強くされ
和樂の鎖に繋がれても囚獄の飲み会を断る勇気
少しの間苦しんだ後、訓練を終え
大漁だ弔いだ災害の許されている理由を理解して
田地旁邊水旁的綠色發芽草
え?一人? 
はい

万緑に花のいっしゅんとだえたり

5.14

午後の最初

同姓婚の絆
あら偶然ね
情報を集めて
愛するチャンスを探す
好みを優先しない
豊かな溢れ方をすると思ったら
器が小さかった
或いは
器が大きくて
溢れなかった
同姓婚
猫という苗字は眞瀬の一部族の如く栄えた
高校の時から空っぽなのは変わってないが
落人の勾配の水路で発電し分け合う序でに子を産んだ
アイヌ語で考えるとは内に向かって揺れ具合を見ること
はっきりしたことは云わなくなって
それから死んだ
同姓クラスターが発生したのだ
谷川を
苗字のない王へと遡る

5.15

계집애!(意気地なし)

 

言葉が死んだ
死んだ後にも苦痛があるという方向の考え方もあるが
死んだ言葉は何も知らない
売られた先で気に入られ
投獄先で気に入られ
死んでも気に入られた秘訣は人の代わりをすること
金払ってまでライブ配信なんて見たくねえし
死んだ言葉は何も知らない
今配信しているミュージャンは生きていても死んでいても同じことだ
死んだ言葉は何も知らない
気に入られる秘訣は人の代わりをすること
言葉は娼婦の真似をした
言葉が飛んでなくなれば墓には何ものこらない
死んだ言葉に意識はなく配信のための回線を知らない
死んだ言葉はいま夢のない眠りを眠っている
死んだ後にも苦痛があるという方向の考え方もあるが
死んだら苦痛はないのでホテルに天国も地獄もない
モリスの紺地の唐草
死んだ回線は何も知らない
死んだ忠実な娼婦は何も知らない
言葉が飛んでなくなれば墓には何ものこらない
死んだ言葉に意識はなく死んだ言葉は何も知らない
死んだら苦痛はないのでホテルに天国も地獄もない
忠実な娼婦タマル
タンパク質を先に食べるので炭水化物が残る
死んだら意識はないので天国も地獄もない

 

5.18

アイヌ語で考える
yaykosiramsuypa

・・イエ親がないので話せない
・・イエ数分ではなく生きている間中歌う
‥九州醤油味
・・イエ顔なんてあるものか
・・イエ見つけたことはない
・・イエ泣いていたのではないかと思います
・・イエ子供でもできると言うのは大人には出来ないということだ
・・イエお父さんもお母さんもいないから首に結べない
・・聞きたいことを聞いても無駄
・・どうすれば黄色が白に混じることができるのか
・・悲観的なシナリオが白に混じる
・・生き残れるかどうかは偶然の問題と言うシサム(和人)の大型紙芝居
・・みどりはどうやって白に入り込めるのか
・・小さな知の考古学の写真
・・引き攣った畑の野菜
・・泥を削って蛇行する水が枝になって
・・そこに麦秋の花粉が飛ぶ
・・一言も発言できない
・・費用が足りなかった‥
・・イエ気にしているということを私は中継で伝える
・・イエ前もって費用を計算するというのはリスクを計算することのようだが‥手持ちの費用の総額は感謝と愛で表せるから‥再開後も自転車操業で増やしていかなければならない
・・イエ内部に向かって開放はされている
揺れる八重洲の地下街みたいなものだ

5.19

断種断酒断首

人の苗字がなくなって
自分の息子をボクと呼び
犬はみんなジョンだった
レモンは大きくなり過ぎて
人が登れるほどだった
空き瓶も山を成していて
ラベルはみんなおんなじで
タカラという字が見え隠れ
掘る必要もなく見出せた
土はテラテラみどり色
鶏を逆さに枝に吊り
鎌で自分の首を刎ね
断酒の前にダンスして
断首の後にもダンスした
断種断酒断首

5.22

20/05/2020

 having been being caught up
There are ones that have been catching up with
me that hasn’t been working since
plums, cherry blossoms, wisteria
and fireflies at last
Even if they caught up
I would leave me just being overtaken
All of us will have been being rolled in the last picture scroll
Plums, magnolias, cherry blossoms, wisteria, jasmine,
then final fireflies
are chasing me with sickles
before my reaching the refuge city

