tori kudo

Back to the list

浜風文庫 2020.3

 

3.2

もうだめだ

こんなのはまだ序の口ですよ
人々は恐れのあまり気を失うんです
そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて
そこで本当の終わりが来るんです
スペイン風邪の年に生まれたA(百歳)は
車の中でそのように述べた

事は簡単ではない
書けない言葉がある
年老いて妊る正しさに曝されて
不愉快でもある
追い出される者がいる
物事は
イカの存立平面上にある
追い出された子に弓を教える
番える間が子育てだ
がエジプトから妻を貰うと
矢は放たれたままとなって
今日に至る
世界を彷徨うムハンマドは弓を習ったのだ
彼はすべての人に敵対し
すべての人は彼に敵対する
だから
悪気があるかどうか
だけを見てほしい
半面だが嘘ではない正しさの外の荒野を
ナレーターの声色で進む
荒野に抜け道はなかった
イチジクを枯らし
兄弟を許し
コンビニの界面を撫でるムハンマド
咳が出てきた

こんなのはまだ序の口ですよ
人々は恐れのあまり気を失うんです
そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて
そこで本当の終わりが来るんです

ギターを失くした渡り鳥
〽みーんな去年と同じダヨ
バッサリのバの音が足んねえ
何も忍bazz腎臓擦り潰し麺打ち
腰のある麺打ち
ブラック徳島という店に入った
そこから抜きつ抜かれつして帰ったら2時だった
それからギターを失くす夢を見て
血合いの側をアミに押し付けた
百舌が枯木で啼いている

こんなのはまだ序の口ですよ

手に取るように手に取る
クリックするようにクリックする
眺めるように眺める
でも打つように書く

人々は恐れのあまり気を失うんです

空の青
撮れる自分を撮りながら
撮れない自分を撮っているのか

そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて

「はやくおきすぎたあり」
ありはにわからはいだしていえのなかにはいってみましたがなにもありませんでした
ストーブははるがいちばんあったかいな
といういえのしゅじんのこえがきこえました
おしまい

そこで本当の終わりが来るんです

免疫力をつけるには寝るのが一番です
相模原事件を扱った辺見庸の月というのを読みましたが、震災以来よく見られる、厳粛さを勘違いしたジャーナリストの浅さのようなものを感じます
放射能やコロナを神の位置に置くと晩年を身辺整理しやすくなるので彼らはそうしているだけです
ご自愛ください

こんなのはまだ序の口ですよ

風邪の表情

人々は恐れのあまり気を失うんです

雪の山がごつごつしているなあ
遠くにあるのに

そのあとそれを諸国家の力で克服したように見せかけて

周章テル乞食ハ貰イガ少ナイ

そこで本当の終わりが来るんです

ピダハンよりも随分前に書かれたボルヘスの「ブロディーの報告書」は、ひとまとめにして把握されたくないホモ・サピエンスの宣教師の欲求を字にしたものだ。
権威において常に下位に置かれることを潔しとしない被造レジスタンスは、カフェの炭水化物の眠気の中で、ネフィリムの遺伝子を夢想するだけだ。
それを食べる資格はない!と夢で警告を与えられたのなら、田んぼにトラットリアを出すな。
永遠に、そうです永遠に、
と言う時の口馴れた’そうです’
親になったなら心に刻み込もう
現生人類の子供は親だけのものではないこと
鳥のマスクで逃れようとして
星座は酢飯の稲荷の黒胡麻と教え
畳まれた油揚げの襞を存立平面とする
大阪のライブハウスでそのばくてりあに這入られ、高知で発症した
番えられはなたれるまで歌留多する

こんなのはまだ序の口ですよ
スペイン風邪の年に生まれたA(百歳)は
車の中でそのように述べた

 

 

3.9

(電信柱が)

電信柱が
遠近法に従って立っているけれども
小さくなっていくわけではない
でも本当に小さくなっているのだとしたら
わたしたちの悩みは
遠近法に従って立つべきだ
善悪よりも遠近の方が重要なのだ
青空は愛する
連なりの奥の
奥の
遠い夜の
その遠さを

