◎2014.6
6.1
@takase
アートで田んぼ
明日は「アートで田んぼ」という、オトノタニよりユルいと言われてきたその裏でどんどんテーマが先鋭的になってきているフェスからの三回目の招待です。
今年はリズムボックス対バスドラダブルキックで、リズムを土に刺します。
バスドラダブルキックの人はすぐに疲労困憊して土に倒れます。
それから這って後ろ向きに麦藁の玉を蹴りながら旗のところまで転がします。
フンコロガシが夜中に後ろ向きになって玉を転がしながら直進できるのは太陽や月ではなく、天の川銀河によって方角を知るからです。
宇宙史はすべて誤謬、と言う埴谷さんに励まされて言ってしまえば、農業史もまた誤謬なのであって、ほんらい、土地は産出的であるかそうでないかの二つしかなく、弟殺しによって呪われる前のそもそもの始まりは、ただただ産出的であったのである。それに、農業者の基礎体力や整理整頓能力を賛美するというのは、自衛隊員のそれを言挙げするのと同様の本末転倒であって、こちらとしては、切り取られた近代の尺だけで、オキュパイによって不法占拠した空き地に肥料袋で野菜を栽培するアクティビストの群れを、歴史の筋肉の美として賞揚する訳にもいかないのである。牧畜もそうだ。豚は家畜化した猪なのではなく、猪が野生化した豚なのである。抱きつき猟が残酷なのは、近代化した猪に自分が豚であることを思い出させてしまうからなのだ。
前年までは近代における草刈りの疲労を微分することを考えてきたが、今年は「疲労」だけに絞った。「農耕など、労働がかもす二項対立の構造を捉えることでアートは日常に帰る。」という2014年のテーゼは圧倒的に正しい。”労働”も”アート”も資本主義の幻想だからだ。その上で、誤謬の宇宙史の中で「帰るべき日常はあるのか」ということがテーマになるだろうとばくぜんと思っていた。
リズムボックスとバスドラのダブルキック、という二つの素材が偶然手に入ったことで、それを「疲労」に使うことにした。貧乏揺すりのように両膝を動かすことで、打ち込まれた機械のバスドラの速さにある程度までは付いて行ける。その後に「疲労」が来る。倒れ込んだその衰弱体から始まる”アートのようなもの”が”ほんらいのデザイン”とぶつかる時に、我々はほんとうの卑屈さを手に入れる。フンコロガシが天の川銀河の光を頼りに後ろ向きに直進するナビゲーションシステムを持っていて、我々はそれを持っていない、という現実が日常である。旗を立て、旗のところから方向を持った音が鳴らされる。それを頼りに竹で編んで麦藁を詰めた玉を後ろ向きに這いつくばって野生化した家畜のように後ろ足で転がした。フンコロガシは誰に向かって糞を転がしているのか。それは銀河の先の、遠いけれど生々しいあの始まりに向かってではないのか。
メタには絶望が似合う
6.14
hiroshima@abierto
lorca
先日新宿のウカマウの上映のとき太田さんに一年ぶりにお会いし、今年もあれやるんですよね、と笑って握手したわけですが、大人がここまでむきになって遊ぶ場も珍しいのではないかと思います。加えてフラメンコについて知る場でもあります。年末にsweet janeをフラメンコでやったのはここで学んだからです。あとハットの被り方とかね。
フラメンコのピアノを弾きすぎて肋骨にヒビが入った
犬の耳をつかむ者
見送りのゲートに夏至の空白き
必敗の歴史 霞んで枯れエリカ
(僕はまた走ってみた)
僕はまた走ってみた
灯の消えた商店
田んぼの畦道
結石を砕くように
ホタルなどとうに死に絶えた夜に
廃部になった部室に忍び込み
儀式ではないと言い張り
渡されたバトンを
脱いだ襷を
走者走者走者
蒼社川
のメロスの入水
はいまマリオネットのリンパにぶら下がり
サーキットをこなす夜中の月の出の濃い
夏至
齧歯類決死隊消したい部室の
葬式は出しません
ノイズ
蛙の
水面に忍び込みぶら下がり
儀式めいて
結石を砕く
痛みまで儀式めいて
廃部だってよ
盆地の出口に氷鳥
おいしゅうございました
部落から部落
城から城
月桂冠
サッカー部はきらい
いつの間にか走らされているだけだから
ツヴァイクは好き
走る物語に不可欠な機能不全家庭の
さらっとした捨象
スマートな路面電車
吉備団子を投げる株主総会
腕時計の太田昌国
猪の紋章
喪章を襷に
弾くのはアラベスク
誉められないから走っていた
まずうございました
砕けた足首
サッカーきらい
久留米の総体で
同じ名前の人がいて 追いかけていたら月見草が咲いた 真のデカダンとは コロシアムの周りを八回回ること エリコさんの周りを八回 保険が出るように 角笛を吹きならせ 震わせて
もう眠りながら走ってみた
精神のリレーは断ち切られた
手を入れられた植木のように
わが生はと歌った
夢はリンパを駆け巡る
鼠径部の廃部
囓る 囓る 夏至動物
夏至夏至齧歯類
下司君
いのち
ちのいろいのち
あかいかあ
爬虫類的人類は米英のことであるのに
太田昌国も太田竜もそれを理解出来ずに
かくめいめくか
いきなあなーきい
などない
アドナイ
ドアない
フラメンコのフランコ奴
この下の臓器は何ですか
肥大した齧歯類が肋骨のなかに住んでいて
歯朶 羊歯
坂道のシダ類 fern on the slope
Zoster
ういるすが神経を食べる
脱獄囚は窓にたどり着いた
目から飛び降りる
自由という堀割
報酬は受け取られた
小遣いのかたちで
闇のフォーク
藁小屋は使い捨てられた
歯朶の帽子
うたはゆく
下水管のなか
蓋から飛び出す
マンホールの意匠を振り返り
け
と呟き
ういるすはゆく
なみだのそとへ
ノアの額に雨粒が落ちる
「ドアの前にひび割れがあったよ」
カタツムリの居ない地上で
正史を変える貧しい想像力が
日の延びた剰余に怒鳴られ
戦争前の反戦論のように
当たり前の黄昏の
猪口に落とし込まれた 闇
もうやめよう
骨盤を開いて映画の地上に還れ
植物も動物も
全てが嘘の 渓谷や丘
ここは ロケ地なのだ
と思い込むことで
喪われた女の
留守電の声を聴く
彼女の居ない地上で
カタツムリの残響を聴く
隔離された夕方
隔離された夕方
調合の違う香の
適法ではない夕闇に
わたしたちは立って
ブルースのらい病を唄う
一つの石のために
流れを変える川
よく見るように
全身に広がっているなら
それは清い
背中の人、胸の人などと言っていたが何のことはない、ヘルペスが肋間神経を食っていただけの話だったのだ。
よく寝た夜落ちている書きかけの朝
肉の書き板