◎2012.12
地下道いっぱいに羽が生えて死にたい
十六夜
霊が虫のように心を食い尽くしていく夜
満月は視点を変換出来ずに
せろせろとくぐもった一本調子の朗読を行おうとしていたので
日和雨師走風神雷神図
遅蒔きながら小さいコスモスを田に咲かせて
人の気も知らないで、てシャンソンあるね
@chairsstory時間へのこだわりが感じられない
@chairsstory 彦坂尚嘉風に言えば、こうした時間は液体でなければなりません。海が液体化していない。唯一の鍵であった缶ビールの扱いに失敗したからです。音楽の時間は熟れた西瓜のようにてれっとしているものです。そうでない固体化であるならば、数そのものへのこだわりが必要です。
舞子が言葉を押し固めて作った菓子は葬式のような寒菊型で 京都の冬はそれを溶かして飲んでいるのであった
チョコの脂身みたいね
赤い蔦のある家ってムンクを思い出すね
いまは幼稚園のフェンスの外に坐ってwaistin’ timeや
心は晴れて気も触れて って古井由吉の小説にあったね
国家戦略担当大臣前原誠司てなんやそれ ダスキン府中分倍河原支店長と顔が似てるから考えてることは大体分かる
震える舌は鉱物オタクと茸オタクの絶妙なエアコンと云えば霧ヶ峰でした二層式洗濯機知らないの?若いね
久保田君のは音楽というより音楽についての説教節や 灰野さんもそういうとこあるな 溶けない言葉を音で溶かすか
どっちも溶けて初めてサイケや
嫌いな奴いっぱいおる 困ったもんや 醂したろか
ベーメならそう言う
なんでハワイでスーフィーなん舞ちゃん
最高の車輌は京阪やねえ敬子モノ作り残像フラッシュバック
鬱のしんごが温泉の宣伝してるが委員会
石橋君元気かな
十三的非決定へ
マスクいるな
東京と大阪ててミキコとナオミの違いだけや
おっ久保田と思たら清盛や
なんばはなんでnambaなん? nanbaよりかっこよく見えるというだけで誰にも断らんとそんなことしてええの?
そうか朝鮮語の□か
それを言うなら ナムバベアーズでしょ
キムジハのナムて小説読んだことある?市場の描写が凄いよ
渋谷にイグルース「ホテル南京虫」という曲を書かせ、山路に歌わせたい。
トライアングルソロでね
タイツスパッツレギンスと破けていくとです それは困りましたね
蝶墜ちて大音響の更年期
ビリケンも届かぬ彼方のアーケード
山王はベルリンと一緒や
そろそろ靴履こ
並ぶとオニギリがもらえる アッという間に人が消える
写真撮ってる兄ちゃん、アースダイバー気取りやな
幸せになれよと境界性人格障害偲べど詮無き
霜降りトースと言うはまれにして今じゃ普通のサ店ばかりで
ねむり姫という飲み屋
12.4-10
the wind gap
The Perfect Nothing Catalog
150 NE 41 Street, Miami, FL ()
prism glasses, weird ceramics, water bottles, knives and a lot of other things
Michael Bauer
Chen Chen & Kai
Hayden Dunham
Carson Fisk-Vittori
Jessica Hans
HTML Flowers
Tori Kudo
Made in Lieu
Keetin Mayakara
Jason McMahon
Malin Gabriella Nordin
Connie Oliver
Georgia Staples
Steven Thompson
Pam Tietze
Garrett Young
今日やった曲は、人の気も知らないで、ダニーボーイ、紅ホテル、ラウンドミッドナイト、ホタル、休憩を挟んで名前忘れたけど童謡、青い目をした人形、みんな夢の中、left alone、sea of love、化粧、train train、エイリアンズ、釜ケ崎Ⅲ など
学芸会みたいな韓流。日韓のおばさんたち共同で両国近代史の教科書を作るドラマ、とかないかな
野良犬にお握りやれば風強き
徳島で「かわい」に寄った。代替わりしても味は変わらず、今回も「もう少し生きてみようかな」と思った。
生まれ損ねたリズムは拍子機械が取り込み、園田は細川に仕える。
「太陽の光で全てが見えぬ」
ユダヤ音楽のジュヌスは12音的だが12音階ではない。それはジョイ・ディヴィジョン的な世の断片、線の、人生の、束としての時間性である。ポピュラー音楽の断片化、それのみが世から出ずに世を無化する方法だった。少なくともマヘルの楽曲においてはですよ。
アドルノはユダヤの限界を示している。かれはヨセフやダニエルが中曽根みたいな禅坊主だと思っているのだ。
確かに禅坊主に詩はない。〇△☐があるだけだ。
マヘルはラスプーチンじゃない。船だ。一緒にしてくれるな。
昨日の野良犬がハバククを朗読してるんだぜ
いつまでですか、って
終わりに向かって息を弾ませる腰砕けの犬が!
