棺
遺書I
墓を暴き
骨を洗うな
おれの灰は公衆トイレに流してくれ どこでもいい 水洗便所に流してくれ
王たちの墓に入れるな
遺書Ⅱ
死と引き換えにやっと読まれるような
生きている者の
落度だけで
縫われていく
きみのマフラー
生きられる時間は短いので
病の悲惨さを確認するだけで終わってしまうね
総ゆるポジティブな思考は
だから嘘だ
王国の
散見される
手術前の雪の
落葉のようなバスの遅延
悪阻
石のような曲線に棘のようなものが入って
冷たさと柔らかさがたたかっている
声の石たちの 集会
石は叫ぶか
石は鎔けるか
棘はペン先となって
肉に書き込まれる
愛
*****************
眼を落とし
腰を低くしてリンボのハードルを潜るような
実験
やり過ごすための 繭
*****************
暖かさが悪阻(オソ)ってくると
上気した女たちの顔
<しび柔>
だから癌になったが
それを他人事のように説明しなくてはならず
心臓の痛みとともに
上の部屋に引き上げられてゆく
エリスロポエチン
落書きされてゆく
*****************
半分駕籠に乗り
上半身をひとつ上の空間に出す
ペンギン
壁から
REASON or RHYME
どだい無理なのに
声を土台にして櫓を建て
奇跡にかわる軌跡
ヒポスタシス 権利証書のような
柱に触る
エレンコス 証拠を提出し論証する
上の海と下の海に挟まれた
ジンビームとサンドイッチのような
泡立つ白の甘さ
情報が詰まった箱
駅でキス 軌跡 木と須恵器
航海
開けてゆく
デュナミス(奇跡と訳されるが)
=力を証明しようとして
頼るのは声だけだと気付く
発達障害の 儀式を繰り返す青年
あらゆる病を治すマジックの公開
指の神
川を分ける
ふっかつに持っていかれようとする
記録
目撃されるのはscene=ありさま であり
まだ近くに居た奇跡
カナの記述は ゾシマ長老とぼくではキャンティーとボルドーくらい
sceneが違う
the rebel
the adversary
resister
slanderer
deceiver
devourer
headed for eventual oblivion
忘却のかなた
わたしを腹の中に造られた方は彼をも造られたのではないか(job31:15)
典型的な身振り
「斜光」の主人公が指を持ち歩いていたように
ぼくは携帯に触る
ぼくは人前では携帯を出さない
ラップは声色で歌になってる
声色で聞かせるつもりはない
hide wrongdoing
to save face
(あざけられほほえみ返し)
あざけられほほえみ返し
照れ隠しにおどけた仕草
命を擲つコント
豆の顔にくぐもった自然薯
みよこの人だ といわれた鳥インフルの筋肉の
それにしてもくぐもった降灰の地
暖房設定温度は低く
坐る場所は選べない
神が腹の中にいる時は
恨みがゆっくりと昇って来る
自然薯の地下茎が
気温の高くなってきた山で
「殺して埋めました」
箱根は押し上げられた東京である
「あなたたちは正直に
ごまかすようなことはしない人でしょう?」
坐る場所は押し上げられて箱根より高くなる
愛とは愛することを決意すること
冬の陽や箱根の雀は幸せか
冬の水箱根の鴨は幸せか
ヌートピアは幸せそうだ
自然薯の地下茎が
公園に伸びて 坐の神
放下して放火する
「このところやっぱりTwitterでは呟けない感じで、無理に呟くと、自分の
中で無理した事が残ってしまう
それに呟きって、眩みたいな字で、キラッてしたものみたいな感じがする
のに、今の私の呟きでは、全然光がおびない気がする
自失してる気がする」
初めに言葉があり、それは「光あれ」とい うものだった
屈辱掲示板
学校を止めること
共にはたらく
猪の肉のような音波に対して
へらのようなものが
舌の形をして
腹のあたりの高さを
えぐっていく
部屋
家
『今晩は何があるの?家族の崇拝!議題は 《ベルベット革命とジャスミン革
命の違いは初期myspaceと末期facebookの違いにたと えられるか》《愛とは
愛さないことを決意 することか》』
その下に沈んだ暗赤色
暗青色
灰色
クリーム
群青
むかつくような怖れ
地図がある
立つ舞踏
たゆたう筈の光
喋る肉
生だけれどカスカスの声
おでこが笑う
twitterは不在の証明のためにある
畑の収穫のような声
うながされるのは
こくんこくんとした咽喉の肉
地下 水
親
しみ込む
今頃は外の世界では焼酎を飲んでいる頃だ
子供の訓練目標を設ける話
この地層に円盤が埋まっている
不快な自然薯が引き摺りだされる
カニのように貼り付いた顔
夙川アトムの業界芸
和服の不幸が神を染めて座っている
背骨を固定したチョッキ
衣を付けた外郎のようなもの
自分で考えることを決意したマキちゃんの 声の
質 が変える部屋の空気
つんのめる耕運機のようなケンちゃんの声
外の春 春の外
喜びという 提灯
小田原城
ダイレクトメ・・
水を潜って反映される 気絶した二人 奥の獄で 足枷台
光る魚の額に 無理に足を開かせる 枷が解けた
自害する牢番 額はクロダイやイシモチ 白だけ 見えないオレンジ 口元が魚の豚
背鰭の 針 DVフリーダイヤルホットライン
わたしたちは水を潜って 繋がろうとする 050××5522(pslm)
080たちよ! 090たちよ! 070たちよ!
ゆうと君が足踏みしている
慰めのロングパス
感情移入に
蛍光青がせり出してくる
例えば彼女の苦痛の観察をしてみる
精通し 敏感になる
二人の乞食
金箔の トレーナーの助けで
訓練を終え
運動前後の油のマッサージ
隣に座って話を聞く
今頃はカリブ海
ゆうと君 振り向く
背広は頼朝像のように三角に拡がる
障害者の子に殴られ母は帰る
連れ出された幼生
刈り上げられた猪口
俯く茶髪
複数の夢に同時に現れ
帽子のソリ
放り出して出て行く老骸
空洞の日曜
酸味を帯びた声
二つの旋回する熊
籠を作る人々
箒を持った少年
熱心とはねたむということ
zeal ardent passion fervor
ardor endthusiasm 籠
thousandth generationに及ぼす親切も
箒を持った一世紀の少年と箒を持った二十 一世紀の主婦の
寓話に逸れて行く時期が来るだろう
透かし絵のように
わたしたちは水を潜って
繋がろうとする
050××5522(pslm55:22)
080たちよ! 090たちよ! 070たちよ!
EMDR session 1
雨のサンフランシスコ
朝から氷 を飲む人
「あーお腹をこわすから氷を齧るのは止め ろよ」
黒い店内
雨のワンピース
川は唇の冷たさ
雨は内部の暖かさ
廻廊の壁から壁へ
蛍光灯は苦い光
息の出来ない動悸が続く
後ろの椅子に座っている
まだ磨耗していない
ホテル・アメリカ
内臓を雑巾で拭く夜のバス
諸国民ジュース
内臓ホテルをkickする
黒い、ぴったりしたジーンズを穿いて
狙われることを受け入れ
街に投げ出されている
血
カルピスとコーラを混ぜて飲んでいる
分離し始めた青から赤と黒が滲んでくる
パイプオルガンのある
講堂の裏
アリジゴクの
砂丘
共同便所
禁忌
柱に左手で触って汚れを逃がしている
両手をクロスさせて左を守っている
鯨を食べている
部屋に糸を張り巡らしている
守るのは何?
民俗?
書物?
デッサン?
湿った黒い三和土に佇んで
途方に暮れている
盛り土の畝
汚れとたたかっている
投げ出されても
牛のように牽かれていくぼくを
どこに連れていこうか
或る西日の階段
ソプラノ・サックスの
炭酸
頭頂が痛くなってきた
そこに意識を集中し
そこから言葉を出していく
氷が溶けていくよ
何を溶かすのかな
あたま?