 

 

3.16

あ、と@ー

@-
あなたなしで
@-
違いました
奇効 卓効 の 違い の ように
蓬でも摘み
あなたが居て
(絵画の季語を更新したからにはドイグは)
あ、場所がないってことは
ない場所で書けってことか
いよいよだな
すべての連結をばくてりあに代行してもらうさだめの時が到来しました
ぼくはその間泳いでいよう
頭を地球にして
運転なんぞはばくてりやに代行してもらおう
さいぜりあかさいぜりやかも決めてもらおう
そしてぼくは遠い外国に旅に出よう
あ、遠い外国なんてもうないんだった
じゃあ上池の土手を一周しよう
その間に何人死ぬるかな
あ、死ぬるはこっちの方言だったごめん
つい出ちゃってサア
ずっとろくに寝ないで働き続けている
空いた時間は自分の遺品を整理している
僕が死んでもうずいぶん経つので記憶が薄れてきている
人の名前をとうとう一親等くらいまでしか覚えられなかった
ほとんど味噌と納豆を食べていた
彼はオープンカフェが好きだった、という墓碑銘は、もっと行っておきたかった
たなぁというような意味に過ぎない
身体は歯を外に押し出そうとする
子らの歯が浮くのはこのためだ
裏を表に表を裏に
民家なのに自販機置いてる
眠いですさんたまりあ
と象は言って寝ました
自営やフリーターにも援助が出るっていうけど現金くれるんだろうかファミレスで寝てはいけません
横になれたら死んでもいい
あ、わかったストロングゼロ6缶pとか現物支給だと思う
そう理に手紙書いてその配達をいちおく円で請け負おう
音楽はいつも向こう側を流れている
音楽は川ではなく川の向こう側を逆流している
川に釣り糸を垂れても音楽は作れない
作りに行く音楽は川で海の魚を釣り海で死んだ川魚を掬うようなものだ
コロナのせいでしばらく図書館車を止めるという電話が入った
棚の隅で古井由吉か白石一文フェアを設えようと思っていたのに、
そういうことです
と言われた
昔、里見弴やゴーチェの文体について話していた時に角谷が言った、
彫琢のある
という山口弁の言葉の響きがまだ残っている
粋な看守の計らいで
朝マルシェで見たけど東温でもビーツ栽培してるひとが居(を)るんやね
バンドマンは腰にも木綿のバンダナや絹のスカーフを身に付け羅紗の云々
代車?
おれは代車だったのか
@-
あなたなしで
@-
爆睡フライデー
3.11
空白空0フゲロ phygelus
ええ、固めで
薄味にしてください
あとは普通で
(古井由吉遺作を読んでいる)
空白空0ヘルモゲネ hermogene
はーい
(デマスに)ネギイチカタウスです
空白空0デマス demas
はいよ
(フゲロに)薄めでも飲み干したら世界は同じことだ
糸井批判は贖いを薄めるため、
道連れのライブハウス最終兵器彼氏はポアと同じ発想
老人死
見渡すかぎり
サガミハラ
2°Cか
思えばテロは文明であった
文明は恐竜のように滅び
ウィルスは虹運動の果てとしてヒトとの婚姻届を出せるようになる
権利が認められたのだ
前に同じことがあった
労働者から少数民族に移行した後家畜に目を向け最後は単一プランテーション批判に行き着いたエコロジーの、
更にその果ての死後のアルシーブとしてのレピと似ているのだ
その爬虫類顔への流れは、エデンの命名の逆を行った。存在よりも翻訳の方が大事なのだ。逆行の獣姦としてのコロナの顔にこそ反逆者の王冠があった
言語より翻訳の方が上に来るので似姿の失敗はコロナの顔に転写されてゆくのだ
ヒトは瀬戸の花嫁
ウィルスからウィルスへ
