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1.THE NURSERY RHYMES 1975掌上

1975年松山東高文芸部誌「掌上」 

ルビ付は THE NURSERY RYMES

 

 

THE NURSERY RHYMES

       Ⅰ
  海に近い荒寥とした野原にぽつり聳へてゐる圓形の伽藍
のなかでと或る傳説的な競技會が開かれてゐた。競技者たち
は競技場へむかつて行つた。彼らは野原を歩いてゐた。
       Ⅱ
海邊に近いせゐだらうか、すきとほつて濕つた風が吹き
ぬけると壹切の凍てついた事物が鹽をふいて腐食してゆく。
だだつぴろい惸獨(けんどく)な野原を十二月十六日的空を心はしてゐた
などと呟きつゝ物凄い雲の白底なしの空色惘(ぼう)然(ぜん)と象(なが)め茫貌(ぼうぼう)、
せりあがる胸に息も深く吸ひ込み、兆を孕んだ稜稜せつぱつ
まつた景色、拡散してゆく思考群(パラノイア)を水鏡(つき)に照らしてみては押
し返し色褪せた浮遊するものその存在自體が潮解するものを
眺めやって呉れてゐたことを、透きとほつた黄色い月見草に
みるやうな氣がして水や空の歌 僕はうたつた。
  風景のなかを僕は歩いてゐた。ザムザ氏の散歩にすること
も出來た。セシユヱーの空間侵蝕、腺へのparanoiaといふ生
物意識に依つて萎へたヸーナスを打ち砕き耽溺することだつ
てできた。けれども僕はたゞたゞ透明だつた。
       Ⅲ
 (噯喲(ああ)!
  清涼飮料水は背後から透明にされた!)
  あのひとは煉瓦色したとらつくを、階段の通路むかつて
棘沓(すぱいく)ざつくざつく赤土を昏絶させ乍らあるいてきた。而して
のぼりぐちのところにつつたつてゐる僕に寂し気な笑(ゑま)ひをく
れた。宇宙の寂寥がその目に舞ひ降りて來た。
  さうなのだ。あんたにわかりはしない。今朝(けさ)の僕の此の
透明な實在感を、あの空の泣きだしさうな寓意性を、白濁し
た胸を締めつけた風景の午前のあの豫感を!ペダンティック
な回青橙(だいだい)の蒟蒻、巌本茉莉衒學肆重奏團⁉︎安物のチヤヰナド
レスを身に纏つて彼女が來る!そんなものはもうありはしな
い。フヲンテヱヌブロヲ派の靑がしづかに吹き荒れはじめて
ゐたのだ。ガブリヱル・フヲーレとセザアル・フランクのな
かで僕のマチヱールがときめいた蝋(らふ)に染められてゐつた。

  大伽藍(kathedra)のなかで僕は對峙してゐた。あのひとの目はまる
で慍(をこ)つてゐるかのやうに、邊(あたり)の空氣に對して翳響してゐた。
僕はその目のなかに淋しい郊外の拾字路に立つてゐた人だけ
が知つてゐる舞ひ降りてきた存在の薄れゆく凝集を見たのだ。
あのひとはあのひとのまはりの空氣をそつくり曳きつれて煉
瓦色のうへを移動してゐつた。そして競技場のほぼ中央にあ
るウヲータアクウラアの處で身を屈めて
                  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

                                                          かの女は水を飮んだ!

 

 

      すみれ 

 

う す い い ろ の 

と、こ い む ら さ 

き の と、き ょ う 

だ い み た い な 

す み れ だ ね。 

        4月9日 

 

 

 

  いけ 

 

山 に の ぼ っ て 

い っ た ら、い け 

を み つ け た 。 

れ ん げ も、す み 

れ も、つ つ じ も、 

さ い て る。 

い け の ふ ち に 

お り た ら お た 

ま じ ゃ く し が、 

い っ ぱ い、い っ 

ぱ い、お よ い で 

た 。   こ こ は 

もう、   み ん な 

春 に な っ ち ゃっ 

た ね。 

        4月9日 

 

 

 

 (あめ ん ぼう) 

 

あ め ん ぼ う は 

な み が き たって 

へ い き で う か

ん で る。 

あ め ん ぼ う は 

く も の な か ま 

か な。 

        4月9日 

 

 

 

  れんげ 

ぼ く と っ て も い い 

こ と わ か っ た ん だ 

れ ん げ の 花 は 

小 さ い ま め の 花 が 

  あ つ ま っ て さ い 

  て る ん だ よ 。 

 

 

 

     四月十一日はれ 

 

  パ パ と ま ま と 三 人 で 

山 の い け に い き ま し た。 

お た ま じ ゃ く し を と り 

ま し た 。   三 人 で い け の 

ふ ち に ね こ ろ ん で、と っ 

た お た ま じ ゃ く し を、 

な が め ま し た 。    さ く ら 

が さ い て い ま し た 。 

つ く し と わ ら び を み つ 

け ま し た。 

 

 

