tori kudo

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白楽bitches brew

今回すべては白楽でのビアノソロの録音のために生じた自分の企画で、自分で企画して関東に行くのはメルトダウン以来だった。一月に初めて訪ねたビッチーズブリューで、杉田さんは、「客なんて来ないんだろ?はッキリ言ってゼロだろ?」と嬉しそうに言った。経営者なのに、裾野が広くて黒い富士山みたいだな、と思った。ベルクでその話を裏窓の福岡さんにしていたら、グッドマンの鎌田さんが偶然そばで聞いていて、うちでもやってよ、と言ってくれたので、ピアノソロの出来る店が二軒になったのは嬉しかった。2月に杉田さんから電話があり、ビッチーズブリューが4月9日に決まったので、アコーディオンのアキさんにフランスで出た”enka mood collection”のリリースパーティーをしようと持ちかけると、4月11日に大久保のひかりのうまで、ということになった。ひかりのうまは、マルタさんが店長で、原マスミさんや早川さんもやった雰囲気のあるいい店だと聞いていたので嬉しかった。旧バラ荘の相馬さんにも連絡し、8日から12日までは展示をし、12日にはライブもする、ということになった。あとは10日が空いていたので、鈴木美紀子さんに頼んで、黄金町の試聴室に訊いてもらったら空いているということだったので、マヘルをやることにした。
スケジュールは決まったが、4月に入っても東京に行く金がなかった。田尾くんが毎日一枚録音して送ってきたRが一年分あるけど100万くらいで売れないだろうか、河南省辺りに、金持ちでそういうの好きな人がいると生悦住さんが言ってたし、などと考えた。
ライブの内容は兎も角其処に行き着かないことには始まらなかった。内容とかは、どうでもいいというか、ただ立ってりゃいいんだから、貧乏人がただ立ってるのってすごいんだぞ、「漏れなきゃいい」から「漏れてもいい」に落として展示もしてきたけど、「立ってりゃいい」になったらこれ以上ハードルを下げられないだろう、などと毒づいていたら、モアでレコードの売上を貰えたので行きの旅費だけは出来た。
9日のビッチーズブリューは生悦住さんやparcの連中やら思ったより沢山来てくれて大変嬉しかった。これで最後という気持ちで弾いたら、杉田さんからやっぱり、おれが思った通りだと言われた。杉田さんはご機嫌で、バラ荘まで皆を乗せ、透析中の身なのに禁酒を破ってビールを飲み、鉢を買ってくれた。菓子を盛るのだと言った。翌日菓子を持った写真がアップされた。名の知れた写真家であるらしかった。