tori kudo

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浜風文庫2023.4

4.3

訃報X

ずるい抜け駆け柳の巷そよそよ他所に帰ろうか

 

 

4.10

晩年様式

前愛媛1区塩崎って新宿高校だったんか
覚えておこう
下からと上からが絡み合っての権力だから逃走線を引くのが厄介なんだ
声優やアニソンの世界は縁遠いものと思っていたが、一龍斎春水「講談金子みすゞ伝」の、悪の声色、善の声色を一身に引き受けて目先の発音の享楽に身を任せる処世からポストポストモダンを発送すると判るのは例えばこういう表層の堅さが何故不安を煽っていたのかということ
dj大江はこれらを処理する家電を模索していた?
https://youtu.be/ikyrzKBooYU
世界はメイヤスーヨーグルトだ
則ち攻殻としての容器と味蕾の記憶である
晩年や自決代わりの様式美

箪笥色のセーターを着て
大きな箪笥の前に坐っている
箪笥はニスで光っている
画面の中では手首や顔だけが薄い

青を羽織って
硝子戸の前に坐っている
巨木の園でブレイクの復楽を見ている
ひとりひとりにそのための水

声が出なくなって
水は
根は
ぽきぽき
秘書は去り
饅頭屋は潰れた
アウトドアグッズは小さなパンチの渦を巻き
変化のない洗濯機のように絶望している
鍵がない

4.17

holy ghost

抜け出ているという感覚は暗い薄青で

腰の痛みやら店員の顔探しやらSus4やら

突き上げる邪魔が槍のようで

 

家族とは子孫の集合なので

他人はいない

この世という孤児院で

トラウマを捻じ伏せるカクカクした言葉はない

サラ地に平和ビルを建てる職人が

ガレージで錆びた砂サンドを頬張りながら

建てられるものは壊せる、と言う

おれと似た人が損してる

制御しないなら無意味になる

母から受け継いだ同じ目を屡叩せて

たまに笑顔をつくろうとはするのだが

 

4.24

THE SLIDER

足から描き始めて
ジャスミンで覆う
線の裏側を見たことはない
when I am sad I slide

時間の風船が沢山ある
VTuberは推し曲とか言ってるけど
潮の満ち引きからは引き離される
when I am sad I slide

ムジ鳥は毎朝啼いたが
無農薬の風が途絶えた
死さえ目標にない
when I am sad I slide

アサ王もナホさんも生きている
前に死んでいた龍一は座っている
犬死にした軍勢や女の子たちがどうなるかを知らない
when I am sad I slide

時間の裏側は見たことがない
オッティンガーの「アル中女の肖像」は美味しい映画だが
GUT OGAUのJOSEPHINEは美しい酒だが
when I am sad I slide

oh watch now
I’m gonna slide

https://stand.fm/episodes/6445296f26ad90ed0bcb9d23