アメリカでコケ本出ましたね 自殺するコケとか
大阪は倫理の消えた沼にして川へ入るも入らぬもなし
和田川は外山に泳いでいい淵があって五本松から大人の監視付きで行ってましたが、砥部川の突上断層の辺りで泳ぐと密告され正直に前に出なかった竹前君は講堂でビンタされました。
水晶谷に出るには用水路伝いに険しい山腹を進まなければならず、着くとそこだけが草木のない肉石だらけの小山になっているのでざらざら掬ってばかりいると陽が落ちて帰れなくなります。
西の谷池は擂鉢型なので干上がると崖のようになりそこを伝って向こうへ行かなければと決まったならそれは胸が水になったようになります。
赤坂泉から重信川に繋がっている土管を潜って抜けようとすると息をする変わりに水を飲みます。上がると上級生が帽子で隠してやるから千摺りさせえやと言います。
障子山に直線で登ろうとするとすぐ日が落ちて行き倒れの土饅頭の獣道の中で真っ暗になります。運良く林道に出て軽トラが通れば乗せて貰えます。
鰻を採るには朝魚籠に酒粕を入れて和田川に仕掛けておくと夕方には入っています。護岸工事をする前はそれが夕食でした。
井戸の中には真っ白い鎌の形の頭をした蛇のような生物が居て、調べてもなかなか名前が判りませんでした。蛇が泳いでいることもありました。蛇はよく座布団と間違えました。天丼には白い蛇がいると言われていましたが、二階は使ってなかったので見たことはありません。
雨戸の穴から光が入ると、障子に外の風景が逆さに映るので、不思議で仕方ありませんでした。
アリジゴクとか食虫植物が主に目を引くものでした。もし戦わば的なそれら生物の等身大妄想が話題と言えば話題でした。
肉は正月に鶏を河原で木に逆さに吊って首を切り血を抜いて組内で水炊きにします。あとは普段は鯨ばかりでした。刺身は赤い体液が皿に溜まりました。
テレビは10才くらいまでどの家にもありませんでした。初めてFMラジオを原池の斜面で聴いた時、流れてきたのはマーラーでした。腹池には「てっぽう」というものが住んでいるので近づくなと言われていましたので横の道を通るときは皆息を詰めて駆け抜けていました。
最初の記憶は雪の日に眠りながら砥部中の方へ上って原池の横を通って帰ってきた、と言われている場面で、夢遊病のようなことでした。
隣の日下の奥さんは狂っていて、地面に何か落ちているとその下に何か怖いものがいる、と怯えるのでした。その頃は薬もなく、娘の倫ちゃんにもセデスばかり飲ませていました。
巨大なムカデが夜中に落ちて来るので、枕元に包丁を置いて寝ていました。
ノブ君はいつも裸足で、鼻水を垂らしていました。ハエだらけで、ご飯を食べようとするとハエで真っ黒になるのを振り払ってその隙に食べます。おやつは紙袋にご飯を入れたものか、麩を生のまま齧るかでした。
ベトナム戦争が始まり、和田川を護岸工事した後、魚はいなくなり、皆農薬を使うようになり、ハンミョウを見なくなり、ぼくらはコカ・コーラの車を追いかけてはお兄さんからぬるいコーラをもらったりしていました。
そのうち道路は舗装され、逃げ水の盛夏にはアスファルトが溶けて足が抜けないほどで、福井商店ではプラスチックだとか化繊だとかいうものが油紙や竹の皮にとって変わった。
バスでも電車でも食堂でも男たちは一日中「しんせい」か「いこい」を吸いまくっていた。
33号線を天皇が通ったとき、みな日の丸を振ってばんざいと言った。あとで絵の時間に車の中の顔を描いたら不敬だと怒られた。
