まどかさんとナメクジ

まどかさんとナメクジ
なめくじのジメリは男でも女でもありませんから、板の上を「ぼくはわたしは男の子だわ女の子だぜ」と呟きながら進っていました。
するとまどかさんの目と長い方の触覚の先についている目が合いました。「口はどこにあるのかしら。キャベツをやってみよう」。まどかさんがあんまりにこにこして自分を見るのでジメリもじっとまどかさんを見ました。身体表現性疾患という、理由なく体中痛くなる病気のまどかさんは、剥き出しの貝であるその軟体をある種の表望をもって凝視めているのでした。
ナメクジというものは、人が見ていないととてもすばやく動きます。視線を逸らしてまたふと見ると、もう居ない、ということがよくあります。まどかさんがキャベツを取りに行く間に、仲間のナメクジは、「早く隠れなさいよ隠れようぜ」とジメリに叫ぶと自分は素早く組板の裏に隠れました。