漏れる器
「漏れる器」fall leaking pots, found in garbage field near the kiln
遼の時代の焼き物が好きです。騎馬民族で、焼き物なんかに割く時間がなく、きっと恋と戦争に生きているんです。センスは宋代のくせに轆轤はえらくスピードがあって、ささっと挽いてささっと焼く感じです。背景はキャラバン風プログレのくせにデカダンでパンクをやるって感じですかね。というわけで、最初はいろいろやっていたんですが、そのうちだんだん形や色はどうでもよくなってきて、「漏れなければいい」というところまで行きました。言ってみればハードルを低くすることで幸福感を得ようという処世術でしょうか。ああそのうちにとうとう今年は、「漏れてもいい」というところまで基準が下がりました。ぼくらの人生みたいだね。そこまで行くと見えるものがやはりあるにはあり、もはや他の「作家さん(いやなことばだ)」の焼き物を見ても、金のにおいしかせず、ただ意匠を売っているだけのように見えてきます。ぼくは、焼き物そのものを売っている感じが焼き物らしくて好きです。売れませんけどね。