あたまはかたいよ
かき氷のように見えるけれど
ただ外側を流れるものがあって
どうしようもなかったんだよと声をかけようか
汚れという言葉を出して
きみは何を守ろうとしていたんだい
風土なのか
山の稜線を認めていたのか
黒い三和土の上で
きみは誰の訪問を受けたんだったか
東京なのか
武蔵野の黒いローム層なのか
文学なのか
きみが泣いている原因はなんだったのか
心臓なのか
頭頂の痛みは非常に限定的だ
首から下に降りて来ない
まるで原で火を燃やしているようだ
三和土に佇むきみをどこかに連れて行かね ばならない
愛なのか
きみが好きだ
川へ行こう
酒粕を仕掛けた魚篭にウナギが入っている頃だ
*EMDR : Eye Movement Desensitization and Reprocessing
from there she goes again
不思議な着信だ きみが その場所から そこに 行こうとしている 熱帯魚の水槽 の中で 自分以上に 愛することなど できるのだろうか それでも その半分くら いまでは 行けないそこに 行こうとして いるのを 知るのは 水のような 性感 身体的な 命の 犠牲 やさしい 駄目だ けど 声が達してない 平然 きみが そ の場所から 行こうとしている そこはそこではないが 近い 本当は 集団 今 ではだれがそこに居て だれが居ないのか 分からない 背骨を真っ直ぐにして 母音 の墓石に凭れ 破裂音の風 別れた ら 睡魔の焦点 押された視神経の端 そこは上海の 排水溝の流れの中に 積まれた 団子のような もの 目の見えない 女が 暗記したように 話すように 朗読した 眼が黒い 間近な 深海魚を 見る ような 生々しさ きみが 行こうとしていた 場 所の 手がかりのようなものは その 膜 の 下に 隠されて いるのか それとも 全く 別のものなのか ゴミ屋敷の ルデ ア のような 生々しさ の 体験 オタ マジャクシ の 鰓 猪豚が 火山灰の 空気に 霞んだ きみが 行こうとしてい た 処は この曇りガラスの 層に 霞ん でいる それは 化粧した 光の 吸収 トマスの 網膜 の ように 濁った ク リアファイル に 挟まれた 短歌 人形 のように 生身 日本語を読んでいる ふ り をしているが 開いているのは 見知 ら ぬ言語だ 鼠色のブーツ 刺繍されたパ ンプス 貝殻色のマニキュアの 灰とピン ク と きみの方が近いとさえ思うこの 遠さ 遠いのに 心臓に 触れる ブライ ンド の 紐の先に 揺れている 白い三 角は アナイス・ニンのベッドの上のピン クの角と どう違うのか 人々 という 末梢 大木 としての 醗酵 先週カニだ ったものが 黒糖のイナリに 染め が消 えた 頭頂 どこが違うのだろう 蛍光灯 は 意匠たり得るか 賜物 ギフト は 家令のような者の集団 管理人 そう き みの家の 管理人のような きみの アパ ートの 芋屋の居る 暗い 廊下 最前線 の自然さが 屈辱を受けて一週間経った 今は 黒泥んでいる 話し方とはなんだっ たのかと思う どう 務めるかではなく 水槽の中で どう扱うか 他の人と働くこ と と きみから 励みを 得る こと と どう 違う のか 清掃 に関して ああ 私は駐車場 縞の タイは 寿司の ようで 手の色は 背景のようで
ポエキロス
色とりどりの プレゼント きみの 居る 場所は ここより 個人的だ ここは 眠 っていた宝石の プレハブ 隠されていた 宝くじの 賞金 制服の リンちゃんが ひじきのような髪をして もう 額の 光 は来ない 大群衆が 昼も夜も ラップす る 昼と夜の定期性とは 月に一度 卵を 産み 週に一度 きみを 殺さなくてはな らない 鍛錬された 卵色 什一 きみの
雨 のための どんな 水門が 開かれる のか 必要な 遠ざかり方の 地所 の 測量
都市が知らされた 留まり ここにいるよ う励まされる きみの その都市が 水の
下に あるわけ 芋虫を食べる アイテム 攻撃されている きみに 縋る
寒い
ガラスに映った 大木の末梢に居る黒い怨 嗟と 眼が合う
逆流する 換気扇 の 風 の 音
EMDR session 2
苦いを甘い、甘いを苦いと言う都 生温い チョコレートの海に浮かぶ島 遺された唯 一の島が発狂者の笑顔であるというなら その島はかつては地続きだった 芥正彦の 演出で芝居に出たことがあった アコーデ ィオン弾きの役だった 愛しているよ、と いう台詞を稽古した それじゃあいけない よ、芝居だからね 芥さんは母音をはっき りと あいしているよ と 腹式呼吸の野 太い声で発声してみせた ぼくは今だった らそれをどんなふうに発音するだろう や っぱり発音できないだろうな その日芥さ んと中島葵さんと四谷の焼肉屋に入った ぼくがアメリカに行く、というと芥さんは 腹式呼吸の野太い声のまま それはおおいなるだいがくだね と言った ぼくは今だ ったらそのときのぼくになんと声をかける だろう 旅は長いよ、コーヒーをもう一杯 どうだい、とでもいうのだろうか その夜 サックスを持って歩いていたら赤坂離宮の 近くの交番で捕まった 爆破を考えた 今 のぼくだったらそのときのぼくになんと言 うだろう 復讐はきみのものではない、と 言えるだろうか その頃高橋悠治はボブデ ィランの声質を、決まって、タバコ喫み の、というフレーズで描写していた 腹か らの声で歌ってはいないというわけだ ぼ くは東京にも腹から声を出す人と胸から出 す人がいるな、と思ったんだった その頃 までにブレヒトを観たりアルトーを読んだ りして背骨に来る音楽と胸に来る音楽があるな、と感づいていた ワルシャワ労働歌 や不屈の民をパンクに編曲したが それは きっとナチにも使えることをぼくは知って いた 君が代もこちら側に使えるだろう でもアルトーは とぼくは思った ナチに も国家にも使いようがない だから うた の真実は胸や腹に来るに違いない その頃 角谷美智夫は笠井叡に傾倒していて ノー トには小さな字で惑星がどうのこうのとい ったようなことがびっしり書き込まれてい た (今だったら角谷は人のことを呟いた りしないだろうな、それは確かだ いつも 自分のことで精一杯だったから) 角谷は 背骨のほうじゃないな と一目で判った 角谷と金子とツアーしたんだった 曲など 出来る訳はなかった 背骨と胸と腹がごちゃまぜになってたたかっていた 今だった ら何を演奏するだろう 何を演奏している ぼくらが見えるだろう いや、なにも変わ らないだろう 京都の人たちはぼくらよ りずっとスマートに見えた ぼくらは展望 もなくなんの基盤もなかった ぎりぎりの 演奏だった 二人とも死んでしまった 今 だったら演奏を終えたぼくらになんと声を かけるだろう いちど発狂の夜という店で 子供の学費のために睡眠薬を飲んで鞭で打 たれているおばさんから言われたことがあ った わたしは音楽のことはわからないけ れど、あなたの今日の演奏には目のかがや きがないわ 別の日に同じ店で ゼロ次元 の残党に声をかけられたこともあった き みは弦が切れても弾き続ける人だと思っていた 弁解しようとすると もうきみと話 すことはない といわれた ぼくが青山ト ンネルの入り口に佇んでいるのが見える 今のぼくはきみに声をかけて忘れるように とは言えない きみがそれから二十年経っ ても相変わらず円盤で演奏を断られること になったりするのだというようなことを前 もって告げたりはできない 円盤の演奏を 終えて高円寺を歩いているぼくが見える ぼくはその日の演奏をなかったことにしよ うとしている 今のぼくはかれになんと言 えるだろうか ああ、いくつかの星屑を消 してしまった、と安藤昇の歌を歌って聞か せるだろうか コーちゃんがいつも歌って いたあの歌を コーちゃんが生きていたら なんと言うだろうか ちらしずしを作って持ってきてくれるだろうか ちらしずしを 食べて泣いているぼくが見える ああそうか 泣けばいいんだ
和解リコンサイル
青草は干からび花は枯れ
変わらぬ陰猟腐厭
親は絶対だから
便座のヒーターで生きる
さまざまな脳の形が透けて見える
ギャラの分け前
窓から黒い炭素棒を突っ込まれた
イチョウの葉をICボードに 留めていく作業
今日忘れた言葉
ひとりでも守る掟
雪解け水の斜面の斑
シナプスを全て湯葉のように緩ませている
ゆがんだ口の 明るい露店で
鼓舞される充たされない部分
髪を切ったのかと思った
居眠りすることができない
頭骸の形は脳の形
眼鏡が童話的に絶壁 強く意識する
脳たちが結ばれていない
金正夫が赤ん坊をあやしている
玉虫のようなものが夢に出てきた
バッテリー大丈夫か
数えられて 神軍
車体の空色寒 ゴム入髪留め褪せたピンクの
パウロの脳 と接続していない
声のコマンド
幼児の髪が茶色くて長い
マフラーがきちんと折り畳まれて 本会場 の
バーバリと つながろうとしている
ブーツの木の踵 の固さ
上る脂 重いシュークリームが人形の関節に挟まれ た
和解リコンサイル
亀裂て怖い
何? かめ?
