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2014.7.17 「改変期」金子寿徳

金子
この、改変期という歌は、時間を遡行することが正しい清めであるという考えに貫かれている。
修学旅行のバスガイドに唱わされる「四季の唄」よろしく、三番まである歌詞にそれぞれ春、冬、秋、と、季節が逆順に付されているのは、歌詞にはないけれども、今が、逆に、存在の苛酷な「夏」である、ということなのだろう。 時間を正しく遡って辿り着くのは「エデンの園の真ん中」、命の木のある場所である。そこ「に」消えてゆく「涙」、という表現が、黙示録の最終部分と重ね合わされる。
Rev. 21:4 「また[神]は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。 「時計の針」、「ラジオの声」、「機織る音」の 「清らかさ」といった、失楽園から復楽園への憧憬の、群馬の中学生らしい素直さに僕は泣き、同時に、その後の彼を覆った暗黒の巨大さを想う。