maher shalal hash baz 第一集 d’s label
maher shalal hash baz 第一集 d’s label
1.
心と魂と思い
心の別の場所から
戦いの終わる時に
出てくるのは
うたではない
わたしのいる場所をあなたは知らない
2.
末日記
終わりの日には
人の子が雲に乗り
わたしの貧しさ
はとにも知られて
空の青より悲しみ深く
この世の国たみ
給料も出ぬ末日
3.
ルーアハ
4.
彼女は待てなかった
5.
女の中で最も美しい者よ
6.
夏
夏
波に乗る人
波に消えた人
子供のように
7.
ときどきけんは
8.
昔の月〜951_2-Ave.-B-N.Y.-Ny.
9.
過去の、知られていない幸福
10.
何年か前、広尾の天現寺交差点を車で通り過ぎたとき浮かんだ曲
後ろに見えるは天現寺
見える組織と見えない国と
この世の器に形作られた
うたのわかれがある
天の王国は実現した
地と海にとっては災い
後ろに消えた天現寺
口には甘いが腹には苦い
家が欲しいとささやく声に
だまされた神殿
天の王国は実現した
それゆえに天と天に住むものよ喜べ
11.
一橋大学校内の朝の歌
12.
街角のカレッジ
隠れ場のない
わたしの血の罪
ほんとは死んでもいい筈なのに
通りかかる娘たちを眺めたり
のろい馬に賭けたり
安いジンをあおったりして
うたのなかではすることがない
行くところもないし
会う人もいない
来年には草がぼくらの墓を
覆っているだろう
ぼくらは何者でもなかった
兵隊でさえなかった
冷たい星がぼくらをみつめている
みんなこの世がそうさせた
冷たい星と娼婦たち
13.
この世の下がる坂道を私は上がる
あなたの下る坂道をわたしは上る
愛の水平線は八日目の朝
おお殺しの狂暴な痩せ馬がいななく
来るべきこの世へ
14.
河口湖畔にて
おかされることの果実によって不安がある
赤い臓物の夕日の母屋もある
湖畔はすべて火山岩
食堂に寝起きして
嘘の湖水の中の嘘の石
出された皿は食ってしまう
階段があれば上ってしまう
腹の天使ももうすぐ終わる
おれの飢えも満たされるだろう
ゆううつな灰が飛び立って
モーターボートの湖水を走る
本能の城
闇の発明者は風を降らせて
地を破滅させているものを破滅させ
死人を裁く
狂暴な棘が降り立って
空は黄色く波は黒く盛り上がる
生き残れたら
15.
蝶
16.
山の羊
山羊はうたをうたうけど
羊はうたをうたわない
でも右に集められ
山の上にみんなで登る
うその羊や山羊たちは
左に集められ
死んでもういない
山羊はうたをうたうけど
羊はうたをうたわない
でも右に集められ
あたらしいうたを
17.
八日目の休み
18.
人生の束
盗まれて人生を束にした
彼は窓から帰ってくる
手に職を持って
19.
嘘の風土記はうす青い/女給の休息は苦い水飴