手動の木製の脱穀機などは暫くの間は納屋にうち捨てられたままだったが、老人が死に絶えると新建材の家に建て替えられて完全に消え、餅撒きの風習も無くなっていった。
農協は農薬の空中散布を始め、その間は食卓に覆いをしなければならないほどだった。農薬売り場は辺り一面、息ができないほどケミカルな異臭がした。
自民単独過半数の勢い、の大見出し。朝日は狙ってきてるな、でもペギー葉山とか出てる昔の歌謡番組みたいに懐かしい無力感だ。それでパンクになったんだよ。
砥部焼の乳の色なす骨壺に飢えと被爆と共に活けたり
どうしようもなくふるえているだけのコート忘れた 体の死に票
理想は一億総ニジンスキー化
残波岬で残飯見ればヤギの中身に人の殻
interview 2022.12
1. How did the New Museum compare to other places you’ve performed?
There was warm atmosphere in the space and audience.
2. Any notable moments from your Get Weird performance?
Playing with a dancer, who was a black woman, was a lovely experience for me.
3. What’s your favorite exhibition or performance you’ve seen at the New Museum?
Calder, and the architecture itself, standing among other buildings in that area.
4, Who would you like to see play Get Weird in the future?
Mary Halvorson.
12.8
道後なんなんな
2012.12.8 道後なんなんな
マリー・シェーファーのサウンドスケープ理論をやります。簡単に言うと、耳を澄ます練習と、抽象化の方法として図形楽譜を書くという体験です。参加者は紙と筆記用具、音を出すものを持ってきてください。声だけでもOKです。24人も集まっているようなので、子供の声しか聞こえないかもしれませんが。。
どこまで遡って書くことが出来るか
わたしはどこまで遡れるか
7日目の始まりまで?
頭の中で何人殺した?
背広よ
ファラオのネコはカルケミシュで負け
極悪な王エホヤキムは死んだろばのように城壁の外に投げ捨てられた
衣を引き裂かずに 外部の書物を燃やした
直ちに影響は及ぼさない書物を
未来とは今余地を残すこと
中身の詰まった声たち
ロジェストヴェンスキーとなごやかに会談した東郷
乃木大将は殉死した
確信に満ちた声たち
王族としてスオウの桃色のように反発し
115日目に4つ、スオウの白色のように立った
飲んでも酔わない
着ても暖まらない
農婦の口から
変化とはある言語への変化である
「そして、働け」
東からリンゴは送られてくる
哲学は限界を反映委する
いくらおいしくても毒の入った水なんか
毒は母の上にあるのか
太っている ワンピース
書の形は完璧だ 反った後ろ髪
レザーからペイズリーのにおい
つま先のような豚
短大の顎のしたたり
すごおい関係
ヒントはここにあるの
おいてけぼりの目にかかる髪
だれかなあ?
