tori kudo

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浜風文庫 2019.12

12.2

海抜ゼロ

 

バチカンをぶっ壊す!
とフランシスコが叫んで始まる
終末
が見えた気がして
まだ生きている僕らのことを想う
僕らは復活の無い死を遂げる稀有な存在となる
死んでいた人たちが代わりに傾斜地に住む
一人一ヘクタールが割り当てられる
どちらかというと
斜面に穴を掘って住むといいと思う
復活のない死には美学が必要である
だから人文学が栄えていたのだ
何のためにフランス語を勉強したのか?
死ぬからじゃないのか?
鉛筆の芯で出来た大きな直方体を考えているんです、と言うと彼女は喘いでがたがた震えた
様々な種類の白い光が蓮華文のように放射した
異なった白はアウェー感を醸し出した
マッチ箱のような形
乗り手は言葉と呼ばれ
白かった
ホワイトハウスはどんなところですか
白いよ
小麦一リットルが八千円
セントヘレナ島以外の全ての人が
目と想像力を活用して強めてゆく
風化との闘い
鉛筆だけで光を表現している
何故そう言えると思いますか
王冠を被ったり投げたりしている
ヒゾーガンである
ビーツの葉も実も、煮出すと瑪瑙のように赤かった
目が沢山あった
バランスと生理は関係ない
沢山ある目を受け入れなければならない
壮大な場面
魚群も鳥の群れもクラゲのように窄んで開く
色とりどりの葉、丸い黄色い葉
所詮私には無理だったのだ
相手の中に何があるかを確認してもらい
第四脛骨脱臼
チャリタブル プランニング
宇宙船で視覚が奪われる
人の姿をした漢字が、立っている
形にあらわすことはとても大事
世の中わるくなっても先頭にいるのは白い馬
集合的な努力
これ以上低くならない海抜ゼロをいつも見ていたから
チベットに居ても
この最低の平面を思い出すだろう

という字には貝が二つある
右の賣は売の旧字である
一見して売り買いのことと知れる
買うと賣る
貝に貝
貝で償う黨員
Celui qui appelle du levant un oiseau de proie

 

 

 

12.9

幻羊/浅い墓

 

楽しいことが待っとるけんね
何かあっただろうか
楽な方法を見出したということか
いずれにしても力はない
 スターウォーズまだかな
字がきたない
近道に慣れるまで数年かかった
言葉が死んでいる
舌の短さによって
風を押さえ込む
 バッタを治める
 アバドン・アポルオン
喜んで怖れる
靄がかかって
二人が一つのベッドにいて
一方は連れて行かれ
他方は捨てられる

幻の羊を
浅い墓に埋める
楽しいことが待っとるけんね
 あさいはか
 ないはか
 にうめられて
浅い儚い墓に埋められ

乞食は
分かっている

正義の妄想は
満たされる

骨粗相症のシャコは
鏡から離れて
自分を忘れる

都々逸衝動はまだある
〽︎友の鏡に自分を映す

根の塊ごと
土として掘り起こし
土として埋めた

拡げた坑に
根と埋葬する

最後の日々には
終わりが終わり
空0くの字型した
死体が二つ

 しろがねの衾の岡辺

死ぬ人々がカフェにいる
唯一のメッセージはTVの宣言を信じるなということ

不意に驚く泥棒のように驚き
冴子のように冴えた状態を保つと
暗いオレンジに光が当たる
can’t afford
キリストから切り捨てる
〽︎掘ってやろうか浅い墓

 

 

 

12.16

捕虜となった私

 

凱旋の辱め
前列からの分断
同じ花でも
死の香り

線の細いピカチュウの描画が
ミスドの包み紙にコラボされているが
油はその線の中で完全な勝利を収めており
線の細さも油からその香りを引き剥がすことはできない

死刑執行を命ぜられた兵士は自殺する

油も線の細さも私を死から引き剥がすことができない
糾弾の雹は直径15.5センチ
部屋に
イカの甲(フネ)の凹みが現れ
3D画面に吸い込まれる
私は自分の舌をかみはじめた

それにしても贅沢な浪費!