マイクスタンド の彎曲
半額の返送
若いリコンサイル
アルトーがトイレに立った
そつなくこなす ウェアー
削除したい背広
カラカラと桐の実
変化した脳
板前のように切断されている
糖 と 党
律儀な自閉症ドア
object が選択されていない
魚の耳のような横切り方をする部屋
指で釉掛けの胎に「の」と書く
罪科の財貨 問屋は一人でいい
日光が 外からシェルターを見ている
テムズ川を下り 海へ出るつもりじゃなか ったが
ドーバーの白い岸壁に至る
死ぬのに 呑気だね
和解リコンサイル
救いの日
という言葉(is49:8)
和解の務め
若い リコンされる
the downtrodden
lonesome road, ransom load As such
道を訊いたら道とは何かと 訊かれたよ
prerogative, authority
our failed attempts at self government
エジプトからエジプトへ 逃げるしかないよ
stump, sprout objects, subjects
奴隷高校生は グレープ味のスプライトの変化に怒り
qualified to rule
a belt firmly girded about his loins
まだ力道山は生きている
command!, direct!, and empower! subatomic particles
パチスロの中で
address the root, address the route
道を訊いたら道を訊いたのはなぜかという ことだけ
教えてくれたよ
priority, propitiatory sacrifice
道なき道を行き道を作った君はクール
the downtrodden leper
エジプトで 病に倒れた
callous なぜ泣かないの come upon and overtake you
ぼくはぼくを追いかけ 君はぼくに追いつく
新体詩運動アゲイン
歌が変わった
鮫が視点を抽象できるか イルカの肉は甘いのか
黒人の兄弟たちよ
蛍光の部屋で
癌がガラスに映る影の部屋で なおざりにされたイルカの上部に四十年遅 れてやって来る饒舌な残骸 うながされた者たちの 雲の柱
めりこさん かなえさん
不意の動悸に 口からカンフルのオムレツが飛び出してす るすると空をよぎる 芸能人の薄い眼鏡のような 社交 針金のような紺とからしの美が入り口に佇 む
筆を入れられた写真 指の痛み ナタデココのような 崩れていかない transparentな 発光
何のために言葉を選ぶか 自分のためなら それは
小説だ 禎一、という名前の初老の男 白い蟷螂の 卵を産む
フォーク と シャーク野郎
言葉の生簀の膜が取り払われていく 霧が晴れてモオヴのセーターが見えてくる 「す」と「え」が混ざっている語尾 マイクの紐が落ちる床 薬の壜の中に居たのだ うなぎの光が蒲鉾の曙になった 犬のように通り過ぎる白い車体 が 闇の 中で停まる 紫だけが救いだ、 茶色は無理、 和服で も
黒いオタマジャクシ の 尾が切れる 切りつめられるのか家事 しどろもどろの 弁当箱 喪服の甘味料が 夜の底に沈んでいる ピンクのヒラリアスな下顎 が 平行して 沈んでゆく
しばたく涙目の 箸 Jazzの 鮫
すとん
缶の底に落ちる固い菓子 巻きつけられて 黄色 子供の靴の曲線の 世的な装飾性 溶けていく二ミリメートル四方 比較せよ
新体詩運動 アゲイン
和解リコンサイル アゲイン
シャジジョビジョシャジョシ 愛南市から東温市 蛸がハンド・クラッピ ング
家が建てられはじめた
への字型の 仕事
シルエットはスーツの芯棒 茶のない領土交渉の席 亡くなるまで 陰日向 軟らかいケーキに向けられる舵 完済三年後は希望たり得るか 近すぎる中国人のように 前に座らず隣に 座るような
透き通る干芋の甘さ 手の平の内側の肉が 大声で叫びつづける 頭に手を当てられた紺の三角 その姿を描写する進行形の粘り 飴の中の 花火 卵黄の金の新鮮 心臓にはピックの一突を
loud フルテンに回せないアンプの摘み
代理になれない ハブられたゲスト 頭頂から 白の針が 林檎に落とし込まれ る
熱心な和解の末端のこんぐらがり 建築の支えは
熱心 そのもの 現場の 納期 と は 別の 倦怠ennui
熱心 は 遊んでいる木を 切るのを延期 し
熱心 は聴く耳を持たない同国人のために涙 を流す
身体のバラム
light my fire
胸の上から下へ ウィンドウが終了していく
買い取られていた私のセロトニン 大使に続くのは無国籍の群集 乗馬ズボンの太った少年がアップになる
歌 先読みして
祈りの裁縫箱の 中の私は無花果
La honte
死にたいほどの屈辱も
今はそれどころではないという緊急感に優しさを纏った
駐車場の言葉はスーパーの商品で構成され ているので
死ぬほどの屈辱は雨の駐車場に流すことが 出来ず
私は駐車場なので
皮膚は張り伸ばされた脳なので
手の届かぬ背中のどこかに
愛の及ばぬ消化器のどこかに
迫る愛は事故を起こし
排水溝に詰まっていて
投げ打たれた投げ売りの愛は
レジを飛び越え
残金僅かの財布を探る
指の 思考
それどころではないのだから
それどころではない言葉を
出すべきではないか たとえ上海の排水溝 からでも
受け取れない宝が山から送り出され 見え ないまま生姜の横に並んでいる
全世界をかち得ても 買えないから
灯油をかけて 火の海になった
パスワードを知らないから 取引できない のに
静かな花の茎のような投資を追う
狼が雇われ 羊が雇われた
射手座のやくざが 人の目を見て言う
私は駐車場 と
木枯しも春風も同じことだ
駐車場が時間の中に世の一切を出し入れし ている
狭い門 紛失した 愛
これらの言葉で出来たものは 通り抜ける ことができない
ぎくしゃくしたゲートで 微笑む
妨害するものは 財布の中にはないのに
北朝鮮と中国のラジオなら届かないこともない
メーターは払えぬ額を表示し続ける
言葉は外からは受信できない 戦場は体の 中に仕立てられている
雑音はdeliberateryな不実である
必死の笑いの中で組み立てる言葉
咎められた 茶飯
無謀で 疑念に満ち 危険で 必死になる
心が 無視する 駐車場 という 主戦場
推論を潰す 擂鉢の 春
体全体が明るい? 私の内にある光は 闇 であるかもしれないのに
レッカー移動のように 除かれる光は
平安を持てる、
以前の経験から自分の歩みは自分で導け る、 というのだ
焼酎の一升瓶が並ぶ地下室が見える
バラバラとなった白い背骨のネックレスの ような 詩の 装飾
人への恐れのために
どうしても射殺されようと 笑いながら
軍隊の前にふらふらと出てしまう
その言葉は
闘っていない人々と同じになってしまう
闘っている人々の中で
闘っていない人々の言葉を 組み立ててい る
皮膚は脳だ
皮膚に愛のための隙間はあったか
見かけ上
虚(ウロ)と共に立っているが
それを倒す
春の嵐を言葉にできるか
煙霧の雪山の麓で
白い繊維で組まれたバリケードに
遅れてきた 奴隷
外も内も 同じ発酵は
死からの自由を排泄しながら進んでゆく
追いつくパトカーのような祝福に
はとの形をした黒点
煙霧の雪山の麓で
空焚きのフライパンから白煙が立ち始めた
弱さが強さから来るように
強さはロバに横坐りになった臨月の弱さか ら来る
憎悪のプラスチックの
緑の影が滴る
うちそとの 忍従
der Rahmen
I
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが家に帰る
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけがアルジャジー ラのtweetを追う
既に滅ぼされている枠だけがyoutubeを眺める