 

5.21

死んでも床に物を置かないと誓約した部屋に持ち込まれた異物は
ごくごく基本的な飲み物
拙は坐って
なんだかんだで
から始まる都々逸を考えようとしていました
成し遂げられた
成し遂げられた
と言ってはみたが
なんだかんだで
死に漏れる
なんだかんだの傍で長い時を過ごしたら
to know nandakanda was to love nandakanda
当てはめて(五字冠り)
なんだかんだで
喜ぶ毎に
昇る螺旋に
嵌まりたい
対抗馬を認めない程
アーモンドアイ
速かったですね
毎日
人生全体で
裏表のスイッチはない
専用の場所から他のものを排除する
本来の家
死んでも床に物を置かない
何処から過度になるのかという問いを立てる
死に面して命を愛さないなら
やり過ぎてなかったということになる
磁極が入れ替わっても例外はない
善悪を愛して善悪を憎む
入れ替わることが多々ある
例外はない
なんだかんだで
まともになれず
多々あることだと
入れ替わる
なんだかんだで
抜け道探す
神田の外は
外神田
植え付けられて敏感に反応する
間違った考え方で口実を設けない
なんだかんだで
活けられました
枯れる口実
探す花
愛して避ける
善悪を愛するなら伝えようとする
王道愛せと
言われてみても
練馬で下りれば
あとは庭
死んでも床に物を置かないと誓約した部屋に持ち込まれた異物は
ゴクゴク99.99%基本的な飲み物
耳に穴
引き剥がす事はできない

5.22

秘技ねずみ返し

実際的な知恵とは七年間の貯蔵の為の
想定外を排した高床式とねずみ返しであった
あとは防虫ハーブ素材だがそれはミイラ化の経験値がものを言った
知恵は近視眼的にその部分を拡大し
あとは見えなくなった
フクシマについての見事な省察を著わしたのも記憶に新しいジャン・リュック・ナンシーはアガンペンに反論し、
「政府はこの例外化の哀れな執行者に過ぎない」と書いた
それでツァフェナト・パネアは政府批判の陽動に乗らず淡々と事務を熟した
金銭のペーペー化と例外的奴隷状態は前触れに過ぎぬ
琴線に触れるzoomコメントがねずみ返しだ

5.25

黒犬

1. 死
自分の周りに竹林の仕切りが出来ていきなり音声が曇った
その倫理上の差を時間に置き換えて
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、

黒犬の歌い出しの前の
安藤昇が喋った
時間はチョコレートの板で立てられた河川敷の塀となっている
ほんとうに菓子の硬さであいうえを見上げた
がしがしと言葉は
階段を作ることができるほどに
切り出された

2. 復活
囚獄には鼠がいる
夢を囓り映像を分ける
子供を起こすように
呼ぶと
細胞のレユニオンが鬱勃と興る
居た堪れない死に方をした眠りから
お客さん終点ですよ
自分の作った器にもう一度会いたいと願
われないなら
仕返しを





無駄になってしまう
ティルス銀貨一枚は給料四日分だから百万くらい
街金マチウ書シロンが居たのに会計係だったということは
妹が居たということだ

3. 生
全世代が届かぬ高みから落とした刈り上げがキモい
その金で妹は
轡を噛ませた言葉の走りに賭ける
決着は何番目でも漲る体力が面白い
あのアニメなんだっけ
同時に多々ある理不尽
字が書けないからわかんないや
ひどい扱いを
受け
ない
よう
には
されなかった
相当な抑圧
を不安ごと
乗り越え
生計を立てる
大人の皆さん
とはあまり言わない
親の皆さんとは言う
全世代が抑圧を乗り越えることができる
戦中派の帰路は
あまりに単純だ
一緒にいる
というだけで
では一緒にい
ない
なら
どうなるのか小僧デイヴィッド

会計係の妹よ
生涯にわたって
年齢にかかわらず
生きている限り
日が
四分三十三秒の大人しい音無しの音沙汰を
風があっちからこっちへ吹いてくるちょっとの間だよ、

5.26

ADHD夫

鳥蹄魚の目は泪というような人ではなかったが
真っ向から対立しない限り
脱ぎ捨てる
迷いがない
呟く
ADHDによる経済的な損失はこの三月から五月までの自粛の間だと 二十万くらいだと思う
夫の律法に従うと
柿の葉の濃い緑のひかりが室内に入って
明るく黒い 
ゴミ屋敷の手綱を引く
根掘り葉掘り