翻訳していくの
幼い弟
コロナと泣いた
オトコロナだあったら
ないたありせえずうに
父さん母さん大事にしてね
やだコロナ目がない
美女と野獣と思えばいいのよ
もうじき国が目を描き入れるわ
じゃあ行きますと答えるリベカ
夫は立ちション(誤訳)黙想しても感染しない唯一の希望の星だった
希望は絶望
絶望は希望
ウィルスのように増えたので
人間のように増えたのだ
能記所記
肺炎初期
裴氏とカイジ
分断熱38度線維持
はいはhigh
いいえはyeah
ハイヤー理不尽川
李夫人と裴氏
奇天烈コロナリ
モータウン
それは牛の町
ベーブ・ルース
コロナイン南港
裴氏の色やね
一旦バキューン
丹波牛
脳林水産大尽
カフカ保護
株価変身
コロナイダー
カローラコロナソアラの三人
おころのみ焼
なろうなろうコロなろう
あすは肺炎の気になろう
おんころな人は肺を受け継ぐでしょう
おところんところんな
公論な
「殺な」糸井貫二
ころならまんせい
コンコンハクション
コロナロー
コロナあ、と@-
ヨーヨーマ
芙蓉蟹
厚労省
コーロー麺
(いや紅楼夢、かな)
オペラナブッコロナ
神戸のお菓子と言えばコロナンバン
餡ころくださいな
ナンコロ?
6個な
炭火?
コンロな
ころなずむ黄昏
こころなはずむビギン
二人でつつくコロ鍋
絶対出てくるコロナート
放射能:人命保護
テロ:文明保護
コロナ:人類保護
の三層のパイ生地
増えることは減ること
減ることは増えること
うれしいことはかなしいこと
かなしいことはうれしいこと
生きることは死ぬこと
死ぬことは生きること
見えないものは見えるもの
見えるものは見えないもの
昔はトリチウムがそうだった
今はコロナだ
トリチウムは生き物ではない
コロナはばくてりあでちゃんとした生き物だからきみとも結婚できる
セリーヌがまんまと医者になれた論文「ゼンメルヴァイスの生涯と業績」は
手を洗うという行為が見えないものと結びついているという布教に終始しているが
見えないものに対する感受性こそが作家の資質であり
それがフィリピンパブに拡散しに行くことにも繋がっていくのだという怖ろしさを
セリーヌ自身は免れているという仕掛けになっている
聖セリーヌ全集は真っ白な装丁にすべきであった
フィリピンパブに話を戻すが
崖っ淵の豚の群れ以来の道連れの自棄は
サガミハラを経て
拡散の自暴となって目に見えるようになった
何回も繰り返すがこれはポアであり
無意識の陰謀論的人口削減願望のユング的現われであると言える
芸術の優先順位はそのダークサイドに直面しつつも、ピラトの手の洗い方ではなく、セリーヌの白さを持たなければならない
管は避け弦かデジタルにする
マスクして戸は開ける
アルコールがないなら焼酎を噴霧し続ける
急に1℃になった
手にハンマーを持て
という歌がかかっているが
コロナの魂がひとつ
飢えた虎に身を差し出す
きみも死んジャイナ節
全米が死んだ
鎖国して触る鎖骨
骨粗鬆和尚
射殺せよと呼ぶ声が聞こえ
バグワンが沢庵をバクバク
唇にチック
目頭2:50
PayPayペンペン草
一遍遍上人
ふだんはさえない少年・石野あらし。だが、ひとたびゲーム機に向かうとき、その才能が目を覚ます!!
ホケキョと啼いて踵を返す死んだ女房の近視顔
風邪っぽい
栄光
軽んじる
くさみどり
000あるくまね
菜の花はリングの中
眠いのでダンスの軸足がふらつくが
アトリエの埃だと思って光を浴びる、
シーク教徒のターバン
ああ
あなたなしで
ああ