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが服を着て座っ ている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
或いは帰らない
或いは帰る家がない
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
場所の問題ではない
墓所の問題なのだ
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
既に滅ぼされている枠だけが座っている
II
夜明けに反吐(ほど)けて枠は弛む
ふたつ咳をする
水を飲む
<長い歳月がすぎて銃殺隊の前に立つはめになったとき、おそらくアウレ
リャーノ・ブエンディーア大佐は、父親に連れられて 初めて氷を見にいった、
遠い昔のあの午後 を思い出したにちがいない。>
夜が明けたら銃殺だが
陽が昇るまでは忘れていられる
きみの夢でも見ようか
ほんのひととき 弛んでいる間に
III
肋骨の鉄格子から覗く執行は今日だ
思い出の場所から空に上って行く者が
地の最も遠い所で裏返る
オストを付けた童顔の婦人が坐る
癌のひとみさん髪を当ててもろたん縮らせ て来る
完全にお別れではないよ
これから起きることから
ぼくの枠の中身が外れただけさ
奥の奥に入ったのさ
懐に居た最も親しい者が執行者となる
友は皆去った
火のような舌は西域のルートを通り
デスクトップに保存された
ルートの話はいいよ
声のあややかなかすれの瞬間に
思い出の言葉の場所を感じているだけだ
ハブられた巨きな女が属州に称賛 助言 矯正の言葉を伝える
肌で撥ね返す支持
檻の中の目玉から認められる人類
黄色い紐が洗濯機に巻き付こうとしている
声変わりもひとつの裏切り
ですからですね
トリポリはまだ支配下に置かれている (2011.2.23 )
服するという
去って行く者は室内のコーヒーの木の気持 ちが分かる
エステルがマッサージされるのは来週だ
その時は藤色が植木鉢に沈んでいるだろう
人には言えない運動で
皿に乗せられた痛む筋肉が差し出され
一音多いピアノのコードの夜を締め上げる
百姓のように水草の上に立つ鷺の苦渋の軽 さ
機械的な悲しみ ブーツの畦道
小さすぎる頭の 大きすぎる頭の
メタユートピア
皿ヶ嶺の氏子としての現存在
動物のように 大人が二人 やわらかさに ついて話している
自分の言葉は 貝の足
みかん山 フレームのセザンヌ
スーツなのに 肩で留めた長い衣のように 見える
私を覚えてください
熱心な刑執行人の祈り
親密な者が思いの愛情によって
点々と刺していく虫によるような傷
汚れの翻訳
動物化する新しい新幹線のような司会
真面目だということが分からない
労働してないとむかつく薪の供給物
視界に黒いラインが入って来て
薄墨の画面に流れる朗読
愛着を譲った専心の身振り
隙間のダンス
甲冑の中で震える生身の
夜の枠の
排水溝に 渦 電球もエコになったね
洗い場からガムのように消えた日常
他の魚に声をかける
明るい銛
枠の中でスポンテ二アスって 貝の足みたい
群青の鯖缶
一人で実演する青と白が死刑と無関係
骨骨(コツコツ)とした努力
やさしい英文のための ブランチ
ホオジロザメのマスクした軽装の夫
待ってるうちに吐き気がしてきた
余白のウェイトレス
執行前は言葉どころではない
IV
ありがとう
ありがとうにありがとう
ありがとうにありがとうにありがとう
別の命令系統を作って枠に命令させよう
弁当箱
灰のカーペットの上で
最後の不許可の朝食を思い出している
試されている
場所がなくなっても妙法がある訳ではない
本当はここで言葉が出るかどうかの実験 だったのだ
(いまこの灰色の群集に別れを告げて山に登ったら自然はどう映るだろうか)
最後の歌というものはやはりあるのだ
とうとう歌えなかった背骨の陣営の歌
4000人の歌うたいの内、 専門家は288人
1人に12.88:人を加えるバンドということか
120人のラッパと 声はユニゾン(Ga語 もいいね)
輝かしい最後の光景
いつも 二つの場所があると思っていた
いまはどこにもない
ひとりで暮らしていかないと
ひとりで暮らしていくには
詩は浮き上がった剰余なのか
詩は池に浮き上がった剰余なのか
ここからは 本当に 弁当箱の
ようなものを失くすのか
緑の藻
明け方に明け駆ける
羽ばたきの音に振り仰ぐと
それは明るい枯草の丘に消えるところ
水に映る色とりどりの
津軽の明るい枯草の丘に消えるところ
それから殺意をなんとかしたくて
薬を飲んだ
緑が付着した沈んだ壜のように
フェニルアラニンで瞼が上気した赤になり 乍ら
王が憤りを表明している
憤りは宿されることはない
憤りには宿はなく
水のない川のほとりに建設中のカフェで
エンドルフィンのたて腹を切る
内密の出勤カードの 性急な可詩化
憤りを抱き続ける者の法廷と
殺人者の法廷が同じだったら
シェルターは役に立たない
緑の表紙の薄くくぐもった竜の本
死 transliterated 一 タ ヒ
ビスケットの縁
沈んだ壜の藻
殺意をなんとかしたくて
薬を飲んだんだった
sorely insurmountable easygoingness
清掃員がシェルターを押し流す 水
canary
外部の白い石が口を開け
やがて死の臭いがする
坐ったまま朗読する最後の唄が
参加できない生活の環の中に拡がってゆく
母音を外す癖のある縮んだ夜のあとに
あでやかさという刃物が水平に置かれる
確信を込めた自分のなさ
清掃員の落ち着いたバケツ
河馬のやわらかな鼻が空間に小さなしこり を残す
本物の愛という光が古びた懐中電灯
の単一電池は三本
義に適った戦争を照らす金の笏
が引き上げてゆく命
followerになりなさい
というコミュニケーション
univocalconcept
紫色をした行間の病的な白身魚
の鍋物
アマレク人 と妻ゼレシュ
「と申しますのは私たちは売られておりま して」
しかし強奪物には手を掛けなかった
bad haman המן הרשע
自分の影をトイレに連れてゆく
とケータイのお化けがごろごろしていて
自分を見ない女に
握られている顔の輪郭が
するっと場所を失って
舌足らずの落ち着きと
改変された唄と
頭蓋の眼窩に当たる光と
スとュが混じる語尾のように取り沙汰され た日程
死刑囚の壁の光
宥め役の恐喝者のような安堵
の草
疫病が発酵のように拡がるだろう
唄に番号はあるか
外も同時に意識している夜だ
ギブスを嵌めた肩が編み出す今夜のための 呼吸
サンドイッチがゼラチン化する夜
青が頭蓋の内側を流れてゆく
親指の太く見える仕草が
遠い温泉の化粧台だ
遠さについて
白い石のように口を開け
遠さのように口は開かれ
遠い口 遠い石 遠い白
枯草の墓地で
canaryのように黒ずんだおでんが沈んでい た
黄が木に変わったウグイス色の山の顔面
安心のない 遠さ
佇む 隣 の 石 の像 の 白
白 白 白 白 張られた 母音のない 蔵書
wa という 口 の 黄土色に
一瞬 の 茶碗 の
死刑囚の壁の光
草
シメのパロール
横顔の自閉
隣の猫背
遠い石
肋のセーター と
真中分けのロングヘアー の
煮しめた 遠い鍋
暗いモオヴの 「ご覧下さい 」
昔 ひとつの世界が終わったということ と・・・
黒手の 違和
出て行く子供 の 白い 襟
遠さの中で ニュージーランド を 測る
まなざしで 強化する 距離
痙攣する ことの 遠さの出張
参考になさってください
持ち運ぶことが出来ますから
あらゆる人に踏み込む
遠さの中からぶっきら棒な節で近づいて来る
花粉が 出てきた
積極面を発見する 洞察が 善
汲取りという抵触
解説してもらう
ゴルフに付き合う
し に せ と す が混じった 語尾