 

 

12.23

興味を失くしたようだ

 

ウーマンラッシュアワーのは漫才のネタではなく種である
ヤマザキパンのdoughはパンの種ではなくパンのネタである
アダムとエバの子孫は種ではなく彼らのネタである
豊後水道のアジは関アジと呼ばれる時寿司の種で岬(ハナ)アジの時はネタである
ジャズマンが転倒させた種はインスピレーションソースであった
ネタと種を往来しようとする試みを続けていた人類はこれから痴呆状態に入る
中世に戻るのだ

 
その星はずっと雨がびゃあびゃあ降っていた
光といえば欲望と裏切りが交互に点滅しているだけだった
言葉は呪いにしか使われていなかった
記憶はトラウマしか残っていなかった
技術を学習する者はいなかったので
音楽は単旋律に退化していた
女は全員同じ顔をしていた
全員安中リナという名前だった

 
興味を失くしたようだ
浜辺で立ち止まった
七つも頭があると
海から上るのも
彫刻像を作るのも大変だ
地から上るのは英語である
トモダチは皆離脱を支持する
呼気はカエルのカタチをしていて
元カレも元カノも召集される
ドロドロに踏み潰される
服を汚すなと言いながら
鉢の中身をぶちまける
海の中の生き物は全て死に
川と水は血になった

カウンシルハウスの上の雲は竜の形をしている
トモダチは屋上で野獣の旗を揚げる
券売場に反対の署名
赤鉛筆の立ち飲み屋で芯を剥き出しにする
睫毛が長すぎてピューと吹くジャガーさんみたいに目がないので
本心に立ち返る隙がない
障害があって結婚しない人が
忘れられている

 

 

12.30

大阪で

 

縮尺も方位もない地図を渡され
同緯度同縮尺のつもりで
分割された区域を囲む
口からナイフ
死体を啄もうとして鳥等は集まり
桜鍋にされる白馬もいる
地上で極めて不快なものたちの母
ひかりの 北九州行く?
免除されて住んでいた
役立つ点をはっきりアイコンごとに知らせる
小物語の集積が囲まれ
それをさらに白馬が囲む
白馬に囲まれる
命と新世界を天秤に掛ける

 

 

 

2019年12月

 

海抜ゼロ

 

海抜ゼロ

 

バチカンをぶっ壊す!

とフランシスコが叫んで始まる

終末

が見えた気がして

まだ生きている僕らのことを想う

僕らは復活の無い死を遂げる稀有な存在となる

死んでいた人たちが代わりに傾斜地に住む

一人一ヘクタールが割り当てられる

どちらかというと

斜面に穴を掘って住むといいと思う

復活のない死には美学が必要である

だから人文学が栄えていたのだ

何のためにフランス語を勉強したのか?

死ぬからじゃないのか?

鉛筆の芯で出来た大きな直方体を考えているんです、と言うと彼女は喘いでがたがた震えた

様々な種類の白い光が蓮華文のように放射した

異なった白はアウェー感を醸し出した

マッチ箱のような形

乗り手は言葉と呼ばれ

白かった

ホワイトハウスはどんなところですか

白いよ

小麦一リットルが八千円

セントヘレナ島以外の全ての人が

目と想像力を活用して強めてゆく

風化との闘い

鉛筆だけで光を表現している

何故そう言えると思いますか

王冠を被ったり投げたりしている

ヒゾーガンである

ビーツの葉も実も、煮出すと瑪瑙のように赤かった

目が沢山あった

バランスと生理は関係ない

沢山ある目を受け入れなければならない

壮大な場面

魚群も鳥の群れもクラゲのように窄んで開く

色とりどりの葉、丸い黄色い葉

所詮私には無理だったのだ

相手の中に何があるかを確認してもらい

第四脛骨脱臼

チャリタブル プランニング

宇宙船で視覚が奪われる

人の姿をした漢字が、立っている

形にあらわすことはとても大事

世の中わるくなっても先頭にいるのは白い馬

集合的な努力

これ以上低くならない海抜ゼロをいつも見ていたから

チベットに居ても

この最低の平面を思い出すだろう

という字には貝が二つある

右の賣は売の旧字である

一見して売り買いのことと知れる

買うと賣る

貝に貝

貝で償う黨員

Celui qui appelle du levant un oiseau de proie

 

 