バス停のように
結婚しないな
母の上に枇杷のような毒の首が乗る
シャイニイブーツオブレザーが
カレンダーの桝目を埋めるように
自民党
念を押す語尾のような山の形
ミカ 寒い
戦闘態勢に入った二つの個体
ADHD と言われた死にたい
突き当たらせている
突き当たらせていたのだ
難しすぎることのように見えるが
人を携えてくる今日このごろ
聞いている者たちよ
家畜への報酬もなかった
種によって受け継がせることによってのみ
呪いとなった分 祝福となる
寒さという拷問を予測する
好奇心の罰だった
シベリアに伸びてゆく鍋のような活気
それはわたしのものではなかった
千切れた風のように
何か悪いものを入れたのではなく
すべてのものを互いに突き当たらせていただけなのだ
広場はそこで遊ぶ男の子や女の子で満ちるだろう
最後の王は前髪を伸ばした
広場にわるいものを入れたのではなく
すべてのものを互いに突き当たらせていたのだ
いつか広場はそこで遊ぶ男の子や女の子で満ちることになるだろう
同盟して反抗するか、服従するか迫られている
服従か反抗か
うす黄緑の開いた空におきざりにされた春
裏返すと機械のように蠢いていた
いくつかのまとまった明かりがiPhoneを使って再び消されてゆく
褒めることによって据えられた人々が夕方家に居る
そのことに気付かなかった
うどんのように日は暮れて
この話題について日ごろよく考えておられるのですね
突き当たらせている 2013.1.22
突き当たらせている 難しすぎることのように見える 人を携えてくる 今日このごろ 聞いている者たちよ
家畜への報酬もなかった 種によってのみ 受け継がせることによってのみ 呪いとなった分 祝福となる 寒さという拷問を予測する 好奇心の罰だった シベリアに伸びてゆく 鍋のような活気
壁に掛かった三号のフレームには
銅色の遅刻は
白い夜道を麺棒で引き伸ばした
炎の絵が見えた
轢かれた猫を跨ぐように
両岸に道は走った
ホワイトイエローとスノーホワイトの見えない看板が
山林に点在する
今迄の 全ての色が
ホテルの壁の絵には入っていて
大きな字で書かれた筋書きを拡げ
編まれた体の形を読む
たばこ うそ ぬすみ
やっとできた相続分は わたし
白身が青いゆで卵
足を組んだ先にピンクの下敷きが捲れ上げる玄関口
歌うために書く
絵のために書く
字のために書く
書くと書けばメタ
書かないと書けばアート
書くなと書けば詩ではなくなる
終わりが来たのだ
黄緑の光
額が光る
・・
漢詩
今迄も眠い時はあっただろうに
招いておいて
という字を途中まで書いた
使金復使金 看花還看花
女が鼾かいて寝ちゃだめだよ
無造作に床に落とされているコードの
ジャンクションのような意味
という線を描こうとした
乖離性の障害だから嘘発見機にかからない。
目の前のリアルに戻っていくのか?
圏外の山奥に居ても
のぞみに過ぎ去られながら米原のこだまのホームで薇糖飲んでる
人を愛する歌は多けれど愛さぬ歌をつとめて作る
人を愛する歌は多けれど愛さぬ歌は歌と言えるか
人を愛する歌は多けれど愛さぬ歌も歌としてあり
人を愛する歌は多けれど愛さぬ歌を歌として書く
昔みたいに希望の歌を歌ってよ 美空ひばり「裏窓」
酒を買い酒を買いまた酒を買いこだまはひかりに先を越されて
あと一年遊ぶと決めて冬の青空ヘヴィーに突き合わせてる
ベローチェのBGMは
新宿は鮫のようにかなしい
上映されない映画のように
欠損の中に暫し雨がふるえて
飲食のように世界は寒い
錠剤のカプセルに閉じ込められたストリングス
しろがねの衾の岡辺
真綿のように脳幹を締め付ける
送電線のように髪の毛は編まれて
晴れても雨です
触毛は被爆の暗号を探し
歌唱は偽りの内臓を曝す
矢筒を背負った後ろ姿を見失い
抗うシナプスは脇道でどん詰まり
貼られた宣伝の裏など捲ってみるが
フォントは傷付いたDNAの領土化には至らず
却って鼻輪の三つ編み男を殖やした