画面のように
上から消えてゆく壁の光
遠さが今は頭頂の痛みに変換される
R というすり抜け
口に含んだカナリー
閉じられた運河
選ばれた唄
シメ の カナリー
遠い カナリー
ディズニーの頬 の 唐突な
アーメン
やましさ
背骨の時代だ
かつての奴隷が振り返った難しい色の石 達。見えにくい光の反映。 光
と落ち着いて発音する。 手を揚げた指の先の反りに自動車会社のような地
表の捲れの闇が仄 見え、指の先は雲の上を指し、甘茶色の 少女の声が 丸
い缶に詰められ、 進んでゆく体制の戦争の蒼い挿絵の罪のtsunamiの痕跡
の、コンビニ店員の、進んでゆく悪阻の、 笑顔の石の、かつての奴隷
が旧姓で振り返る腐朽の、 虚無の、設計通りの、色々な難しい色の石の、
海岸の撹乱の、経験したことのない、想像できない自由の、うち沈んだ決意、
呼ばれた名前の、旧姓達の、親族達の、 心はどこにあったか、宝はどこに
あったか、 花粉のマスクの、結びつけるものの縦横の種類によって決まる
芯の知 識、奴隷が教えられた言葉ではなく。白い怒り。焦点を合わせられ
た目。 奴隷だった頃の愛は急行列車の車体の色に塗られており、振り返る
と稲藁干しが遠ざかる。缶 詰のオカッパの男の胸に灯る光の淡い強さ。
配給の服の色。 照り返る光は壁を透過し
光の問題、 それどころではないという言い方、川の流れのように つやや
かな、黒い髪の立つ大地の悲痛な馬の狭められた焦点は 行き着くまでに焼
け尽き 奴隷だったら まだ 良かった と 顳顬の光が 狭められた 三角の 空
間に、 やましさが 緑の本の上で 痙攣の ように首に来ていて、 棒杭のよう
に やましさは立ち
肩に
wither
「いろいろな人が二つのタイプに分かれる ような気がします
背骨の人と胸の人とに」 という見舞のメールを出したんだった
外
外を歩いて。
外人居留者として遅刻した public
外の明るさがまだ室内に浸入している
永遠の とは 真の ということ
備蓄された光の爆発
鮮明な業
背骨の人の呟きが光に浸入してくる
胸の人は 外人居留者として被災した
外人居留者として配給を受け
外人居留者としてボランティアに参加し
外人居留者として外人居留者のコミュニテ ィーから疎外され
外人居留者として勿論日本からも疎外され
被災の仕方までアングラだね
高円寺のアパートの ヴェルベット地とロー ソクでしつらえた祭壇みたいな
部屋でノン ちゃんはsister rayしかかけていなかったが、今はすっかり御姐
さんになってRTして いるね
外に出たら 結婚というものが 見失うようにしてあるのだった
外に出たら 定義し直そうとする人たちがい るのだった。
山は山型の食パンのように溶けた
とにかく石女のように明るい日だ
一年後輩の金子さんが花粉のようにアヒル のように黄色い
Flirtaion
結びつきに調整を加えなければならない
家が愛で塀は忠節
フェンスがないと愛が衰え始める
love begins to wither
四角を描いて線で立てる
性愛を描く箇所を朗読していくとき
魅力のなさそうな夫婦に青い雨雲が立看板 のように横切る
プリスキラってプリキュアみたい
枝野官房長官みたいな人って居るよね
独身の外人居留者として生活する
travel excessively for their secular work
本当のチーム
毒性に導かれる
あらしは ヘモグロビンのように 凹んでいる
言葉が崩れると
再びメロディーが出てきた
分裂した状況を形にするには
今日の多くの人にとって、重要なのは 自分 自身の幸せだけです
外人居留者として被災する
外人居留者として被災している
蝋のランチ
緑
詰まっていたパイプが開通するように ぼとぼとと落ちた 言葉
すべての人のことをお願いするしかなかっ たものね
アポステロス 派遣奴隷 徹底的な概観の連続としてのカタストロフ
アレウト、アサバスカン、チムシアン、ト リンギトといった部族に
福島の獏原人部落に
徹底的な地球の見取り図概観としてのアポステロス
うす緑にアポステッレーイされた空気
注ぎ出された鉢に
ポンプの詰まり
電話をとったら聞こえる終わり
人を捜し出すための 阻めない無音の作業
Whence comest thou?
From going to and fro in Tokyo
and from walking up and down in it.
あなたはどこから来たのか
場所を決めて言葉を出していました。
白いトラックのように高架下を滑って行っ た
指で空に文字を書く、配給を貰えなかった障害者のように 疎外をなぞらえ
た夕日の
馴れた猶予がすべてが終わった後も続いている
息のある皆の心が同じ水位に下がっている
虫だったら良かった
軽口を言う間にケバくなったリンゴコブ蛾 の顔をつけて
検討中である という終わり
最近の採血のチューブの細さ
実演される棒読みのテキスト
刃が口から出て行くセル画
会わないつもりみたいだから
地を行き巡りそこを歩き回ってきました
ベリーズにいるバラクーダの一匹のような
リュックを背負った淋しさ
今日は緑の鉢が注ぎ出されている
つる草の間にへびが居た
道を歩いたり 犯罪を犯したり 日常のことが 白く投げ出されたハンバー
ガーのようにニュースにならなくなったまま死後硬直を始めている
刈り上げたり、立ったりしている髪の、
黒い直毛たちが 緑の鉢から注ぎ出されたも のに泥んでいる
寄付箱のない感謝のような白いトラックがカワハギになってあらわになっ
た肝を食べられている
緑に 二十二年冷却し続けた煙が混じってきた
記念式の命令を実演する
妊娠の緑のパンフレット シュレッダーを購入する
緑の水蒸気がどぶろくのように動かない
よく見れば緑が多い
紫のテキストを実演する緑
横浜I
港の日光の軽さの中で 鳩のような空洞はないが
カモメたちの重さのように 言葉は吹かれている
しかし鳩の粗雑を捉えるカメラは健全な四本の指
を持つ日向ぼっこの流線形を 空洞に吹き上げる
貧困のように配置する
嫋嫋とヤシの葉が靡いても
空は北からの風にうすめられている
止められている観覧車の時刻だけが 止められた観覧車の錯覚のように動い
ている
ここでは人工も自然もシャンパンのように静止したまま 北からの風に耐え
ている
横浜II
心なしかホテルのキーが重い
広場の影がキリコのようで
窓から見える白衣
古いissue売りのすがた
節電の黄色
それ程汚れてない作業着のすたすた
昭和だから逆に滅びがなつかしい
灯りを落としても落とさなくても川の水は 黒い
もうすぐ花見ね
チェルノブイリのタンポポみたいにどでかい桜が咲いて
ああやっぱりバラ科だったんだねと言った りして
それって トラに しょせんネコだな という のと似てる
等身大博物館mimicryのなかを
呼吸しないでランニング
ひっそりと京急が高架を通る
お月さまの中にウサギがいるよ
それは書けない
裸木を照らすのはヘッドライトのみ
桜の幹のストッキング
上澄みの夜の層に
懸案を抱えて蹲らないままパセリの鉢にけつまづいたが
暗い川沿いの並木道は
開いている小さな店から店へ
粒子を移し変えて] 町と町の反目のような軋轢
和みと
倦怠と
稚拙と
山小屋にて
ワラビや葛は猪が食べ尽くしてしまったが
オニシダは朝陽を浴びて透き通っている
分かれた葉の間に螺旋の芽が解かれようと している
枯れた葉にも光が当たって
桜は三分咲き
季節は終わりだが椿が滴っている
蝋梅も終わってほんとに蝋になっている
季語の縛りがなければ
きみたちのことも歌ってあげるのにな
連続テレビ小説はてっぱんだった
大きな地震があった
この春は写真を撮るのももったいなくて
眼に刻もうとしている
シャッターを切ると見えているものは失わ れるだろうな
終わりは 色なのか?
