tori kudo

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◎2013.4

the 49 Americans

ある朝、簡単なベースラインとリズムを思いつく。世界はすべてうまくいっているように見える。1979。録音を手伝ってくれそうな人に片っ端から電話する。初めてのことなので、音楽家も非音楽家も未分化のマーマレード状態のまま、楽しく演奏を終える。わざとロックンロールをやってみようよ、と誰かがいう。それも楽しい。アメリカ人て面白い。特にあの巻き舌のrの発音。誰かが真似して皆爆笑する。組織論が宴会の中に溶解し、パーティーそのものが歩いていくような希望に満ちた1st 7inch single “Wonder only 85 pennies” は、すべてのバンドが一度は持っていたあの輝かしさに満ちている。しかし彼らはまだこの時点では素人の中にも音楽家と非音楽家がいる、という厄介な事実に気付いていない。

彼らの元にフリーミュージックを渡り歩き、Portsmouth Ainfoniaにも飽きたおじさんたちがやってくる。面白そうなことを嗅ぎ付けることにかけては危機的なほどに貪欲で、ホースを振り回す音だけでLPを作ったりする人達だ。彼らなら、音楽家と非音楽家の合奏という作業を維持する秘密を知っているかもしれない。Raincoatsのようなリズム上の秘密を持たない49sにとって、ミュージカルに仮託するという1st LP “Wouder” のやり方は賢明な選択だった。そこでは、音楽家と非音楽家が互いに向き合うことなく、その視線を劇の一点に向けることができるからだ。音楽家と非音楽家は ここではシャーベット状くらいには溶け合っている。彼らの””ミュージカル”を聞いていると、衝動的な騎士(という音楽)も親切な騎士(という音楽)も結局は世界というドラゴンに食べられてしまうという寓意にからめとられ、うまいとかへただとかいう演奏性の問題をいつのまにか不問に付してしまっている自分に気付く。だから当時のこちら側の耳たちにとっては幸福なアルバムなのだ。この物語にハッピーエンドはない、と道化が言いつつカセットデッキのストップボタンを押すように劇のジ・エンドを宣言するのを聞くと、これは逆説的に自分たちが奪還した音楽のハッピーエンドに言及しているのではないか、などと深読みしてしまうほどに。

アジとサバ агитпункт Ça va?
人を殺しているので刑事さんが追いかけてくる
あー自殺したい

酔っぱらって田んぼに落ちた

ホーリーモーターズ

たましい

 

はやさとおそさの中に

ひっかかりが見え

あかるくくらい

表情に気付くが

ひっかかりは

靴の汚れを拭きながら

整頓されが夜をひた走り

着いたらすぐに

行程のあかるさは早送りされ

励ますつもりの白の忠告は

受け入れられない

何よりも自分の

明度と彩度が

ひっかかった管の中で

体重を測っている

どんぐりの髪型が蛍光灯に光って

おもさとかるさの間のどこかで

喉声の刃をちらつかせる

そばに居ること

には色はない

そのおもさに喜びと悲しみはない

体の中心線の

正面に立つウルトラマン

柔軟であるかどうか測定できない

黒い頭数を数える男達

心臓は数えているのか

死ぬ前に二度呼びかけよう

頭蓋に響く波長で

父と呼ばれた時のように

中心線がわずかにぶれて

特撮が去り

リップクリームを忘れ

太っているのにかるい「すずめ五羽」君が立つ

「髪の毛」君が母音になろうとして

部屋に広がってゆこうとするが

支配者のアルパカの目つきの

ようなアンダースローで

 

勘違いにもおもさはなかった

イントネーションに結び目が作られ

外反母趾の革靴が広がる

教科書が光速で変わってゆく

人類はカナンの兄弟ですか

灰色のシマリスなのか

ウルトラマンなのか

準備して待っていた

虫の模様のようにも見える

ほんとうにきょうだいですか

茶とピンクさえ灰に覆われ

灰は黒いリボンを結ぶ

花粉と歯の骨の父

手の指の節、爪の母

爪が書物に押し立てられるときの白に

おもさが落ちてくる

揃えられた革靴が二足光って

そして光をわずかに残しながら去って行った

余韻のみがおもい

グラインダーの紐の先のつくる壁の影がおもい

つっかえていたのはマイクのコードの中のどこかだった

マイクはひまわりのようにこちらを向く

わずかに脳梗塞のにおいがした

ウルトラマンに父が居たら

それはぶれて光っている

動物達は出てゆく 豚やリス

髭の濃そうな横顔

ずっとぶれたまま励まし続ける

動物だから

ファゴットと同じことだ

髪の毛はばさばさとおもい

同じ顔しか描けなかったのなら動物だ

ゆるさの中にひっかかってゆくこと

その交通費を負担するんだ

全体は部分から生じる

部分のひっかかりにすぎない

光ることではなく曇ることか

リアルな食事招待の脳梗塞の前兆

声が動物的であること

石の花弁の奥がちらつく明るさ

耳のつき方が自分を埒外に置く

きみたちは美しい一族だな

モノクロのカフェオレのコートの上に

耳たち

ばくぜんととらえる死刑判決

定食声

どうぶつの官舎

しまもようといってもストライプの隊員服

採用だ

孫の世話や親の介護を声に出す

晴れやかな目つきが脳の内部で光っている

ふてくされていることがけんそんであるような晴れ間に

デザインは変わってゆく

モノクロのコートがカラーに変わって

わたしのひっかかりは管のサイズに収まる

その後は死後のようなハウリングノイズだけだ

明るい室内に明度を合わせられない ダークマター

犬の散歩声

最後は人間のボコーダー

ヨナの明度と彩度で閉じられる

 

