tori kudo

Back to the list

my favourite things 2012

my favourite things 2012

 

序文 たうたう一年といふものが文化的な諸事例を挙げれば済むやうなものではなくなつてきた一年であつたやうに思ふ。つまり主観がfavourite客体を挙げるといふ行為自体のなかに客体が放射能として主体に侵入してきてゐて、「個人の主体が失はれ客体としての通俗が喋つてゐるだけだ」などといつた文明批評がもはや懐かしく思はれるほどに、主体ではなく放射能が喋つてゐるのが目下の実相なのである。饒舌であればあるほど、パブリックな主体とは単に放射能に侵されたプライベートな客体である。放射能にしてみれば、放射能が放射能ギャラリーで放射能といふ展示に足を運び、放射能といふ演劇や映画や音楽の年間ベストを選び、放射能といふ景勝地を嘆賞し、放射能といふ死と引換への美食の写メを撮り一年間twitterといふものをやつてみてこの国からはパブリックが失はれたことを実感したので年末に止した。2012のfavouriteといふと、さういふものだつた。定型と気に入つたギャグは色を変へてある。年間ベストは「おやすいみんあさい」。