varietion II
濁った爪
商店街の日差し
車内の囁き
あ いい におい
あのおねえさんかな
被災した魚喃キリコ
煩悩は故郷 と 親鸞
立ち上がれ 煩悩
お菓子な論理
代官山って割とちまちましてるんだよね
バロウズ コンピューター
激戦区と隣り合わせた豪奢
東横線の苦力 新宿二丁目への最短のC8出口に出た
おかまもしょんぼり
風?
どちらが北西か分からない
草枕
山路を下りながら、こう考えた。
津波のvideoを撮るために戻って死んだ人は言葉が上だったと
だから言葉なんて覚えるんじゃなかったと
御苑のタリーズで男が電話している
「地上では その一日が終わろうとしています」
その近くの草枕というカレー屋の話をしよ うか
開店したての頃行ったら不味かったが
最近ランキングの上位に来ているらしいの で
行ってみたら矢張り不味かった
言葉を食べてるみたいだった
ただ店主は前より自信有り気で太っていた
要するにかれは味を変えるのではなく その味が好きな自分を認める方向に
自分を変え たのだ
店には「包丁人味平」の「ブラックカレー 編」も置いてあり
インドではジャンルでさえないカレーの、英国経由の辺境性を体現する鼻田
香作は麻 薬でヨーロッパと共に自滅し
ラーメン顔の味平は雲南発の辺境性のやや薄い水の温度と福神漬でやまと
うた的に勝 利する
だからぼくは立って店主に言った
おまえを食いにきたんじゃないと
ランキングに投票する奴らはカレーを食べ てるんじゃない
言葉を食べてるんだと
それにひきかえ湯島の阿吽の汁なし坦々はランキングも上位だし実際美味
い
激戦区におけるマーケティングとか業界的 にはいろいろあるけど
ラーメンはカレーに比べて言葉が上に来な い
日本人がなぜ毎日ラーメンとカレーを交互 に食べるのか
それは言葉で構成される意識と無意識の境を縫うように出たり入ったりし
ているから に他ならない
智に働けば角が立つ。情に棹させば流され る。意地を通せば窮屈だ。とかく
に人の世 は住みにくい。
ぼくは確認する ぼくが御苑の何でもない喫茶店のビーフカレーを好んでいたのも、安っぽい
ジャンル のような意味の落とし処を求めてのことで あった
しかしその店も震災後閉店してしまった
だから今や御苑にはシニフェとシニフィアンの轟然たる乱れが生じている
のだと
だからというわけじゃないが
ぼくが福岡の個展に出品しないかもしれな いという噂を聞いて、
江上啓太が言葉が上に来ている人はこういうこと(震災とか)があると表現
できなくなるんだよねとか言ったらしい
どんな時でも文章として完成させることの ほうが内容より上に来るような
人間にとっ て
今は辛い時らしい
御苑のタリーズで男が電話している
「地上では その一日が終わろうとしています」
言葉を出せ。それは立たない。(is8:11)
ぼくは確認する 言葉なんて覚えるんじゃなかった
という言い方で言葉を使う最後の試みも津波に呑まれた
総ゆる至上主義は津波のvideoを撮りに行って死んでしまう
そして漱石は人でなしの国で言葉のカレー を食べるのだと
「草枕」
山路を下りながら、こう考えた。
津波のvideoを撮るために戻って死んだ人は言葉が上だったと
だから言葉なんて覚えるんじゃなかった*ⅰと
御苑のタリーズで男が電話している
「地上では その一日が終わろうとしています」
その近くの草枕*ⅱというカレー屋の話をしようか
開店したての頃行ったら不味かったが
最近ランキングの上位に来ているらしいので
行ってみたら矢張り不味かった
言葉を食べてるみたいだった
ただ店主は前より自信有り気で太っていた
要するにかれは味を変えるのではなく
その味が好きな自分を認める方向に自分を変えたのだ
店には「包丁人味平」の「ブラックカレー編」も置いてあり
インドではジャンルでさえないカレーの、
英国経由の辺境性を体現する鼻田香作は
麻薬でヨーロッパと共に自滅し
ラーメン顔の味平は雲南発の辺境性のやや薄い水の温度と
福神漬でやまとうた的に勝利する
だからぼくは立って店主に言った
おまえを食いにきたんじゃないと
ランキングに投票する奴らはカレーを食べてるんじゃない
言葉を食べてるんだと
それにひきかえ湯島の阿吽の汁なし坦々は
ランキングも上位だし実際美味い
激戦区におけるマーケティングとか業界的にはいろいろあるけど
ラーメンはカレーに比べて言葉が上に来ない
日本人がなぜ毎日ラーメンとカレーを交互に食べるのか
それは言葉で構成される意識と無意識の境を縫うように
出たり入ったりしているからに他ならない
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。
意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
ぼくは確認する
ぼくが御苑の何でもない喫茶店のビーフカレーを好んでいたのも、
安っぽいジャンルのような意味の落とし処を求めてのことであった
しかしその店も震災後閉店してしまった
だから今や御苑には
シニフェとシニフィアンの轟然たる乱れが生じているのだと
だからというわけじゃないが
ぼくが福岡の個展に出品しないかもしれないという噂を聞いて、
江上啓太が言葉が上に来ている人はこういうこと
(震災とか)があると表現できなくなるんだよねとか言ったらしい
どんな時でも文章として完成させることのほうが
内容より上に来るような人間にとって
今は辛い時らしい
御苑のタリーズで男が電話している
「地上では その一日が終わろうとしています」
言葉を出せ。それは立たない。(is8:11)
ぼくは確認する
言葉なんて覚えるんじゃなかった
という言い方で言葉を使う最後の試みも津波に呑まれた
総ゆる至上主義は津波のvideoを撮りに行って死んでしまう
そして漱石は人でなしの国で言葉のカレーを食べるのだと
*ⅰ 田村隆一「帰途」
*ⅱ 草枕のカレーは本当はとても美味しいです。念のため。
尾道
川は金曜日に発している
ユニフォームを持たない僕は
きみの房べりに触った
煙の中から選び出された者が 煙の中に戻っ てゆく
アルゴリズムを呉れ
世―僕=きみ
法的に隙だらけの器に 汚点としての抽象の線
重い砂を負った僕の言葉は だから乱暴な 話だったのだ
親切を控える者は 恐れを捨てることになると
悪役の声色で 語る 善
イントネーションで 神 は 紙 になる
工業団地の見えない使徒たちが
アナウンサー口調で語る 悪
狼
蛇 ― 長引く争いを嫌う
鳩 ― 騙され易い
ソドムを変えようとしている限り自分がソドムに変えられることはない
波より高い精通の仕方をすること
そしてわたしたちは原子力を知るであろう。 知ろうとして追求するであろ
う。夜明けのように、その出て行かれることは堅く 定められている。そして
降り注ぐ雨のよう に、わたしたちのところに来てくださる。 地に染み込む春
の雨のように。
商工会は会頭という言い方をするのか
○○の指導のもと という言い方
安全な場所は野獣の腹の中
テーリオ 残忍 貪欲
傘も差さずに乃木坂