 

3.23

 

証明写真の背景に寒色が入っている
ふたつの人格がエネルギーを掛け流しにしている
瞬間に倫理はない、という着古した欲望の流れ
寒暖の差額のように綱から踏み外し続ける
血は樹木のように枝分かれして
入れ替わるかもしれない顔を形作る
姓が食い止めているのは何の氾濫か
蒸せ返るような苦々しさの小石が紅い
ハグする正しさの井戸を塞ぎ
掘り返して命名する緊張を学べ
シルエットは人質の解放を夢見させている
落語家か梟か識別出来るほど日は伸びて今はしんとしている
有名な俳優に翻訳されていく夜
猫の理解と比べてみる夜の目
染めた髪と白髪の同根の緊張
毛根に光を当てて
自分を描け流す
なんで猫が退屈しなければならないのか
最も大事なことをなぞるなら樹木は折れる
ヤギの白が一七℃で
政権など何の考慮にも値しない
赤縁メガネにピンクの雲が絡まる
答える必要がないことに答える奏法が無駄
折れて斜めになっても伸びるミモザ
猫の叛乱
原因が分からないので暴れているのだ
コンパクトな室町様式の肖像画の直線に猫の哭き声が被さる
ブルドーザーはニカニカする
銀は寒暖に降り注ぐ
生きている人は死んでおり
死んだ人は死んでいる
コロナの人はコロナを生きており
コロナじゃない人はコロナを生きている
今日という日のいらだちを
通過させるのはETCしか使えないスマートIC
全て発掘して陳列させられる格言の疫病
アメリカの形がシルエットになっている
やましい発音としてのあーたとわたいたち
背景色は黄色が良い
創造界のデザインに見られるヒョウ柄
ヒットエンドラン×2
抗癌剤でニット帽
無緑感で散らされる
日本人かどうか区別するのは
パンシロン色のニット帽
老齢ローレライ
シンプソンズの瞼
椅子は猫にoccupied
編笠の風化と共に
黒鍵は指に昇られてゆく
病気と
金欠
老齢
あたいたちとあーた
安普請
どのICから入るか
ツバメ国道で吃る
闘え!コロナウィルス!
昔は一度言ったことは取り消せなかったが
今は指が滑ってストーリィさえ消える
写真術の進歩などない
梅は落ちた
柿芽は食べる
テカる人間価格
ちんちちゅじょで柿の芽は膨らむ
薄汚れた毛皮の不興
和紙の道はコウゾ
雀の居なくなったworld
我ハトのごと翼ありなば
声はギンとハウる(シェールの”Do you believe in life after love?”みたいに)
石切りのように消えてゆけ
自由になって命を軽くするより
正しくなくてもいいので重くする
大抵のアナウンサーはそうではないが
きっとズボンも履いているに違いない
顔が物語っている
私の闇
レッツゴー役立たずと唄っていたが死んだ

3.30

 

ふたつの詩のある風景

 

最後に一言いいですかあ▶は新聞読めるだろうからきっとコロナのことだったと思う▶最初から言ってくれればわざわざ自分がやらなくてもよかったのに▶ほんとは知ってたんでしょ▶

eighteen▶and dreaming

東の人は分からないだろうけどjoyfullに黒豆茶がなくなったのは許せない▶代わりにドリンクバーにはピーチティーというのが入っているがそんなの飲まないよ▶徹夜してる人種には黒豆茶の優しさが必要なんだ▶ファミレスのホームレス▶スレを立てたらフェミにはマジレス▶psfはプロレス▶太ったロックンコレステローラー▶ニールヤングはホープレス▶スペイン人かゴンザレス▶日航レスキュー坂本九▶下着はなんとシームレス▶レスザンゼロのキャッシュレス

歌のラインより高い音程の伴奏には三味線の音色が自在で特権的である▶耳は声と弦を同時に聴くが我々は弦を無意識に虫の音と同列に置く▶ギターだと二人格を聴くことを強いられることになる▶フォーク野郎のギターが凡庸なのはギター人格を押さえ込もうとするからである

道連れ

NullPo▶guts

ルルは非道い物語だ▶ベルクとしては中の人だから見えないんだろうけど▶まあ殺されて終わるから帳尻は付くが

夢はオールスターだった▶客商売の人の夢には客が出てくるんだろうか▶その人にも毛根があるんだと思うのも気付きと言う乎▶明け方 そんなには寒くなかった▶突然 チビ太はママになりました と口を突いた▶東から素直なメッセージで▶ハーネスではまめに換気して声は使わない▶とあった

hey Zach, is being in Europe no longer able?