    えんそく 

え ん そ く に い っ て、み つ 

け た よ。 

も も の 花、ま め の 花、な の 

花、み ん な き れ い だ っ た よ。 

く さ で ふ え を つ く っ た 

    ん だ よ 

く ち ぶ え み た い に な る 

    ん だ よ 

 

             四月二十二日 

 

 

 

   きんぎょ

 

おたまじゃくしと

あそんていたきん 

きょが、ゆうべはじっ

としていました。 

けさみるとしんで

いました。おたまじゃ

くしがあつまって

きんぎょのおばちゃん 

おきろおきろって、

つついていました。 

 

 

 

  あり

 

ぼくが にわをみていると、

ありがいる。 

その中に 

ーぴきだけ 

あたまがきくて、

からだが小さいありがいる。 

 

 

 

 大きくなったら 

 

ぽくが 大きくなったら 

とべ中ぐらいのまきばを

つくって うまを百とう 

|うしを百とう|ひつ 

じを百とうかう。まいあ 

さ うまにのってまきば 

をはしる。それでもピア

ノはじょうずになって、

おんがく会にでられるよ

うになりたい。しごとが

すんだら ゆっくりひい

てみんなにきかせます。 

 

 

 

  一月五日(火)はれ 

 

 きょう、みるくをの

んでいたら、けい

すけくんが、こう

をもってきて、ひ

のなかにすてて

いました。くが

いって、こうりを

とりにいくま

えに、けいすけ 

くん をさそってい

き ました。ちょっと

こうりをとってかえ

 りました。しばら

く あそんでいた

ら、こうりがとけて、

みずになってしまって

いました。 

 

 

    ピアニスト

  てれびの中のおじいさんが、ながいながいゆび            

  でピアノをひいている。大きな手。大きなはな。   

  せなかもまるまっている。じょうずにおとを     

  だして大きいおと小さいおとをよく         

  ならしている。きれいなおと。きれいなす      

  たっかっと。もじゃもじゃのかみ ぼくは あんな     

おじいさんに                   

     な り たい。    

 

フリードリッヒ,  ビューラー                          12.12

                                          

 

 

 

   ぼくのヒヤシンス 

 

九月にうえた、 

ヒアシンスのきゅうこんから花がさいた。 

ぼくの ヒアシンスは 

ももいろだ。 

ももいろの かたまりみたい。 

水を とりかえるとき、 

ねを ぼきぽきおっちゃったから、 

二本しかない。 

それでも、きれいに さいた。 

ぼくの へやの中は、 

ヒアシンスのにおいでいっぱいだ。 

 

 

 ラッパすいせん 

 

  二年まえにうえた、ラッパすいせんが、きょう、さいた。 

 

 もう、はるなのにさいた。花の中かららっぱのような

だいだいいろの花がつきでていた。 

 

         三月二十三日 水よう日 

 

 

 

   サフラン 

 

がっこうからかえってみ 

ると うえきばちの サフ 

ランがさいていました。ぼ 

くは大いそぎで水をかけて 

やりました。サフランは、 

「ありがとう。」といってい 

るようでした。ぼくは、サ 

フランがあんまりきれいな 

ので中をそっとのぞいてみ 

ました。その中にへびのし 

たみたいなものがにゅっと 

つきでていました。ばくは、 

おもわず「ぱちっ。」と目を 

つぶりました。でもすぐに、 

「ぱちっ。」と目をあけました。 

 そしてへびのしたみたい 

 なものを一本ぬきました。 

 

 

 

   いぬ 

 

    がっこうのかえりに 

 

   ぬを みた。 

  うさぎのような 

   いぬだ。 

とちゅうで 

 

くんくんと 

 じめんにはなを 

   つけた 。

   ぼくは 

 お     て 

  かしくなっ

 

 とんでかえった。 

 

 

 

 しゃぼんだま 

 