旅商人たち
too bad, too bad, the great city
moth and rust consume the treasures
自足していた貝は沖合で不幸になった
抜け道の話は似合わない
毎回代行呼ぶなよママ
二次的な位置に置けるか
the sin that easily entangles
口から出る水の色
空は介護の色に染まっている
逃亡の言葉にも根と葉がある
空に試験紙を浸し
コカコーラ工場の脇を過ぎる
釣り人たちの闇が
マッチを擦る間隔で続いている
言葉を話したりするよりも、安息日に栄光 を与えるなら、
地の高いところを乗り進ませよう
とうとう僕のことだ
立派な仕事
黒のない
白っぽい新聞紙のようなものが貼られた箱
おどおどしたエアメールの縁の白赤青のよ うな
避難所にて
堆く積まれた灰肌色の枕
共通しているものを探して乳灰色を追うと
失われた花びら色の暖かさが沁みてくる
見事に噛み合わない歯車たちの建屋じみた 本
化粧品のにおいのしない暗いパウダーのよ うな声
族長の命令によってではなく
楕円の卵を抱えて一万歩走った
タクシーの運転手のような声で
額の女は顔だけが額の女できっと二世で
葉の一枚一枚描くのは朗読の
共通の目的を探しているから
三十を過ぎて声は悲しいアヒル
陰陽のような白黒の暗さ
スズか硼酸が混じっている
小声で叱り続けなければならない奇声を発する障害のある息子はもう白髪
の混じった大人だ
大まかな接写モードの輪郭の中で 抜け落ちたものは白く、黒い者はこけし
のように ぼおっと印画されている
赤が来た 着物の柄の花魁のように
はなから 今日は氷山のように
陰影が際立っている 印章のように
額の女もそこにいる
街路なのか家から家なのか写真では判らな いが
兎に角出発しようとしている
ゴムの芋虫のようにくねくねした聖カタリ ナ女子短大の声が青緑だ
北東からの風にtouchyになっていた東京
木漏れ日 光る草
共通の目的を探して 光る灰色を眼球に入 れる
○
ひところ流行った迷路の平たい模型のような胸板を震わせて
なおざりにされるもののないように低音を発声している
自分をだめな人間だと考えさせたいのだろう
自分には価値がないなどと考えないようにしたい
味は上顎で味わう
粉をふいた和服の落雁から白い血が吹き出 ている
田舎の小学校では艶やかだった語尾の 〝他〟
樹木でさえ望みがある
枯死しても水のにおいで芽を出す
かつて宝だった卵型のもの
額のように帰ってきた
池にも渚がある
蜥蜴のフガフガ
親の自殺
蜥蜴色の革ジャンの女医の霜焼けのように赤みがかった指
郵便配達夫の青 と 白髪
白髪たち
jobの物語
足の裏の線を引く だって
ユーモラスな額の禿
蓋から内部に落ちた水滴のような
窯の内部のガラス質の雫
安息日の主
蜥蜴の王の宮殿
安息を払う とは
指を逆に曲げることが出来るとは
安息日の実体は奇跡的な安全
溢れる涙のインフレと言やあ
空色の油絵の具
猪の王は名前を訊く
蜥蜴の王は肩に凭れる
洗濯ばさみ型の巨大なパン
どんぐりのような頭
いつまでも大きくならないおたまじゃくし のような子供
発育しない河童
ゴミのように全てが流れる映像
母音のない人と子音のない人が喋っている
芳しい はんぺんを噛むような上顎と下顎 の動きが空を切る
新学期
放水なのか 滝なのか
決壊はゆっくり起こっているように見えるだけだ
例えば
視察
三角形の残滓が白い火事のようにラインを作っている
山は悠大過ぎて 眉を顰めた歩行は常態化している
突然の風に軽トラが揺れて
ユキヤナギはゼカリヤ的である
第一声の揺れは要塞の上を彷徨う
低空飛行の蜂が地面の埃を円形に吹き払う
泣いて食事をしようとしなかったハンナとペニンナの感情の受け分
この春は美しすぎて
写真に撮るのも
勿体無い 外には戦い、内には恐れ
ただ朝の連続テレビ小説があった
山は悠大過ぎて
点在する家は孤立していた
ラフだけの連載マンガのような白い夜行
死も 生も み使いも 政府も 今あるものも 来るべきものも 力も
高さも 深 さも またほかのどんな創造物も
on an inspection
涙をもって蒔く種もなく
与えられる結末もない
自分や他人の延長線上にさえない強さ
おせっかいな密告 meddle
ゲーム画面の山道が続いてゆく
この世は基本的には皆さんに敵対しています
そういう風にして
そういう風にして今年に入って、ある曜日にある場所である地層から遺書のような言 葉を出すことを続けてきた。震災の後、東 京でもそれが出来る状況になり、東京から 帰って来てからは最早場所は日常全体に敷 衍できると思い始めた。書くことには手続 きが必要だ。詩とは言葉を出す場所を決め ることだ。そういう風にして、再びノスタ ルジーの契機さえ捉えることが出来るよう になる。そういう風にして、今日のわたし が昨日のわたしになる。未来はないにしても。
場所が消えた
地層が消えた
場所さえ消えた
名指した途端に
終わりは色なのか
と書いた
色が消えた
フィルムを巻くたびに
磨耗していく
今日のわたしは昨日のわたしになる
石から白黒の花
危機は鈍い心を素通りしていった
洪水の処理だけしていた
リンゴが手を叩く
ドアのない家で
喜ぶべき理由がない
芳香剤が効いて腐臭がしない
リンゴが足を組んでいる
白い手袋を嵌めている
手を頬に当てている
「まだ滅ぼしていないのは
何と幸いなことでしょう」
報告など見ていなかった
津波の後 石の心は凪いでいる
engagement
人と人が対応して
見たことのある集まりになっている
「違う星に来たみたい」
近くでエヒメアヤメ祭りというのもあるのだったが
工業団地は行き止まって
群生地に行き着けない
人手によらず切り出され
縁者資本主義の足元に
褪せた祈りの壜の栓のような
塗られた石 青 単色の写真
恐れに楽しみがある
外国人また一時的居留者に呼びかける
河南に移動する前
ウルでは十四部屋が普通だった
しるしとしての自然石の祭壇
そうきみの部屋の話だ
カーテンや壁紙ではなく
真の土台を持つ部屋
移動する天幕
呼び求めるとは宣明のための装備に関わること
持ち物全てに別れを告げて
ここはずっと住む場所ではない
急に画面が縦に伸びた
褪せた青のままで
短期滞在者
地的なかなしみは永続しない
周囲の考えがどのようなものであれ
甲虫の羽をボートにして
ずっと裏返って移動する
この海の特色に染まるよう仕向けられているが
征服するとは八度目に立ち上がること
言葉によって言葉を持つ者たちについてもお願いします
armour
amour
敵は殺すのが目的ではなく
私たちに長生きしてほしいのだ
脳の中を煙が横切る
ゆがんだ真理を腰に巻く
信じた後に来るのは疑念
救いの兜を外した心を高円寺の風に晒している
undo
the restful odor, do everything or undo
携帯を失くして投げ入れられた紫のモクレ ンが浮いている世界に
質問される度に身構える現況は変わらない が
車を停めて
通りを歩くワタナベさんを誘おうと思う程
