◎ザリガニツリ 第27号 揚雲雀製陶所通信7 サウル 聖霊なきセラミック・ダンサー 即非の器
揭霎雀製陶所通信⑦
サウル 聖霊なきセラミック・ダンサー 即非の器
水が感情を伝えるのに対し、粘土は感覚を伝
える。粘土鉱物はシリカとアルミナとアルカ
リのパンで水を挟んだサンドイッチのような
構造をしており、それがガラスに吸盤が貼り
ついたときのような進的横滑りとしての可塑
性を生む。だからウォーホールがヴェルヴェッ
ト・アンダーグラウンドによるショーを「爆
発する不可避の可塑性」と名付けたことには
かれの根源的な直感が伺える。人体も地球も
ほぼ同じ比率の塵=元素=粘土で造られており、
セラミックセンサーとしての人体の中で感情
は化学反応に、感覚は電気信号に変換されて
伝えられていく。土の立ち上がり、轆種によ
る土塊の引き上げについての先人の言葉が重
みを持つのは、粘土が水と同じくらい基本的
な物質であり、手を通してかれの倫理的な美
醜に至るまでの微細な情報が確かに顕わにさ
れてしまうからである。ヘブライ語で造ると
いう意味の動詞ハーラーは水と粘土で器を作
るという意味であり、土の器に風(ルーアハ)
が入ればそれは呼吸し始め、光が入れば命
(ゾーエー)を持ち、入らなければそれが即
ち非の器となる。