春は春とて夜は夜とて単管の▶音色の栄誉に与れば▶師とは呼ばれぬ揚雲雀▶上がり下がりの寒暖を▶鳴かず飛ばずの興行の▶見えぬ掟に震えつつ▶筆舌尽くしてWiFiの▶見えるウィルスに乗せましょう▶見える電波に乗せましょう

ウィル・スミス▶ミス・ウィルス

〽︎神戸 泣いて どうなるのか▶感染された我身が みじめになるだけ▶神戸 船の灯うつす▶濁り水の中に 靴を投げ落す▶そして ひとつが 終わり▶そして ひとつが 生まれ▶夢の続き 見せてくれる▶宿主 捜すのよ▶〽︎神戸 呼んで感染る店か▶傷ついた免疫系が みにくくなるだけ▶神戸 無理に足を運び▶眼についた名もない 花を踏みにじる▶
そして ひとつが 終わり▶そして クラスターが 生まれ▶誰か うまい 嘘のつける▶バンドマン 捜すのよ

そして埼玉

着々と進む花見の準備

マックの店長やってる夢みた

はなれ瞽女おりん▶ピック▶▶ニックに▶ぴくっ▶憎い

くるしみぼろぼろ▶くるしみほかほか▶くるしみふわふわ▶くるしみしゃきしゃき▶くるしみはぐはぐ▶くるしみギィーンギィーン▶ビールをストロングゼロに変えるようにかなしみはくるしみに変わったのだ▶くるしみによって認知の進行を防ぐ

ロックダウン

アーカイブ化に沈潜し春を軽んじる

耳障りなプロコフィエフは終わりの時になお稼働するATMのようだ

夢見たものは ひとつの幸福▶だとか▶〈私には 何が ある?〈私には 何が ある?▶だとか▶誦じているが▶〈それが何になるのか▶深夜のファミレスで▶不味いカフェオレを飲んでいるおれ

A列車のテーマの繋ぎ目は地下鉄のドアの開閉だということにやっと気付いた▶ということはハーレムの手前の各駅に対応している筈だ

即興をあるべき位置に置く、とか言い続けてきたわけだがこれでやっとわかっただろう一番大事なのは音楽でも自分でもないということが

ビーツなら栽培してもいいかな

小学生まで「これまでの人生を振り返って」などという作文を書いて自らのアーカイブ化に勤しんでいる

今頃は長野の盆地の夜景が綺麗だろうな

朝一番早いのは▶寝てない屋のおじさん

闇はシームレスなので闇だらけという用法は当たらない▶それに対して光は光源の数だけ存在しうる▶闇は打ち勝つことができない

安全は平和とセットの二番手で目立たなかったのがここに来て平和より先に浮上してきた▶戦争する力はなくなるので終わりは安全だ平和だという宣言から始まる▶安全は平和より上に来るということに気付かなかったのは氷河期の狭間で安寧を貪っていたからであろう▶ここに来て玉置浩二が浮上してきた▶安全バンドてのもいたな渋谷屋根裏で▶絶対安全剃刀という漫画もあった▶今やジジェクもウェルベックも残雪もアイラも「安全」という本を書いている筈だ▶鉄コン筋クリートのシロもクロをあんしんあんしんと宥める代わりにあんぜんあんぜんと言うようになる▶人間が結束して何かに立ち向かおうとするとき人類は滅びる▶映画を観るということはその反対のプロパガンダに晒され身体にそれを刷り込まれるに任せるということだからウィルスと一緒である▶アナーキズムは平和のみに、アンチナタリズムは安全のみに対して考え出されたカウンターでしかない