年末ジャンボの呼び込みに自分も年末ジャンボを買ったか訊いてみた
ビリケンは間違っていると思う
しんじゅくえんまぎょえ
やーさんちょうつよめ
よっつや やっつよ
あ みっけ かさか
かみがきすせー
こいかつどじうまぎえー うう きょと
太陽に心はくもり、死にたいように女は晴れて
ゆりかごみたいな半月
ひとりひとりに野の草木を与える者に
雨の不渡り
露地
駅前には店がなかった。年の瀬だというのにどの家も片付けが済んで、もう正月のようだった。墓川は、一人で町を汚しているような気になって、図式的な考え方の中で自分が消耗していくのがわかった。
駅前に戻って周辺図を見た。北は下を指していた。
街道沿いの店は早々と閉店して民家に変わったからシャッター街の寒さはなかった。その代わりに犇めき合うキュービックな暗さがあった。
その暗さの奥に自分の部屋があるのだと仮定してみる。そこでは固定されたなだらかな山脈が胸郭を上下させている。
いつの間にかトンネルが出来ていて、風穴から吹き出すような向こう側の町の冷気が、あり得たかもしれないその部屋を襲う。
この町に来た理由さえ忘れさせるような冷気だった。
たおやかとは言い難い間近な峰からも吹き下ろして来る寒風があった。
山の向こうにも町がある、という事実は恐ろしい。町単位で暮らす人々のようになったら俺は消滅する、と墓川は思う。
山の向こうに町がある、山の向こうに町がある、と口ずさみながら墓川は一本の路地に入った。
「ここにわたしが住んでいる」
という啓示に似た声がして、振りさけみれば、貧乏が鉢植えのように並んでいる一棟の上階の廂から睥睨するカラスが墓川の頭頂を狙っているのだった。
この町でこのカラスに狙われている、という意識が墓川を不快にした時、名を呼ばれた。二階の廂から実在が降って来て、たおやかな峰が上下するのが分かった。
「靴を脱いで。」
分けられた場所だから、炭もないのに焔が上がっていた。
「家族の味ですね。」
「焼けば焼くほど冷たくなるわよ。」
「この町は、平気でそれを道に投げ捨てるから好きです。」
「海なのに陸(おか)。」
青線コロニアルとでも呼ぶしかない朽ちた手摺に、出口のないトンネルから邪風が吹き付けるのを、
「懐手、」
と撥弦の切れが、飲ませる、飲ませないの話になった。
そうやって白い墓にの相手をして飲む、飲まないの供え物を盗んでは、無、と穿たれていると、宮子はまた誰にも言えない話を聞かされるのか、と思う。
巨きな鳥が尾いてきた夜の話をすれば、この白い墓はきっと娘のことを歌う、と算段する宮子を、墓川が、
「きみはこの町で生まれた。」
と覆い被せると、致命性の渦が立ち昇った。
F#ABbAD EbD
F#ABbAD EbD
地名的なターミナル・ラブがαβυσσοςアビュッソスから立ち昇ったのだ。
宮子の目の前の祈れない白い墓が、子供のように毒の釉薬を作り、鼻腔の奥の終わりのにおいを悲しんでいる。
「障害のある人は居らず、山頂まで稲が実っているというのに、何の力が足りなかったというのか。」
「二種類の種を蒔いたからよ」
「毒薬を通してしか永遠が見えないのか」
「脱法釉薬でしょ」
トラウマに向き合う旅はすべて無駄なのだ。
「悪魔が入れた記憶の種を、きみは食べたのか。」
「あなたに力があるとしたら、それは私に対する影響力だけです。」
炭もないのに燃えているのが水だったら。
墓川は正しい川を遡って行く自殺者への憧憬に向かう脳をだまして、宮子の末広がりの裾の唐桟のチャンネルに眼を合わせた。
ああ速い、高速道路。
宮子は夢を見ている。フロントガラスに叩き付けられるのは水の燃える音だ。
この町の色は、と墓川は考える。
夕暮れの雲が鮫であリ続けることを許さない。
エリカが見えますほのぼのと
不意の擦弦に心臓を雑巾で拭く夜行の、北欧のブギーがマジックアワーの田面を渡る。鷺のように。
