tori kudo

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七日間ブックカバーチャレンジ

 
一日目
今晩はキャス・ブルームに会いにスターライト書店に行くと言ったら翌日の主宰で校長の故ジェームズ・テニーの奥さんも来てくれたのであんまり英語読めないけど本でお勧めはないですかと尋ねたら選んでくれました
読んでびっくり、英語の綴りがみな間違っていて、間違いから類推して勉強するという抜け道を教えてもらいました
ちなみに彼女からもらったテニーの「ポスタル・ミュージック」は「ガラ刑」のアイディアの元になりました
本の内容はabさんごとベケットの事の次第が合わさったようなものでした
バトンは浩宮さんくらいしか思いつきません
あと店の外でホームレスの女の人と転げ回っていたら心配して出てきた日系書店員が当時のナパーム片岡そっくりで、あれ片岡さんフォレストはどうしたんですかとか言いそうになってしまいました
リックさんもロスでは一番イケてる本屋だと言ってましたが店は今大丈夫かなあ
ただzineとかは北へ行くほど安くなるんだよね
 
 
 
 
 
 
 
二日目
自分たちが当たり前と思っていることをやったのがShaggsですが同じように、犬を彫刻にするなら、犬と自分の間の視線を輪切りにしなければならないと当たり前のように考えてしまうのが若林さんで、他の人とは明らかな回路の違いがあり、回顧展があれば赴き本屋で見かければ買ってしまう自分にとっては数少ない、無条件で支持した作家のひとりです。この前の久万美は他の人に紛れてやってたので気づけず、行けなくて残念でした。バトンは安倍晋三さんしか思いつきません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三日目
リーチの「a potters book」と並んで陶芸科では必須の古典と見做されていて、音楽でいえばクルト・ザックスの「音楽の起源」のようなものである。授業は大英帝国らしく日本のようにローカルな産地の説明からではなく地球の組成から始めるので、学生はもう一度 periodic tableと睨めっこすることになる。彼の始めたWinchcombe Potteryを訪ねるとやはり田舎らしい空想社会主義の名残が色濃く、そこで彼の息子がコーネリアス・カーデューであることを知った。バトンはher majestyしか思い浮かばない。
 
 
 
 
四日目
映画を観ることは長回しやシナリオや演技をあげつらうことではなくて、ただ善悪に晒されるということだ、という当たり前のことを彼はシネフィルへの怖れからか回りくどく説明しようとした。それでもそれは結果として他の全ての映画評をフラットにしてしまった。バトンはユスターシュかガレルに
 
 
 
 
 
五日目
荻窪にあった頃のgoodmanで毎月ピアノを弾いていた。ある時彼が客で来てくれた。水の駅の評判は知っていた。終わって飲みに行った。彼は若い人は今なにを考えているか、を知りたがった。今までもこれからもゴドーの周りだろうになんで若い世代を気にするのか、と思ったが、団塊よりも少し上だからこんな風に謙遜を身に纏えているんだろうと思った。その頃僕は凡そ30歳だった。彼も彼を連れてきたIも死んだ。彼の本は三冊持っている。生きている間はきっと人に好かれただろうなと思う。バトンは、死んだ人しか思いつかない
 
  
 
 
六日目
藤原さんと二回、高円寺の本屋と都営荒川線でやったことがあり、女性らしく進みきったフォーマットがなにやらたいへんな達成なのではないかと、ニューミュージックだとかテクノポップだとかの頃の女性の突出具合を思い返したりしていたのだったがその後は疎遠なまま十年くらい、経った頃音凪で京都の荒木みどりさんから、作ったからといって渡された矢鱈細長い同人誌に安紀子さんの名前もあったのでなつかしく、細長いのを利用して活字を割り振っているのもほほえましく矯めつ眇めつ眺めた。「百年のわたくし」はたしか四巻まで出ていて、このデザインも京都的に進みきった刃のような達成であると思った。 フォトンのバトン、知り合いは すとん とは思い浮かばない
 
 
 
 
 
七日目
人間の書き物がこうしてネズミ算式に挙げられていけばすぐに、選んだものすべてに選ばれているような、ネットの神経でつながるクラスターのありようが明らかになるだろう。集合として、挙げられた書物をすでに読んだ或いは感染したことにされ、比較形態学的な分析がなされるだろう。その結果、工芸性と言ってしまってもいい細分化嗜好と、中世化と言ってしまってもいい大文字を介した対象化志向との比率を通して没落の体温が数字にされるだろう。バトンは #7日間ブックカバーチャレンジ の創案者に