    ばくは、しゃぽんだまをつくってけいすけくんととばしま

した。けいすけくんはがっこうで    つくった    しゃぼんだま

を    ふこうとしましたが    グリセリンをいっぱいいれすぎた

のでどろどろになっていました。ぼくも、まえかがくについ

ていた   グリセリンを   いれすぎて    どろどろになったのを、

思いだしました。どろどろのせっけん水をすてるとき、中の

グリセリンのかたまりが、とろっとおちてそのあとにのこり

のせっけん水がながれでました。そうかんがえおもったとき、

けいすけくんは、せっけん水を  つくってしまっていました。 

それで、ぼくが 「しゃぽんだまでなにをしよう。」というと

けいすけくんが「ふくらましやいこをしよう。」といって ば

くがどこで。」というとけいすけくんが。」といいまし

た。そしてまた「外でせんと思い出がない。」といいました。 

ぼくはほんとうはわらいたかったのですが、がまんしました。 

それからぼくは ふくらましやいこをしました。ぼくは、が

っこうで もらった いちばんよくふくらむ ストローをえ

らんで ふきました。けいすけくんは、かがくのふろくのさ

きに らっぱをつけたのでふきました。一かいめはぼくのか

ちで 三かい四かいといってとうとうどうてんになりました。 

つぎにしゃぼんだまの中に しゃぼんだまを入れるあそびを

しました。けいすけくんが 大きい しゃぼんだまをつくる

と ぼくがその中に 小さいしゃぽんだまをつくりました。 

すると、大きいしゃぼんだまの中に小さいしゃほんだまがふ

わりふわりうかんで たいあたりして 外にでようとして、

とうとう大きいしゃぼんだまの外がわにでました。ぼくとけ

いすけくんは、おもしろいのでもう二へんして さいごに 

しゃぽんだまをわるあそびをしました。はじめにぽくがしゃ

ほんだまをわってけいすけくんがしゃぱんだまをふきました。 

けいすけくんは十二わってぼくは二十わりました。でも二か

いめけいすけくんが二十三わってばくが十九なのでどうてん

になりました。そしてまたふくらましやいこをしていえにか

えりました。 

 

 

 

   りょうへいかのおむかえ 

 

 きょうは、てんのうへいかとこうどうへいかが、ぼくたち

の 町に いらっしゃるので、おむかえを する日です。中

学校まで いくので すごく つかれました。やっと つい

たのですが、なかなか、おみえになりません。 

 手と足が だるくなってきました。そして、つかれてきま

した。とうとう 

「フー」 

 といって、すわりこんでしまいました。高いところを ヘ

リコプターが ぜん速力で とんでいます。だんだん 小さ

くなって みえなくなりました。やっとりようへいかが お

みえになりました。はじめに、白ばいが ゆっくりと とお

っていきました。そのあと、だいぶとおくから、  りょうへ 

いかが のって おいでる おくるまが ゆっくり  きまし

た。まっ黒く、大がたの じょうようしゃです。 

 こうごうへいかさまは、ちゃいろいけがわの ふくを き

て おいでになりました。あとから あとから 黒い さっ

そうの じどうしゃが、ゆっくり ゆっくりとおっていきま

した。ぼくたちは、はたをふりまわして、  

 「ばんざあい。」

 と大ごえで いいました。いったん学校にかえっておべんとうをたべてから、

また おかえりを おみおくりにいきました。 

 

 

 

  けむし 

 ひろふみちゃんが やすんだので りょうこ ちゃんと

たからものを もって おみまいに いきました。とちゅう

で けむしをみつけ ました ぼくは けむしを つかんで

はっぱに のせて おみまいにもっていくことにしました。 

ひろふみちゃんの おかあさんが きもちが わるいといっ

たので けむしはあげずににほんのうえんのちゅうしゃをし

てやろう と いってはりがねで さしました。けむしは

まるくなり  ました。きのはにのせて川に ながしてあ

そび ました。うがた パパにはなすと けむしは さ

すのもいるから

あんまりいじったら

 いけないよといいました。 

 

 

 

       虫とり 

 

 きょうは、日ようびです。けいすけくんと、あみを もっ

て 虫とりに いきました。しじみちょうを  二ひきと

じゃのめちょうを一ぴき つかまえました。 

ちょうを ぼけっとに

しまって 大きなどんぐりをひろいました。どんぐりをひろ

っていると、けいすけくんの おじいさんがきて とってや

ろう といって たくさんとってくれました。 

そしてけいすけくんのおじいさんは こんど じぶんの ど

んぐりのきを きるから ーしょうぐ らい あげるからな

といって かえって いきました。そして 山へのぼって

いくと へんな ふだが かきのきに ぶるさがって  い

ました。ぽくは、     こわくなって はしって かえりま

した。かえってきて

ぽけっとを  さぐってみたら

 ちょうは、いませんでした。 

 

 

 

  かわいいすずめのちゅんすけ

 

ばくは、がっこうで、すずめを、手づかみで、とった。ぼく

は、心の中ですごく うれしく思った。 

ぼくは、いばった。すずめをみせびらせながら、

大いばりであるいた。すずめは、まだこどもだから

うまくとべない。りょうとちゃんが、すずめを入れるかごを

くれた。りょうこちゃんは、すずめがみたいのでついてきた。 

うちにつくと おかあさんが、たべものをつくってくれた。 

すずめは、小さなくちをあけて、たべた。すごいくいしんば

うで、

すごくたべる。たべると、「ちゅんちゅん。」と、ないた。 

りょうとちゃんは、かえった。けいすけくんと、けいじくん

がきた。けいじくんは早くかえった。けいすけくんもけいじ

くんも、 

すずめをもっている。でもけいすけくんのすずめは、

よわっている。ぼくのすずめは、ごはんをたべたら

げんきになって、まだ「ちゅんちゅん。」とないている。 

けいすけくんも、かえった。ぼくは、このすずめに、

「ちゅんすけ」と、なまえをつけた。よるになっても、

すずめの「ちゅんすけ」は、「ちゅんちゅん。」とないている。 

  四月十六日 土      

 

 

 

 

 あとがき

 

たくさんの ものを みたけれど

すこししかかけなかった

とべには ない りんごの木の

しゃしんも とりたかった。