tori kudo

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A Dream of White

この容器は高輪半島の付け根にある東温市西岡の自宅の庭の土で作られました。中央構造線の北側に位置し、新生代の古琵琶湖由来の花崗岩風化物の粘土鉱物の特徴を持っています。この辺りには昔松山藩の御用窯であった西岡焼というものがあり、主に茶器を焼いていたそうです。土味を生かすために小石や夾雑物を取り除かず成型しているので漏れますが農園直送の珈琲豆をストレートで味わうが如き道楽と思ってご容赦ください。とぎ汁で煮ると漏れなくなります。成型した後、肱川上流にある穴窯で五日間焼成しましたが、黒焼きにした籾殻5、長石3、りんご灰2で作った鬼萩釉が熔けず、さらに砥部のワークショップにある電気窯で1260℃で酸化焼成しました。その際、普段は童仙房といって、棚板と作品との間にスペーサーとして置く土を、外見が似ているので誤って、イスラエルの死海から採ってきた土を使ってしまい、溶けてくっついてしまいました。棚板から剥がした後、さらにもう一度焼いたのがこの器です。広大に違う粘土が付いていますが、それがロトの妻が振り返って塩の柱になったという死海の土です。成型したのは冬でしたが、最後に焼いたのは白梅の咲き始める頃だったので、銘を「白い夢」としました。2013年3月