(彼はjoyfulにさえ行った事がな
いだろう。upgradeされているから)
あやうい生命線の中で
春は暮れていたので
朝はバナナの剥き易さに驚嘆して凝視めた のだった
見下される眼鏡の猿のように
欲望機械のヴァージョン・アップは可能か
歩けない男は入り口に長時間立っている
ソフトとシャーベットくらい任命の違う二つの声の
響きが部屋に残っている
音信不通の蕪村の夜
解雇された教師が送電線を引いている
子供の顔を拭いているスーツの母はうなぎのようだ
形(モルフェー)ではなく 様(トロポス)
携帯の無い時間が進行していく
全員の名を覚える
鞍のような擦り切れた吃音の男らしさ
携帯を失くしても大部屋俳優のように気楽 だ
ワニのような百足
むしけら
みな髪が短い その手は無闇に滑るように動く蛇を刺し貫く
こけしの口の端がめくれている
オカッパなのに仁王のようである
像について話している
絵にしたくなる
頬に差す薄桜
いい浮浪者になれるだろう
サザエは髪型としていいネーミングだった
白茶っぽい魂が122
リンゴはごりんじゅう
無駄な講評
ああデッサンしたい
四つボタン
春は刺し貫かれている
世慣れた茶髪のずれ
眩しい蛍光灯
光の団子
刺し貫かれる
世慣れた引用に顰め面の天使の表情で俯く
その時も服はメンソールのようだった
字を描く代わりに絵を書く
猪 刺し貫かれる
エストニア 刺し貫かれる
生活以外は無いような 写真に
沈んだ見知らぬ人に手紙を出す場合
どんな語調になるか
進む電車のような動きが
刺し貫かれる
長い手紙は読まれない
何人かが集まってくるが それは
塩ヶ森に不活発な月が懸かる夜だ
見えないけれどあるもの
小さくて見えないのか
見えないけれどあるものなのか
内と外の汚染から今日は始まった
麻痺した感覚に
トウモロコシは立つ
舌のような穴の斜渓
自律神経に命令する
店頭から消えた見える欲望
蜘蛛の巣に湯が噴き出る
見張り小屋を再訪する
抜き身の曇天の舌が
鈍い心を舐めた
パンシロンという薬の
サラリーマンの苦いスーツの灰緑を
思い出した
水の中の顔と顔を
酸が溶かしている
荷車のような言葉の秒針
根を見ると
それは無かった
逃げた父
in the place of onlookers
八重桜色に染まった脳が
川沿いに痛んだ視線を落とすと
羊の毛に包った水晶が
冷えた坑に落ちて行く
混ぜもののない毒のように
ペットボトルに溜めた水を替える
描かれた青空 水の建屋
購いの血のガラスを通すと赤も白く見える
だから八重桜と藤を通して脳を見ると
良心は藤と八重桜色に染められている
精米工場は藤と八重桜の掠れた水彩で描かれ
青の時代を終わらせた 藤と八重桜は良心の綻びのようなものだ
良心から藤と八重桜の人形のような冑と胸 当ての重たさがわかるのだ
良心から、喜びだけが出てくる時は来るか
麻痺しないことが奇跡なのであり
バビロンにペンキを塗る前の彼の服はまだ 白い
大気はウェハースのようだ
塩とバターがその良心だ
池の下に鯉 同じ表面の 網膜のような半透明の春
宝だったものが失われ
また帰って来た時に
それは僕のものではなくなっていた
重たい元素の空の下
あらゆる声の
藤と八重桜の公園の
斜渓の 勾配の
出口のない小径が続いてゆく
in the place of onlookers
義 と書き込まれた果実は
クローン種であるソメイヨシノには実らな いと
予兆の桃が教えた
見ているものたちの場所で
地震兵器
あなたは地に落ちてから何をしていたのか
そこを行き巡っていました
地震を起こすようになぜ仕向けたのか
書かれていることだからです
それにしてもわたしになりたいのはなぜか
愛に限界を設けることがないからです
あなたはなぜ自分の僕たちを疲れさせてい るのか
彼らを愛してはいないからです
あなたはむしろ生まれてこなかった方がよ かった
わたしは「今の気遣い」です。
あなたはわたしの使いたちを見たか
彼らの真似もさせています
なぜ騙して戦うふりをさせるのか
なんでもあなたの真似をしたいのです
わたしの僕たちは名前を出さない
それはそうとわたしたちは劇団です
道連れは快楽なのか
道連れは快楽です
憎しみがあなたの愛だ
あなたの愛は憎しみです
では死は与えない
わたしは生を拡散させます
今は疎外が救いになるだろう
わたしは政治を文化化しましょう
あなたは定めの時を知らない
あなたの息子はもう知っていますね
あなたは人の心が読めない
あなたの息子は読めますね
あなたは息子の真似もする
わたしはあなたの息子です
わたしはあなたを知らない
わたしはリンゴを割ります
そのときまでにあなたを処置し終えるだろう
わたしは何もしない暴力を考えましょう
暴力とはプライベートをパブリックにすることか
わたしの暴力はパブリックをプライベー トにすることです
あなたは生まれてこなかったほうがよかっ た
わたしを生んだのは言葉です
あなたを生んだのはわたしだ
おとうさん、わたしが選んだのはあなたでした
わたしはあなたを知らない
今やわたしたちのほうが真剣です
私の使いたちの真似をしている者たちの方が真剣だというのか
そうです
あなたはわたしの僕を見たか
どうか彼に言葉を書かせて、あなたを呪 わないかどうかを見てください
さあ!彼はあなたの手中にある!ただし彼 の身体には用心せよ!
水棺
ハイデガーの受身が染み付いた水漬く屍
ボードレールの口元のような女性的なねめ っとしたキレのあるワイン
夕暮れの空は埋葬を拒否し
わたしたちは水を燃やす場所を探して彷徨う
○ ○ ○ ○ ○ ○
低周波を当てる風に開いた壁の穴から
口笛が部屋に入り込む
寛大さは悪徳になった
風の中に母と娘が立っている
男の子は父と祖父を殺そうとしている
わたしたちはそれで満足する
トラフグが歩いている
自分が乏しいことについて述べているので はありません
。 。 。 。 。 。 。
押し麦のように潰されて
乾いた生得の
醸造所は自問しない
ハーモニカのように息の意味が抜けていく
悪魔よ 今何をしているのか
この女を通して 語らせてみよ
緑の静脈が負の合唱する山の色になってい る
ああそうだった
一夜城
僕らが居ない間に
命のパスワードは発表されてしまった
福島産のダリヤの根を漬けているうちに
黒いハブラシで心臓を磨かれ
落ちない藍の染みが 藤色になった
移動とは 土の色が変わること
元素に分解した
きみを焼く
心臓の染み
石が染まるだろうか
鼓動も涙も
伝わらない
二列の一夜城の平行移動のような
川の両岸に
巨大化を注視されるタンポポが続く
葦に止まったヨシキリは
黒いハブラシのように鳴く
五月のさよなら
桐の花が夕暮れの青に溶けて見えなくなっ た頃
スペイン語のいくつかの会話がなされたエ ントランスから
ひとつの微笑みが
ボール紙の箱のように開いたのだが
白いセイウチのような光の芽が
五月蝿い土曜の夜だ
the devious
音楽が 白アリに喰われている
children of wrath
良い事を愛しながら悪い事を愛する
五月のさよなら
二〇一一年一月~五月