あ、青だ、停まらなきゃ

 

 

ハナミズキは桜が終わり八重桜が終わってもまだ花見をしようとしたひとが花にされてしまったのです

(黒い花といっても)

 

黒い花といっても

明度の系列ではない 専心の彩度によって黒@p-なのだ

趣味で船を作ったのではない

プライベートもパブリックもない認知の黒に至ったのだ

ウルの下水は脂が詰まっていた

発掘される環七の白

天パーの人種の項

ジャンルが項垂れている

アオリスト時制の虐殺の夢が黄色い

そのまま床にばらまかれたA4コピーの中で

溺れて行く音

のみが子音である

豊穣と戦争を司る

イシュタル神社

殺人と同等の

オレンジではない

黄色だ

バビロン マルティチュード

パーム油の菓子

 

 

マクラウド、あるいは徒食のオレンジ

マクラウドは本当は苗字である。服は常にオレンジだった。最初はオリンピアのKに徒食していて、街路でファゴットを吹いて稼いでいた。無調の作品を作るが、楽譜は読めない。ヨーロッパで数か月バンドの運転手として過ごしていた時も、ポケットにはたいてい一ユーロも入っていなかった。パリで朝北駅のあたりを歩いていたとき、堪り兼ねて一度だけクロワッサンにコーヒーとかいいと思わないか、と呟いたことがあるだけである。優雅であった。ためにボルドーを追い出されたふうであった。オレンジ色のラバーでLPを製作した。それはぼくの家にある。アパートをホテルとして開放していて、部屋にはステレオやノートPCといった調度品が揃っているが、それらは全部段ボールで出来ているのであった。それでも「しゃっくり」というバンドが変に売れて、バルギー中の雑誌の表紙になったらしい。

 

 

金沢

 

裏はただ背面であって

アンダーグラウンドではなかった

裏には遊びがなかった

裏の蟹は漆器に盛られた

 

宦官は暗い葡萄色の街に佇み

出身校の制服を見ている

人生は彼の考えていたとおりになっていないが

彼は幸福だ

もっとも賑やかなブロックのようにきょうの時間は区切られている

マイクが拾う子供の声

Eテレのような有意義さで

失われてゆく人生

 

表で遊びのない顔つき

焼成されて縮んだ土のようだ

平時に戻ると

宦官のインプロヴィゼーションが再開される

 

宦官の幸福のようにして

先細りの闇に泳ぐ

94年といえばツチ族とフツ族の

先細りの闇で漁をする

屋台のようなにこやかさで

街が切り取られ

魚を載せる俎板状の土が焼かれるために切り取られる

 

こわい顔の少女たちが昔からある店の前を過ぎてゆく

昔からある店の入り口は額を光らせて

裏なのに表にされている

ばらばらの長い髪は

明日は何を着て生きていこうかと

先細りする闇の明るさの中

裏を表として過ぎてゆく

耳を出した横顔が

冷たさの予報の中に蹲っている

キャンディーではなく和菓子であるような子供の唄声

携帯の電源を切って集中して聞く

海底の鐘

 

イベントは

顔の片方が光るばかり

 

 

マルティチュードにおける非在のコモンの オレンジ

 

平和や希望が風化させられたのなら

悲しみも風化させられるはずだ

 

言葉がすりきれる負のコモンを利用して

ぼくらは発電する

 

いろが言葉で出来ているのなら

心は言葉を燃やして

発光する

 

炭素棒に感情を集め

炉心溶解する

愛の一号機

愛の二号機

 

死んだ言葉たち

花火になって

中天から降り注げ

 

 

牧者のコンテクスト

 

官僚の声が球体をなぞっている

震えながら撫で回す地球

柔軟さのかまくらの雪見大福は原発事故で移動

仮設住宅で聞く人生の目的

東京の空気の震えが地表を伝わる

動物的な生物の絵

バナナ型に黄緑と黄が剝ける

ウグイス色の団子に変わる

永遠の官僚声

浅く腰掛け、栄光をとらえる

光とは重さのこと

互い同士からの重さを受け入れているだけで光を求めていない

都会の光の重さ

蛍光緑の芝の恐怖

がっかりおきあがらせる

ぶら下がる太い根が揺れて

悪魔と全く同じ欲望

大脳辺縁系はどちらの声を選ぶか

江戸紫にオレンジ

摩耗した石の牧者

眠りを覚ますネオリベ声

cipher noise

世話が必要な

羊の牧野

水疱の表面積

街には抹茶色の丸い擦ガラスのデザイン

someone touched me (luke8:46)

イエスは牧者ではなかった

呻きを聞くのは人ではない

霊において呻いた見取り図を描く

イラストレーションとしての

みなさんどうしておられるかと Is41:10-13

牧者のコンテクスト

官僚声を切るための見事なイラスト

血を流す女のことを分からなかった子の裂け目

呪いながら難破を忍耐というのは忍耐ではない

さまざまな試練とは何か

黄色・ラッカーの板

忍耐に限度はない

地上では滅ぼすものはない