切符は持っていた。このまま駅に歩いて行く自分を墓川は見た。存在の途中下車、存在の見切り発車。馴染み抜いた情趣の隙間から野蛮なデュエットが漏れ出る小径を、影が追い付く。
雲の道行き。と宮子が言う。宵の軍歌の雲の道行き。私はちゃんと花びらを降らせた。いつまでも夜になれないあなたの体に。いつまでも朝になれないあなたの思想に。
それは色ではない、臭いなのだ、と墓川は思う。ティンクトゥーラを横断してもそれは一つの平面に過ぎない。
匂いをにおい、と書く詩人のことを墓川は思った。過ぎ去った喜びはまだ来ないかなしみ、まだ来ない喜びは過ぎ去ったかなしみ、などという遊び言葉を工夫し続け、妻子を捨てて死んだ。
山の端が花札のように黒い。
蜘蛛の巣を払うように野道を進んだ。
道を挟んだ糸電話を夢見た。
異星人に会ったら学者がまず訊きたいのは「神は居るか」らしいが、恥ずかしくないのだろうか。
駅まで尾けて来ると思っていた巨きな白い鳥が消えた。代わりにトリさん、どこに行ったんでしょうねえ、と烏が胸元で反り返った。
力はカリフラワーの形をしているけれども、と宮子が言った。
雪山の麓では不発弾ね。
白も黒も舌の力に過ぎない。
あの太陽光パネルの影は紫に見える、と墓川は反論した。われわれはまだ見かけの色に投げ出されている。
道行きはひらがなのように川の両岸にわかれた。いつか、左岸で泣き崩れたことがあった。
盆栽の野道の糸電話は、切り立った護岸では何故か思い点かなかった。犬を連れた奥さんのモチーフが、この町で生まれた高校生の宮子の姓を襲った。
「墓川さん、」右岸から鳥がその旧姓の声で呼びかけた。白か黒かはわからなかった。「墓川さん、」鳥がもう一度今の姓で呼びかけた。白か黒かはわからなかった。
そのまま駅まで、四十年間彷徨った。
宮子が墓川と年越し蕎麦の蕎麦湯で色紙に書いていると、醤油の寒さが脳を溶かした。
この時期、ひとりぼっちの胸の人たちは北ホテルにいる。背中の人たちは?とテレビが教える。
かなかなは旧姓に属するか。それがすべてであるなら宮子の銚子は白鷺のディスパッチとなる。そうでないなら
かなかなに姓はないのだ。白い夜明けに、忠節な娘が幽霊のように立っている泰山木の庭先で、亡くした者の思い出のためにいつか泣く。
墓川は死のうと思っていた。 無意識は口答えしなかった。代わりに大量のノルアドレナリンを放出するだけだった。墓川の思考は、墓川ではなかった。
宮子の全ての白血球は身構えた。そのために町は泡立った。
白濁したキノコ雲が毒に溶けて、思考に命令する墓川に、体は騙された振りをする。
宮子がこの町のDIVA であるなら、その言葉は球体のスナックの内側に貼り付く。
それを外側から見て唄うのか、認知カラオケが手招きしている。
いつもの夢の町で解けて浮いていると、目が覚めた。鳩を祀れば八幡なり、と宮子が詠いながら踞って集めているのは山々の印章である。
頭蓋が前にずれて涎だけが垂直であるような蹲り方で、正月なのに蝿が出た、と謡う稽古の一団に、縁側の墓川が瑠璃を逃がした。
それはベエルゼブブの線に違いない。道を隔てた糸電話に巣食っているのは。ラリーもしたし、と次の宿場に手向ける印章のように蝿と瑠璃が際立つ。
街に食い込んで運河があった。安寧は、宮子にとっての川の場所なので、その上を墓川の屋形船が行くことはない。
時間に距離を加えることが出来るか、
寿命に一キュビト、寿命に一キュビト、と宮子がアドバルーンに書かれた文字を読み上げている傍らで、墓川がATMのデポジットを目減りさせている。とうとう駅前に戻って来たのだ。
墓川は娘の歌を歌わなかった。代わりに歌ったのは個室の歌だった。二十四時間営業のミステリーはハードボイルドなカエルの合唱だけだった、と眼を開けた墓川が言った。
その声はあなたではないから安心しなさい。と蛾のように窘める宮子に、青い電流が走った。
轢かれて死んだ宮子は青い毛皮を着て、まだ生きているD.O.A のヒロインのようだった。
まだ夜は明けていなかった。もう正月だというのに。蜜蜂の代わりに蛆が涌いていた。
