tori kudo

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模索舎選書棚のためのテキスト

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ひとりぼっちの人々

この震災で、人々は「背骨の人」と「胸の人」とに分かれました。「背骨の人」は”日本ガンバレ”或いは”頑張るな”という方向に行きますが、「胸の人」はひとりぼっちです。外人居留者として被災し、外人居留者として外人居留者のコミュニティーからも疎外され、外人居留者としても勿論、日本からも疎外され乍ら何を表現できるか。そのことのために読むべき本は果たしてこの本屋にあるでしょうか。これらは本屋で立ち尽くすひとりぼっちの思想です。身体性の(アルトー)、ハプニングの(ダダカン)、やさしさの(マルクス)、餓死自殺の(尾形)、やってしまったことから始まる不可能な領域への、同労者のいない、残された僅かな時のための。