葉掘り

明らかに語調を合わせるための付け足しであるが
夫は明らかに葉を掘り続けている
情報を漏らす
コロナ出たのは三津の方らしいよ
目先の岬
鬱勃とラスボス
内密あんみつ姫
漏らすならお襁褓をさせなければならない
すいみん薬を飲ませて
日暮れには寝かしつけた
すると数時間後にお襁褓を履いた千体のアトムが出て行った

5.27

 

夜の立体駐車場

夜啼く鳥の囀りが
立体駐車場に反響し
ブラックバードに似たその高音は
西洋に合わせた管弦の
千切れた胡弓のようだ
浅い夜
あなたのしようとしていることを済ませなさい
と言われて出てきた
モールに人気はなく
非常ボタンを押して歩く
立体駐車場の音響的結構は
ホタルの眠る長い夜を消毒してゆく

十一人は鳥のマスクをして食卓の主人を囲み
2メートル間隔で横坐りしていた
上座は奥の左だったがオットセイ達は気にしてないふりをしていた
みんなシャワーを浴びてるから体はきれいだけど
足はこんな風に洗い合いっこするのよ
先生、オットセイなのでシャワー浴びないし足無いんですけど
と言う俺を見上げて先生は
アガペーなのかアッカンベーなのか
困ったような顔をされて
あと一日で死ぬオットセイ
と仰った
まさかわたしじゃありませんよね
はいお口あーんして
介護士の感染はこのショッピング・モールもガラガラにさせた
俺に這入ったくすりには虹色の未来が入っていた
それで俺は部屋を出て
モールの管理人に知らせに来たのだ
ブラックバードが
啼いてますよと

 

5.28

獄中で詩を書くということ

名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
これを詩にしてみよう
名前を呼ばれる
とは
死刑執行される
ということなので
いつも
一瞬
飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、
或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
成し遂げること
が不可能
なのであれば
アルシーヴ化も
不可能
である
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されることなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外
を、或いはその例外が全てであるような囚獄
を生きている
「成し遂げられた!」と言えないので
自分をアルシーヴ化できない
まだ詩になっていない
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共にいない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能なのであれば
アルシーヴ化も不可能である
詩にならなくても良い
名前を呼ばれるとは死刑執行されるということなので
いつも一瞬飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
誰も共に居ない
描かれたことのない例外を、或いはその例外が全てであるような囚獄を生きている
成し遂げることが不可能だったのであれば
自分のアルシーヴ化は不可能だと分かった
名前を呼ばれたら
わたしは
死刑執行される
わたしは飛び上がり
目を閉じて
覚悟する
あなたが共にいないのは
描かれたことのない例外
その例外が全てであるような囚獄を
わたしは生きている
成し遂げられた、
と言えないわたしは
自分をアルシーヴ化できなかったことを知る

5.29

水面

水から上に出ている顔の部分は
裏のようでもあり
また泛子(ウキ)のようでもあった
数えれば十一だろうということは分かっていた
家族だからだ
人殺しや出産のものがたりは
水面より下で起こった
そこが表なのかもしれなかった
それでも裏を裏返すのではなく
表を「表返し」たこの水の上で
わたしたちは真理を享受するのだ
善悪を裏返すのではない方法で
わたしたちは呼吸しなければならない

母は四人で
長男は異母と寝ていた
次男と三男は人殺しで
長女はグレていた
そのようにして
排他的階級制度の最下層に居たが
裏を裏返して咲くのは花だけで
表を表返した水の上では
四男の末は王になり
十一番目は総理になった

古いラジオ放送の音質で
百舌がキチキチと啼いて
背の高い女と背の低い女が向き合ってはなしている
十一人の平和な住まい
殺しのない安全な家
ステップファミリーの心休まる平穏な場所で再び生きること
とはいえ雹によってフォロワーの多いアカウントは倒れ
東京は完全に破壊される
全ての水のそばで
椅子からずり落ちてゆく
すっかり変わってしまった水の面が昭和のようだ
裏が表として水の中にあり
表が裏として水の上にある