 

幻羊/浅い墓

 

幼羊/浅い墓

 

楽しいことが待っとるけんね
何かあっただろうか
楽な方法を見出したということか
いずれにしても力はない
  スターウォーズまだかな
字がきたない
近道に慣れるまで数年かかった
言葉が死んでいる
舌の短さによって
風を押さえ込む
  バッタを治める
  アバドン・アポルオン
喜んで怖れる
靄がかかって
二人が一つのベッドにいて
一方は連れて行かれ
他方は捨てられる

幻の羊を
浅い墓に埋める
楽しいことが待っとるけんね
  あさいはか
  ないはか
  にうめられて
浅い儚い墓に埋められ

乞食は
分かっている

正義の妄想は
満たされる

骨粗相症のシャコは
鏡から離れて
自分を忘れる

都々逸衝動はまだある
〽︎友の鏡に自分を映す

根の塊ごと
土として掘り起こし
土として埋めた

拡げた坑に
根と埋葬する

最後の日々には
終わりが終わり
  くの字型した
死体が二つ

  しろがねの衾の岡辺

死ぬ人々がカフェにいる
唯一のメッセージはTVの宣言を信じるなということ

不意に驚く泥棒のように驚き
冴子のように冴えた状態を保つと
暗いオレンジに光が当たる
can’t afford
キリストから切り捨てる
〽︎掘ってやろうか浅い墓

 

 

捕虜となった私

 

捕虜となった私

 

凱旋の辱め
前列からの分断
同じ花でも
死の香り

線の細いピカチュウの描画が
ミスドの包み紙にコラボされているが
油はその線の中で完全な勝利を収めており
線の細さも油からその香りを引き剥がすことはできない

死刑執行を命ぜられた兵士は自殺する

油も線の細さも私を死から引き剥がすことができない
糾弾の雹は直径15.5センチ
部屋に
イカの甲(フネ)の凹みが現れ
3D画面に吸い込まれる
私は自分の舌をかみはじめた

それにしても贅沢な浪費!

 

興味を失くしたようだ

 

興味を失くしたようだ

 

ウーマンラッシュアワーのは漫才のネタではなく種である
ヤマザキパンのdoughはパンの種ではなくパンのネタである
アダムとエバの子孫は種ではなく彼らのネタである
豊後水道のアジは関アジと呼ばれる時寿司の種で岬(ハナ)アジの時はネタである
ジャズマンが転倒させた種はインスピレーションソースであった
ネタと種を往来しようとする試みを続けていた人類はこれから痴呆状態に入る
中世に戻るのだ

その星はずっと雨がびゃあびゃあ降っていた
光といえば欲望と裏切りが交互に点滅しているだけだった
言葉は呪いにしか使われていなかった
記憶はトラウマしか残っていなかった
技術を学習する者はいなかったので
音楽は単旋律に退化していた
女は全員同じ顔をしていた
全員安中リナという名前だった

興味を失くしたようだ
浜辺で立ち止まった
七つも頭があると
海から上るのも
彫刻像を作るのも大変だ
地から上るのは英語である
トモダチは皆離脱を支持する
呼気はカエルのカタチをしていて
元カレも元カノも召集される
ドロドロに踏み潰される
服を汚すなと言いながら
鉢の中身をぶちまける
海の中の生き物は全て死に
川と水は血になった

カウンシルハウスの上の雲は竜の形をしている
トモダチは屋上で野獣の旗を揚げる
券売場に反対の署名
赤鉛筆の立ち飲み屋で芯を剥き出しにする
睫毛が長すぎてピューと吹くジャガーさんみたいに目がないので
本心に立ち返る隙がない
障害があって結婚しない人が
忘れられている

 

大阪で

 

大阪で

 

縮尺も方位もない地図を渡され
同緯度同縮尺のつもりで
分割された区域を囲む
口からナイフ
死体を啄もうとして鳥等は集まり
桜鍋にされる白馬もいる
地上で極めて不快なものたちの母
ひかりの 北九州行く?
免除されて住んでいた
役立つ点をはっきりアイコンごとに知らせる
小物語の集積が囲まれ
それをさらに白馬が囲む
白馬に囲まれる
命と新世界を天秤に掛ける