▶

突然のあつまれとびだせどうぶつの森会議に唐突な胸肉のアップ
下付きの顎の鮭に生まれた方が良かった
どの子も可愛いは嘘ね
英語の発語の愉楽は即興では出来ない
問題は毛深い
法的に納車し廃車にする残酷な春を
輸送の菜畑に賭ける
正当性は得てしてこの平野部を覆う故に
人の傘は小さすぎる
小さい傘が百円皿に張られて
キッズはココアを舐める
溶血の空はみどりの聚楽壁に映り出て
鎖付き眼鏡は幾度も死を乗り越える
黒い鞍馬天狗が六本木ヒルズのように聳え立って
前屈みの俳優は雪達磨型のアイコンを呼び寄せる
梯子を上り下りする水のやり取り
成り行きで工事する粘土の庭
広い天蓋を張れるなら
殺意は無縁のままだ
はだらのほどろのまだらが火のついてないストーブから立ち昇る
家に来る豹がコロナに罹る
クラスターはエメラルドの空のなかで溶血する
灯油を買えず氷を買うエスキモー
道路の写真の灰色を眺め続けてアーカイブを完成させる
胸肉がそんなに分厚く取れる鶏って一体どれくらいの大きさなんだ
鮭だったら良かった
下顎を突き出して高潔さを捨てず海を泳ぐ
積算で支える赤いメンテナンス
秘蔵の笑顔の灰色写真を眺め続ける
善意をダウンロードして敵意をアップロードする
誓うことができないラクダが
フィットネスクラブで体調を崩した
気取って泳ぐ太平洋
泳ぐ能力は否定しようがない
イクラは何の子ですか
鮭の子なのであれば何故イクラ丼はサーモン丼より高いのですか

監視拒否より安全を選択する時に人間社会は終わる▶戦争などでは世界は終わらない▶安全によって終わるのだ

いろいろと考えたことはすべて無駄に終わるだろう

こども電話相談室を流していたらブラックホールでは点も潰れている、と聞こえてきた▶点が潰れるということは抽象概念が潰れるということだからそりゃすごいなと思った

幻影が見えるまで起きていると恐怖心から本心に立ち返ったと誤解することがある

▶

泣きの寂(サビ)にストンと落ちるマイナーの
窓枠から眺める春の写真
どの春も同じだった
取り返しがつかなかった
菜の花は咲く前に
蕗の薹は伸びる前に
柿の芽は太る前に
採らなければならなかった
眺めせし間に世は過ぎた
区切られた枠の期間を黒いカーテンが仕切った
その枠の中で倅に説明しようとして
光合成の頭を磨り潰す
白犬連れた二人
白いミニバン
フレームの中の動画の道に
注入され続ける桃花
道作りの倅に死なれた
損失に
補填され続けるペースト
同じ写真を削除し続けると
どの春も悔しかった
チューブは悔悟を出し切って
今年も炎が芽吹いた
擬古典様式を装って
教えようとする春休みの垂直抗力
願わくば花の下にて春死なむあの如月の望月のコロナ
網戸の声がにちゃにちゃして
化調で育った焼きそばの記憶のような確からしさ
そう、蓋を取り、
水に証印を押す
これはコックピットのように鮮やかだ
色のない旗が振られ
濃い落ち着きと重量と
エフェクトのない竹林の静止
わたしの羽搏きさえも捕らえられた
招待の鉄の甲羅が張り伸ばされるのは胸か頭か
最早地上でこのフレームを見る気は失せる
風は何処から再び生まれるのか知らないのであれば
風を問うてはならない、とは逆北條だ
いわれを問われる→ぬはよい。問われるままに、こたえる→ぬ都であったから。笠をぬぎ、膝へ伏せて答えた。重ねて北條と。
石原には城の石しか見えなかったのだ
このテントの垂直抗力
早く脱ぎ捨てたいわけではないが
別の服を着て命にのみ込まれたい
赤い薄い手を拡げ
知り得ぬ空を