mshb「一台のグランドピアノのためのメダカくままつり」荻窪地域区民センター音楽室
mshb「一台のグランドピアノのためのメダカくままつり」荻窪地域区民センター音楽室
伊地知一子が杉並区民なので、昔よくやっていた荻窪の公民館を「常盤会」名義で借りて自主企画をやってみることにした。国立でもそうだったが、公民館を借りるときはサークル名はいつも「常盤会」なのである。
ブリュッセルのマクラウドが面白がって送ってくれたMaher islandという島のウィキを見て、そのタイトルを最初は考えていた。マヘル島は南極大陸の近くにあり、グーグルアースで見ると真っ白で島とは判らない。昔、「地続きの島を恐れるな」というタイトルのコンピレーションを出したことがあったが、地続きになるためには干潮ともうひとつ、氷結という手があったのだ、と気づいたのだ。呼びかけ文を載せて、参加を呼びかけたが、人が来るかどうかは大変心もとなかった。
「これはマヘルとして今年唯一の自主企画です。
参加者にはうちの庭で作った杯を差し上げます。それを使って演奏が行われます。
「やることは指を少し濡らしてめだか班とくままつり班に分かれてピアノをこすり共鳴音をだす、というものです。
めだかとくままつりにそんなに意味はありません。こする方向で、時計回りはめだか、下から上はくままつり、という区別があります。音楽化のために、一人(たぶん僕)は音を出さずに鍵盤を押さえ、聴衆は移り変る残響がマイクで増強された状態を聴きます。今年の春からやっている奏法で、今回が集大成になります。弦楽器では珍しい奏法ではありませんが、ピアノでは弦に竹籤を刺す内部奏法が禁じられているホールで有効な方法だと自負しております。ピアノとはなにか、というイヴェントを小石川図書館でやったときは、打楽器の側面を強調しましたが、今回は弦楽器として扱うということです。最近草月ホールであった灰野さんの八八人ピアノに対抗するわけではないのですが笑、参加した人が何人かいるので、終わった後感想を聞くのも面白いと思います。
「音楽室のレンタル料は自発的な寄付によって賄われます
参加希望される方はご連絡ください。
「マヘルは島なのか星なのか
星だとしたら地続きの星はあるのか
死んで星になるなんて嘘だ
あればネフィリムたちの死骸
死は地続きになるか
島のように
「あるところに熊ピアノがいました。捕まえられて犠牲になりました。螺旋のめだかは、空に上っていきます。私たちがめだかと思っていたものは、実は鮭だったのです
当日、東京マヘルのすでに死んでいる面々が予想通り大体集まり、めだかってなんですか等の質疑のあと氷結の合奏は指示通りに行われ、録画もされたがアップされなかった。四,五人の観客は詰まらなそうにそれを鑑賞した。草月の八八人ピアノを企画した新井も、「これは観ないといけないと思って来ました」などと言って、札を数枚置いて帰っていったのでなんとかホール代は賄えた。僕らは数人残って荻窪の駅近くで熱燗を飲んで、散解した。