静岡11 家のうちそと
11 家のうちそと
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世界で一番美しい詩は何ですか
ときみはYahoo知恵袋で訊く
美しいと感じるものは人それぞれですからそんなことを訊くもんじゃありません
と解答される
あなたはどう思うのときみはぼくに訊く
言葉は存在の家です
とぼくは答える
一五,六の頃徳島の本屋で文庫本を買って、以来、冒頭の「言葉は存在の家です」を巡って生きてきたような気がする
存在が家だと思っているかもしれないけれど
言葉が家で存在は家の中にあるんだ
家の中に入ってしまうと外から家を見ることはできない
「太初(はじめ)に言(ことば)あり」(約翰一:一)、というのを哲学的に考えると、
言葉に対して初めに言葉があった、と言うことはできない
その不可能性に向き合うことが詩なのだ
それに言葉は音で意味なくおやじギャグをかます
悟性がシニフィアンの増殖を抑えることはできない
オヤジギャグはその極致に至って現実界に変わり得る
突発的発生がもたらす切断、違法的享楽の場である
資本主義の盲目的な運動は親父ギャグに似ている
そうした駄洒落dad jokeは言語に属していない
言葉は存在の家ですという冒頭をよく噛み締めよう
言葉は人間の創造物や道具ではない
人間が言葉の中に住むのである
不服そうだねとぼくはきみに言う
でも世界で一番美しいと思うのはきみの「夕日を見にいく」という詩だよ
それにエミリーディキンソンの英語がなぜ美しいのかをぼくは説明できない
きみは喜んで同意する
瞬時に忘れる同音性地口の漂う家の中で