露地 没still
墓川の弾丸列車は、集団就職の詰襟を乗せて丸刈りの脳の外側を進んだ。
宮子が点になった時、をとこの詠める、
あしひきの山の煙りを下りて舞うながながしよの肉の書板
あなたの固いケーキね、発酵せずに腐ったみたいよ。それを真名と言うのなら、不発弾どころか核のゴミね。と点が言った。
きみは星になどならない、とはどならない墓川は、越冬闘争の正しい蜜に覆われる。
自分より大きい者にとって汚れとは、と墓川は想像する。自分より大きい者になり過ぎて、自分が偶像になっている。墓川はそのことで自分を中傷する。
墓川が、貧しさを強く意識しながら、心を煮ている。巷の上手で。新言語と共に新言語の鍋も導入されたからだ。
鍋の理由を問われて、二つの手、二つの足、二つの目をつけてゲヘナに行くよりは、不具の身で命に入るほうが良いからです、と答えている。
「ああ、五臓六腑に沁みわたるわ」「あんたの五臓六腑は、鍋の中やないかい」「楽園になったら海のそばに家を建てて」「海のそばに家を建てて」「毎日夕陽を見る」
北ホテルから”New World”に至る分けられた道、それは道を行く者のための道であり、いずれはソースに溶かされる愚か者がそこをうろつくことはない。路肩にはライオンが、参道の真中には神のふりをする者が、天に通ずる楼閣と題された鍋の乱れに向かって、冷やし飴の言語を辿る。
墓川が塔の上から演説する。
この震災で、人々は「背骨の人」と「胸の人」とに分かれました。「背骨の人」は”日本ガンバレ”或いは”頑張るな”という方向に行きますが、「胸の人」はひとりぼっちです。
外人居留者として被災し、外人居留者として外人居留者のコミュニティーからも疎外され、外人居留者としても勿論、日本からも疎外され乍ら何を表現できるか。そのことのために読むべき本は果たしてこの町の本屋にあるでしょうか。
わたしは本屋で立ち尽くすひとりぼっちの思想です。身体性の(アルトー)、ハプニングの(ダダカン)、やさしさの(マルクス)、餓死自殺の(尾形)、やってしまったことから始まる不可能な領域への、同労者のいない、残された僅かな時のための。
「復活について考えるのは良いことです。」といつの間にか復活した点子か言った。
それで墓川の爪は点子の二の腕の肉に食い込んだ。シャンプーはDOVE かな。八幡神社さん、
それには答えず、八幡点子は向日葵の中に立つ砂糖黍のように反り返って囁いた。この町の王も烏です。
アースダイバー的には、この川の泥の中でぼくらはかつて結婚していたね。
生野の道の遠ければいて駒したれ近く変動、と点子が返すと、神聖さの道にサフランが咲いた。
泥の中で食らわんか豌が結婚し蛭子が生まれた。それが烏になった。あなたの額の×印。わたしの本当の名前はアミ、
と言いかけて点子は口を噤んだ。
何故わたしの名を訊くのか。それは恐るべきものであるのに!と墓川が気を利かして謙遜を投げると忍耐が光った。あ、花火。
ドヤの南京虫から聞いた話だけど、昔、スマミとホヌミという男女アイドルDUO が居た。別れてからホヌミは女性力士大会で優勝したが、スマミは会おうとしなかった。
ホタミの声が高く澄んでつるつるしていたから、浮気していることが分かった。
それで花火を観に行ったのね。
そうだ、それで売り上げを誤魔化した。墓川の財布はぱんぱんに膨らんだ。小便だらけの湖に、ポケットを裏返し、タバコの葉を振り撒くと、鳥が啼いた。
砂州に楼閣を建て、橋を継いで料亭にしているのを、与えられた町の義務であるかのように、供与の豚に与(アズカ)らせ、人の脂肪を灯している。
だからそれは長岡でもガイ・フォークスでもデュッセルのヤパンナハトでもなく、ガザの火花だったのだ。
閃光は串カツ「松葉」の油の中に走っていた。
北京の露地の側溝の油を掬い集め、子らは松葉形の三本足を歯で削いだ。肉を削ぐことは巨人に対してではなく、セム同朋への中傷として空に上った。